空き家の虫退治
日曜日。
天嶽神社に、集合した。
「みんな、集まったね!」
紅菜がみんなに提案した。
「空き家の虫退治する前に――」
「みんなで、お参りしてから行こう」
「そうだね!」
麗が、頷く。
私と姫心も――。
頷いた。
四人で並んで――。
二礼二拍手。
そして、手を合わせる。
みんな――。
それぞれ、何かをお祈りしているようだ。
でも――。
紅菜だけは、声を出して。
「神様――」
「次回は、美味しいスイーツが――」
「タダで食べれるミッションを、お願いします!」
「どうか、どうかお願いします!」
「あんた――」
麗が、呆れる。
「また、そんなお願い事して~」
姫心も呆れながら。
「紅菜のせいで――」
「変なミッション来たら――」
「私、やらないからね」
「そんなこと、言わないでよ~」
紅菜が姫心にすり寄る。
「でも、みんなだって――」
「美味しいスイーツを、タダで食べれたら――」
「喜んでやるでしょ?」
「まぁ~、そうだけど~」
麗が、認める。
「そんな都合いいミッションなんて――」
「来ないよ」
姫心が呆れながら言った。
「わからないよ~」
紅菜が私を見て。
「だって、うちらには――」
「神様の声が聞こえる、巫女様がいるんだから!」
「ね! 琉々」
「神様と話せるのと――」
私は、申し訳なさそうに。
「都合の良いミッション貰えるのは――」
「関係ないと、思う......」
「さぁ――」
そんなやりとりを見ていた麗が。
「そろそろ、青い屋根の家――」
「探そう」
姫心が、提案する。
「みんなで――」
「バラけて探す方が、効率良いんじゃない?」
「確かに!」
紅菜が、頷く。
「じゃ~、手分けして探そう!」
「見つけた人は――」
「スマホのグループに、位置情報送ってね!」
「りょ~か~い!」
三人が、声を揃える。
それぞれ――。
自転車に乗り。
バラけて、探し始めた。
* * *
私は――。
自転車を走らせながら。
青い屋根の空き家を、探した。
(なかなか、見つからないな~)
そう思っていたら――。
スマホの通知が、鳴った。
紅菜「見つけた!」
「空き家の位置情報を送るから――」
「ココに、集合して!」
麗「OK!」
姫心「了解」
私も――。
「わかった」と返信して。
その場所に、向かった。
到着すると――。
紅菜と姫心が。
自転車を止めて、待っていた。
その後――。
ちょっとして、麗が合流した。
「ねぇ、みんな見て」
紅菜が言う。
「ほら――」
「かなり痛んでるけど――」
「あそこの家の屋根、青いでしょ?」
「確かに――」
麗が、頷く。
「青い屋根だね」
姫心が空き家を見ながら。
「なんか――」
「時代を感じる、家だね」
「それにしても――」
「勝手に入って、いいのかな?」
不安そうな姫心。
「神様のミッションなんだから――」
「いいじゃない?」
あっけらかんとした顔で言う紅菜。
「後で――」
姫心が、心配する。
「怒られたり、したらヤダな~」
「大丈夫、大丈夫」
「神様を、信じよう!」
そう言って――。
紅菜が、玄関のドアを。
そお~っと、開けた。
「おじゃま…しま~す」
建て付けの悪い――。
玄関のドアを、恐る恐る開けて。
入る、四人。
* * *
玄関に入ると――。
すぐ右に、部屋がある。
「とりあえず――」
紅菜が言う。
「こっちの部屋、見てみよう」
畳が敷かれた――。
和室のようだ。
丈夫そうな――。
箪笥や化粧台が、置いてある。
どれも――。
埃まみれだ。
窓は割れて――。
外が、まる見えだ。
「うわ――」
紅菜が言う。
「埃が、すごい」
気づくと――。
姫心は、マスクをしていた。
「はい――」
「これ、みんな使って」
姫心が――。
みんなに、マスクを配る。
「さすが、姫心!」
「準備、いいね!」
マスクを受け取った麗が言った。
マスクで顔が隠れているけど――。
嬉しそうな、姫心。
「こっちは――」
「何にも、なさそうだね」
部屋を見渡しながら紅菜が言った。
「奥、行ってみよう」
歩くたびに――。
きしむ、床。
「ここ――」
紅菜が言う。
「絶対、夜は来たくないよね」
「何か、出そう」
「夜じゃなくても――」
麗が言う。
「虫が出ることは、もう決まってるけどね」
「やだな~」
姫心が、震える。
廊下を進むと――。
左に曲がった先に。
二階に上がる、階段があり。
階段の前を右に進むと――。
左手に庭、右手に部屋が二つ並んでいる。
階段を見て紅菜が提案した。
「一階と二階で――」
「別れて、調べよう」
「琉々は、私と二階行こう」
麗と姫心は――。
頷いて。
庭が見える廊下の方に、進んだ。
私と紅菜は――。
二階に上がる階段を、登った。
* * *
階段を登るたびに――。
ギーギー音が、鳴る。
(大丈夫かな~)
(階段の底、抜けたりしないよね......)
