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現代幽荘物語  作者: かずや
皆とお付き合い

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夏の宴を始めよう

「ハァハァ、お、重かった……」

 短い距離だが相当な重さと熱さがあった。

 配膳のセットをして女性陣は職人達へ紙皿とスプーンを渡している、全員に渡し終えたのを確認してスズメが言う。

「皆さーん、今日も工事ありがとうございます〜!」

 ウォー!!

「ささやかですが色々ありますので〜テーブルには焼きとうもろこしと枝豆〜ご飯は各自よそってこちらに来てください〜」

 ウォー!!

「それでは皆様、どうぞ〜!」

 ウォー!!

 合間合間に野太い歓声が上がり、騒がしくスタートした職人達への感謝のキャンプファイヤー。

 狐音、ネコメとヘビメが中央の薪に手分けして火を付け大きくしていく。

 この時を待っていたと言わんばかりの勢いで、炊き立てご飯がみるみる目減りしていく。

 横で二列に並びカレールーを掛けようと待つスズメ、いつの間にかエプロンを身に付けてもう一人のカレー掛け係やっているユウメ。

 職人達はその勢いでカレーを貰うのかと思いきや、何故かざわつき出した。


「え!?どうしよう!?」

「俺、選べねぇよ……」

「二人に一人だと!?悩ませてくる!」

「お、おい!先の奴!は、早く行けよ!」

 なんだなんだ?と横の二人を見てざわつきの原因がわかった、横の二人だからだ。

 スズメは清楚なお姉さんで日頃から職人達の信仰が熱い、澄み切ったオーラを纏っている。

 ユウメはミステリアスな絶世の美女で抗えない魅力を醸し出す、いわば真逆の属性だ。

 そんな二人のどこに並ぶかで職人達はパニックになっているのだ、美人とは恐ろしいものだ。

 しかし、皆ご飯だけ盛って立ち止まられても困るのだが……その時答えを導いた者が現れた。

「コラ!馬鹿ども!困らせるんじゃねぇ!」

 ジャノメの一声で人垣が割れた、ズンズンカレー釜の前に寄り言い放った。


「お姉ちゃん達二人で掛けてくれ!」

 全員がアッ!となる。

「うふふ、はいどうぞ〜」

「ジャノメさん流石ですわ〜男らしい〜」


 男らしいとユウメの一言が決定打になったのか、「俺も!」「俺も合掛けで!」と一列になってしまった。

 (メイド喫茶じゃないぞ、まあ良いか……皆笑顔だし)

 少しハプニングのような事もあったが、全員行き渡り「頂きます!」のジャノメの号令に合わせて「頂きます」とスタートした。

 そこからは凄まじいの一言だ。

 各所で「美味すぎる!」「野菜ってこんなんだったか!?」等の感嘆の声、なんか祈りのポーズしている者、スズメを口説こうとしてジャノメ親方の鉄拳を食う者等々盛り上がりが男性らしい?光景である。

 幽荘の女性陣も大勢の食事会、それも男が多い状況に最初戸惑う者も居たがすぐに慣れ大笑いしている。

 (凄い盛り上がりだな、こんなになるとはな)

 予想では和気藹々と野菜とカレーをまったり楽しむくらいかと思っていた、しかし予想以上の盛り上がりで大宴会である。

 キャンプファイヤーを囲み炎を見ながら様々な人と交流し、歌い出したり踊り出したりする光景を見たりしながらカレーを頂く。このカレーが絶品で環境が更に美味しさを引き上げている気もする。

 騒がしくとも多少の騒がしさでは何ら影響が無い幽荘だからこそでもある。

「人の居ない場所だからこそだよなぁ」

「こんなに大きな宴はいつぶりでしょう〜お疲れ様です、ハイ縁さん」

 縁が宴会を見ながら呟いてると、スズメが横にやって来た。ハイと渡されたのはビールの缶だった。

「狐音さんユウメさんが大放出〜ですって」

「あの二人の備蓄酒か……皆、帰り大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ明日は日曜日で皆様お休みと聞いたから出したみたいですよ」

「まさかスズメさん、それも計算の上で今日のこの差し入れカレーを?」

「うふふ、どうでしょうね〜」

 天然な風に見えて計算尽くな面を見せるスズメが凄い。

「どんちゃん騒ぎになりましたが、皆カレー食べてます?」

「はい、もうとっくに完売してしまいましたよ〜一瞬でしたね、やはり男性の方は沢山召し上がりますね〜」

 おかわり出来たらと思っていたが、出遅れてしまったようだ。

 残念そうな顔が見えたのかスズメが囁く。

「今度は縁さん専用にお作りしますよ」

「……やった!」

 今日の経験は都会で得難いモノであった、スズメには学ぶ事が一杯で感謝している。

 野菜を育てて料理にする。

 それだけと言うには植物の小さな成長を毎日繋げて料理と言うとこまで持って行く、とても長く速度は遅いのに密度の濃い事をして食にありつけているのだ。

 

 スズメとそんな事を語らいながら共にお酒を頂く、縁がスズメを褒め倒したから頬が赤いのか酒のせいなのか。

「うふふ、縁さんが幽荘に来て本当に良かった。こんなに楽しい時なんですもの」

 そう不意に言われたら縁も照れてしまう。

 スズメと共に収まらない盛り上がりを肴に遅くまで飲み明かした夜だった。

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