君への愛で角ハンガーは斜めにしない
酎ハイのCMが流れた。
「これ飲みたいなあ」
ぼそっと呟いた。
買ってこようかな・・・でも外暑いからな〜・・・
「今から一緒に買いに行く?暑いけどさ、アイスとか食べながら帰ってこようぜ」
・・・はっ
幻聴。
妄想が爆発してる。
「マナミこれ飲みたいの?明後日、オレ仕事帰りに買ってくるよ」
キラーん
ってカナデが輝いている。
「うん、ありがとう〜」
・・・暑いもんね。
いま外出たくないよね。
仕事帰りなら私も買えるけどね。
優しい。
優しいんだよね・・・私が贅沢なだけで・・・
賃貸マンションの三階。
窓の外から住宅街の屋根の太陽光パネルがギラギラしている。
「外、暑そうだね・・・」
見ればカナデはスマホのゲームに夢中らしい。
私もスマホ漫画に目を落とす。
「あ!」
カナデが言った。
「今日中に引き換えられるアイスのクーポン当てた!」
そう言ってスマホ画面を自慢げに見せた。
「カナデ、チョコミント嫌いじゃん」
「マナミは好きだろ。オレ引き換えてくるよ」
「え!いいよ!私が行くよ!」
「いーっていーって、すぐそこだし。暑いし無理すんなよ」
こういうところが優しい
でも「じゃあ一緒に行こう」って誘って・・・!欲しいの・・・!
暑いけど・・・!
私も行くって言えば、そりゃ喜んで一緒に行ってくれる・・・しかし彼は決して
決して誘わないのだ
理由
暑くてマナミが大変だから・・・
お前のことはオレが守る!
ああ・・・
いいやつ!!
でもそうじゃない!!
私は暑い中を手を繋いで歩きたいっ
「私も・・・私も一緒に行きたい」
カナデがキョトンとして
「じゃあ一緒に行くか」
と笑った。
・・・自分で言うのも大事だもんね、うん。今回はそれでも・・・
そこに
リンロリンロリン
洗濯機が終了の音楽を鳴らした。
「あ、洗濯物干してから行くか」
「・・・そうだね」
「マナミは座ってていいよ」
「2人でやったら早いから」
「わかった」
角ハンガーに干すものと分ける。
ちょっと溜めてたから多い。
私がハンガーにワンピースやTシャツを干していると、カナデがなにやら考えながら角ハンガーに干している。
「オレさ、角ハンガー斜めなの気になるんだよね」
ピッシリとバランス良くなるように・・・
私はいつも適当だけど
カナデはこだわっている・・・
私のハンガーは終わった
しかし横から手が出せないので待っている。
靴下もちゃんと2つセットに・・・
全体をバランスよく・・・
・・・遅い
私のショーツも、ブラも・・・ちゃんと干してくれてる・・・
それは私が干したかったけど・・・気にしてなさそう。彼の中ではパズルピースでしかない。ブラでもショーツでもない、あれはバランスゲームのピース・・・
聞こえる彼の声が
・・・このオレの靴下ちょっと重いな・・・
マナミのこの小さいフットカバー・・・軽い・・・真ん中に
オレのボクサーパンツ3枚か、枚数が半端だな・・・マナミのショーツ2枚じゃ・・・無理か・・・あいつの下着小さいな・・・
バランス、取りにくいーーーー
ーーーーときめけよっ!!!
ああ・・・!?ゴリゴリの真っ黒なレースの勝負下着でも買ったろうかこのやろうっ
その顔少しは・・・!
少しは赤らめろや!!こらぁぁぁぁぁ!!
私の方が、私の方が私のブラ持ってるカナデに慣れてないのにっ・・・
く、悔しいっ
「これでよし!!見ろよ!まっすぐ干せただろ!?」
カナデが輝いてる・・・
なに食わぬ顔で彼はベランダにそれを出した。
「あっちーーー!マナミ〜やっぱオレ買ってくるよ〜?」
私は叫んだ。
「一緒に行くんだってば!!」
次回「きみの贅肉も愛したい」
を送ったり送らなかったりします




