夢を見たその後で 3話 「告白」 その4
それから数時間後のこと......。
zizizi......
目覚ましがなる。そろそろ起きないといけない時間なんだろうが、どうも体が重たい気がする。....昨日は飲みすぎたみたいだ。どうやって家に帰ってきたのかも覚えてない。
「..............」
なんだか、いいにおいがしてきたなぁ。俺、無意識にごはんを作ったのか?
zizizi......
あーっ。うるさい!!頭が痛いのもお構いなしで目覚ましがなり続ける.....。
はずだったのだが........
ガチャッ!!
んん....!?
俺は布団から一歩も出ていないのに、ひとりでに目覚ましが止まる......訳がない!
誰かが止めたのだ!!
恐る恐る布団から顔を出す.........。
「あっ、起きちゃいましたか?おはようございます!!」
「いのうえ.....さん??」
意外な人物が目の前にいた
どうも、俺はまだ寝ボケてるらしい。
もう一度布団をかぶりなおして.......
「おやすみなさい......」
「.................」
「.................」
「.................」
「そろそろ起きなくていいんですか!?」
ガバッ!!
布団をめくられた.......。
そして、目の前にはやはり井上さんの顔がある。
「おはようございます♪」
「お...はよ....う??」
なんで、井上さんがココにいるんだろう?
まさか!!!
.......布団の中を見る。
「....................」
うん、昨日と同じモノだがしっかりと服は着ているみたいだ。
布団とかシーツが乱れているような形跡もないし間違いは犯してはいないはずだ
たぶん........
「店長、どこか調子でも悪いですか?」
「..............」
見たところ井上さんも昨日と同じ服を着ている。
何もやらかしてはいないハズだが、まさか無理に部屋に上がらせたのだろうか?
「あのぉ.....井上さん??」
「はい?」
「変な事聞くけど、どうしてここにいるんかな?」
「昨日の事、何も覚えてないんですか!?」
彼女は”ムッ”とした顔になった。
これはマズイぞ!もしかして、本当に何かやらかしたんじゃないのか!?
「悪い.......何も覚えてない」
「私にあんな事しておいて......ヒドイ!!」
「いや、あの...その...なんて言うか......」
「この責任は取ってくださいね!!」
「うっ......」
「なーんてね☆びっくりしました??..."店長は"何にもしていないですよ。」
「はぁー。めっちゃびっくりしたやん!!!」
「びっくりしたのはこっちですよ!!店の前で別れてから私、やっぱり店長の事が心配になって戻っていったら道の真ん中で倒れていたんですよ!!」
「道の真ん中で寝るような危ない事、もうしないで下さいね。私の方こそびっくりしましたよ!!店長もいい大人なんですから」
「そうか.....寝てしまっていたんや。じゃぁ、井上さんが家まで俺を運んでくれたん?」
「そうですよ!!ホントにびっくりしたんだから!」
「ホンマに迷惑かけたなー。....ごめんな」
「それなりの見返りもありましたし........いいですよ。でも、気をつけて下さいね」
「朝ごはんまで作ってもらってありがとうな、そろそろ仕事の時間も来てるし食べさせてもらうな」
「はい!それじゃ、私もいただきます」
アルバイトの女の子と一緒に俺の部屋で朝食を食べるなんてなんとも変な気分だ。
こんな気の利く子は、なかなかいないとは思うんだが........やっぱり彼女の気持ちに応えるわけにはいかない。
「それじゃ、そろそろ仕事に行きましょうか☆」
「そうやな....少し頭痛いけど頑張りましょか!」