紅菜も――。
ゆっくり、階段を上がってる。
「琉々――」
「気をつけてね」
「うん」
二階に上がると――。
真ん中に廊下があり。
左右に、二つずつ部屋があった。
一つずつ――。
部屋を、見て回る。
最初の部屋は――。
客間のようで、何もなかった。
二つ目は――。
書斎のようで。
大きな机と本棚が、置いてあった。
埃まみれの本が――。
数冊、本棚に並んでいる。
(ここは――)
(持ち主だった人の、部屋なのかな?)
三つ目の部屋の――。
襖を、開けた。
襖を開けると――。
正面の上の方に、神棚があった。
「だいぶ――」
「埃、被ってるね」
紅菜が神棚を見上げながら言った。
私は――。
頷いた。
「ここも、違うね」
最後の部屋に――。
向かった。
襖に、手を伸ばすと。
「なんか――」
紅菜が私を見て。
「ここ、すごく嫌な予感がする......」
「私も――」
私も頷いた。
襖を開けると――。
何もない部屋に。
屋根裏部屋に続く、ハシゴがあった。
「う~――」
紅菜が、嫌がる。
「行きたくない......」
「琉々――」
「先行っていいよ!」
「え~――」
私も、やだ。
だから紅菜に提案した。
「じゃんけんして、決めよ」
紅菜が力一杯拳を握りしめて。
「最初はぐー――」
「じゃんけんぽん!」
紅菜がグーで。
私がパー。
「うわ~、最悪」
紅菜が、負ける。
「琉々、もう一回お願い!」
「やだ」
私は、きっぱり断った。
「紅菜、先行って」
「はぁ~」
紅菜が、ため息を吐く。
「わかった」
紅菜が――。
渋々、ハシゴを登る。
それに続いて――。
私も、登ろうとした瞬間。
「ぎゃ~〜〜!!!」
紅菜が、叫ぶ。
「無理無理無理無理」
紅菜が――。
ハシゴを飛び降りて。
逃げて、行った。
私も――。
ハシゴを登って。
上の部屋を、確認すると。
部屋の端っこに――。
無数の白い卵が、ひしめいている。
(うわ…!!)
私も――。
すぐに、ハシゴを降りて。
一階に、走って逃げた。
* * *
階段を降りると――。
すぐに。
今度は、奥の方で。
姫心が、悲鳴をあげている。
「きゃ~〜〜!!!」
姫心の声が――。
聞こえる方に、行くと。
お風呂場の前で――。
倒れている、姫心。
「姫心、大丈夫?」
姫心が――。
手を震わせながら。
お風呂場の湯船を、指差している。
「虫、虫......」
「もう無理、帰りたい」
姫心の涙目で――。
恐怖する姿を見ると。
とてもじゃないけど――。
確認する勇気は、ない。
遅れて――。
麗が、来た。
麗が――。
お風呂場を覗くと。
「うわ~、最悪」
「ここも、虫だらけじゃん」
「台所も――」
「ミミズとか、ムカデがいっぱいいたよ」
* * *
一旦――。
家を出た、四人。
「こりゃ~――」
麗が言う。
「私たちだけじゃ、無理だね」
姫心が言う。
「私、やっぱり、虫退治――」
「絶対、無理」
私も、頷く。
「想像以上に――」
「いっぱいいたね」
紅菜は――。
少し、考えていたが。
何かを、思いついたようだ。
「そうだ、助っ人を、呼ぼう!」
「助っ人って――」
「誰?」
私は、聞いた。
「うちの、弟!!」
紅菜が答える。
「虫、大好きだから――」
「虫退治にピッタリ!」
「それは、心強い」
麗が言う。
「そうだね」
姫心も、頷く。
「こういうのは――」
「男の子に任せる方が、いいかもね」
「そうしよう!」
紅菜がみんなに提案する。
「来週――」
「弟連れてくるから――」
「また、ここに集合で!」
麗が答えた。
「OK」
「姫心も、連行するね」
姫心「......」
私も――。
頷いた。




