思うこともあり
頂いたおじやにご馳走様と言い辺りを見渡す、綺麗に掃除されており昨日の荒らし様が無かったかのようだ。おそらくだが先程居たスズメのおかげだろう、皆が入り騒げるくらいの空間も今は静かに自然の音と木の香りがする落ち着いた丸太小屋になっている。
(…楽しかったな)
縁は昨夜の幽荘の皆が集まれた宴は初めての経験であった(ユウメが参加出来なかった初回食事会はあったが)
「何というか浪人になって目標しか見てなかったなぁ…」
椅子に深く腰掛け深呼吸をする、縁は春前の自分を振り返っていた。
二浪目が確定した時の自分は無価値だと思い引き篭もり何もしなかったのだ、もしかしたら幽荘管理人はそんな魂抜けた縁を見兼ねた両親からのアシストだったのかもしれない。
子供の頃から特に遊びはせずに勉強を優先してきた珍しい子供だったとは思う、かといって人付き合いは大事だとは思う事で頭でっかちの勉強面は賢いがコミュニケーションが取れない人間にはならないようにと持ち続けていた。
親は特に進学については口を出さず、結果だけを受け入れうるさく言う事は無かった。笑って生きてれば良い、それが両親から長く言われてきた言葉だったのだ。
「幽荘行きを言われた時は下手な芝居してたな、あれも元気付けの一つだったんだろうが…」
縁はこの幽荘に来て色んな人に会い答えは出ていた。
「まあ…来て良かったよ父さん母さん」
誰も居ない空間に響いた小さな声を恥ずかしくて消すよう、勢い良く立ち上がり温泉に入ろうと歩き出した。




