ヘビメのお母さん
ジャノメがいつの間にか腕を組んで、喜ぶ四人を見ていた。
「あ、ジャノメさん脱衣所はどうですか?」
「ホレ、確認してみな」
四人でぐるりと周りを見て中を見る。機能的な造りになっておりコンパクトだが棚も多く女性陣には助かる造りとなっている。
「やっぱ本職の方は凄いわねぇ〜」
「うん、私の身長でも使いやすそう」
「ジャノメさん、本当にありがとうございます」
「なーに、これぐらいは簡単よ!」
笑い合っている中でヘビメが歩き出した。
「ヘビメさんどうしたの?」
「良いデザインが降りてきたわ、今から装飾するから道具持ってくる」
そう言って自分の部屋に向かってしまった。
「ヘビメは変わらんなぁ、ああいうとこは母ちゃんに似たな!」
そう言えばお母さんについては聞いた事無いな。
「母ちゃんも画家でよ、世界中飛び回ってるから帰ってこねぇのよ」
「え?世界中ですか?」
「ああ、こないだ久しぶりに手紙送ってきたけどナイル川でワニ描いてるって書いてたぜ」
想像する画家と違うのだろうか?ワイルドなハンターの間違いでは無いか?少しばかり失礼な事を考えてしまった。
「ヘビメさんはお母様が憧れって言ってますからね〜何年かしたら世界に飛び出るのかしら〜」
スズメがのほほんと言うがジャノメには相当なダメージを与えているようで胸を押さえてる。
「ヘビメちゃんが居なくなるのは悲しいけど…夢なら私応援する」
ネコメも想像して悲しくなったか表情が曇る、しかしすぐに夢の応援に向けて強い表情へ変えた。
ジャノメだけが悶えてる…子離れに時間がかかりそうだなと縁は男として同情だけしておいた。
ともあれ無事にドラム缶風呂の壁と簡易脱衣所は完成を果たし、ジャノメはまた明日の温泉改修本番でな!と帰って行った。
後は実際の運用を少し定めないといけない。
これまで温泉と言う事で皆好きな時間に好きなだけ入浴できたが、ドラム缶風呂は一人が入り一人が火の番で居た方が安心できる。頑張れば一人でいけなくもないが、やはり危険である。
そして壁を作った目的がそもそも縁と女性陣の交差を防ぐ為に作られた物である。健全な男なら覗きもあるだろうが、覗かないように物理的に労力を使って壁を作った精神性もまた健全なはずだ。
ただ色々考えた末に作った壁だが、当の女性陣達はあまり見られても気にしてないのが悲しい所である。
基本は二人一組、一人で使う際は誰かに声を掛けるのが望ましい。
時間帯についてはどうするか、これは皆と擦り合わせたいが今現在街に行くと言って出てしまった年長組二人が帰らないと進まない…
「朝から出てもう夕方近いけど…狐音さんユウメさんどこ行ったんだろ?」
「あの二人ならもう帰ると思いますよ〜暗くなるまでには帰るからって言ってましたから」
「どこ行ったんですか?」
「私も行き先は聞いてませんね〜久しぶりの二人で街行きにウキウキはしてましたけど」
スズメも行き先までは知らないようだ。
遅くならない内に帰ってきて欲しいものだが…
「別に大丈夫でしょ、なんだかんだで二人共大人なんだし」
ヘビメはペタペタと風呂壁に絵を描きながら言う。
(だと良いんだけど…あの二人…だから心配なんだよなぁ)
縁は年長児二人が酒を飲んで運転してないかが一番心配なのだった。




