ねこめ
縁は部屋で荷解きを進めているとノックの音がした
(もしかしてここもインターホン壊れてんのか)
返事をしながらドアを開けると目の前に着物を着た狐音さんが居た
「え?普段着着物?」
「基本ワシはこの姿じゃよ、ラフな姿もするがの」
これはこれで狐音さんの雰囲気に合う姿だが…
ともあれ来て頂いたので中にお通しする
「すいません散らかってまして」
「気にするな気にするな、時間掛けて整理するがよい」
まだお茶も出せないがとりあえず当面の話を伺う事にする
「それで俺はここで何をすれば良いんですかね?親からここに住めとしか言われてなくて…」
「ふむ、隆二と里子はよーく知っとるよ、あやつらも変わらんの」
隆二、里子、父親と母親の名を知ってると言う事はますますこの場所との繋がりがわからない
「まああやつらの話はいずれな、取り急ぎやって貰いたい事があるんじゃ」
「できる事なら何でも」
「良い返事じゃの、この部屋の隣二〇一号室の住人なんじゃが…部屋を改造した際にこれまで使えとった機械が使えなくなったようで不貞腐れて引き篭もっとるのじゃ」
「えぇ…」
「主若いから機械いけるじゃろ?手助けしてやって欲しいんじゃ」
「えぇ…」
まさかの依頼に同じ事しか言えなくなる
若い=機械に詳しいはお年寄りの発想なんですが…
とりあえず見てみないことにはわからないので直せるかは別としてやってみる事に
狐音さんと共に二〇一号室へとやって来た
コンコンコン
「ネコメー!出てこい〜機械直せるかも知れんぞー」
狐音さんが呼び掛けながらノックを連打する
インターホンどこも壊れてんのか
しばらくするとドアが少しだけ、ほんの少しだけ開いて隙間から目が見えた
「ネコメ、ほら機械見てくれるんじゃよ出といで」
「直せるの?」
幼なげある声が聞こえてくる
「見てみんとわからんから入れておくれ」
「うん」
やっとドアが開いた
そこに見えたのは小柄な少女、茶髪のショートヘアに大きなヘッドホンを首に掛けてカラフルなシャツにハーフパンツと言ったボーイッシュな女の子だった
「ほれ、まずはこちら新しい管理人でネコメの隣に越して来た縁じゃ」
「紬 縁です、よろしくねネコメさん?」
小さな子だし出来る限り優しく接してみたが、どうにも人馴れしてないというか狐音さんの袖に捕まり見つめてくる
「ほれほれ、ネコメ挨拶せんといかんじゃろ」
「…ネコメ、よろしく」
片言だけどネコメさんはなんとか挨拶をしてくれた
挨拶なのか…?
とりあえず何が起きてるかを聞きたい
「あのネコメさん?何が起きたの?」
「…きれた」
「ん?」
「ネットが、切れたの」
「……とりあえずちょっとだけ見せてくれる?」
コクリと頷いて部屋に上げてもらえた
「おぉ…」
カーテン閉め切られた暗い部屋にモニターの明かりだけが部屋を照らしている、必要最低限の生活空間よりパソコンとモニターのスペースの方がデカい
「凄い部屋だ…」
思わず声を出してしまい、しまったとネコメを見たが何でか照れている
ツボがわからん…
「えっと、ルーターは…あっ!……よし」
「……!!」
繋がった、ただ線が抜けてただけである
(こんだけパソコン設備充実させてるのに線抜けに気付かなかったの…なぜ?)
呆気ない解決を経てネットが繋がる、みるみる内にネコメの顔が明るくなる
「ありがとう!ありがとう!!」
ぴょんぴょん跳ね全身で喜びを表すネコメを見て狐音と共に微笑む
子供らしい無邪気な笑い方をしながらネコメは抱きついてきた
「お兄ちゃんありがとう!」
頭を擦り付けて強すぎるぐらいの愛情表現に出会った時の人見知りはどこにいったのか
「良かった良かった、改めて隣に住む縁ですよろしくね」
「うんネコメです!よろしくです!」
「うむ、大活躍じゃ縁!ネコメお主は数日引き篭もっておったじゃろ?風呂じゃ!入れてやるからの!」
狐音さんに担がれ行ってしまった…
なんとか初仕事成功…?なのか?
とりあえず部屋戻るかとネコメ部屋が気になった
(一人で住んでるのか?こんなとこであんな少女が?)
縁は湧き上がる疑問に今は蓋をした




