第0話 プロローグ
体が崩れていくのを見ながら俺は言った。
「疲レ…タ…。」
「そんな…!悠馬、だめ!」
イリアが泣きながら俺を支える。
必死に治癒魔法を使っている。
でも、それでは俺の"崩壊"は、治せない。
これが、生と死の力を同時に持った代償なんだ。
どうか、泣かないでくれ、イリア。
「イリ、ア。愛シテる。」
「悠馬!!お願い!やめてください!」
周りの人が、泣きながら俺を見つめてくる。
「おい、嘘だろ……。お前が、消えるなんて……」
いつも俺に突っかかってきた戦士のガルグが、血がにじむほど拳を握りしめ、悲しみと悔しさに声を震わせていた。
その時、ヴィオラが俺の近くへ進み出てきた。
ギルドマスターだった彼女は、実は過去に俺が助けた少女だった。
昔はすごく弱かったのに、よくここまで成長できたな…。と思う。
ヴィオラがいる限り、この世界を任せられる。安心していいだろう。
「悠馬、様…。後はまかせろ、なのじゃ。」
「アリ…がトウ。 ヴィオラ。」
「だめ!悠馬!」
俺の体は既になくなりかけていた。
初めてこの世界に来た時のことを思い出す。
怪物に食われたと思ったら、召喚されて何もわからないまま殺された。
何とか生き延びると、女神に無茶振りされて、相棒のミナと出会い、冒険者になり、強力なスキルを手に入れて、敵を倒しまくった。
何度も死に、何度も戻った。
死ぬたびに力をつけていって、ついに"それ"を倒すことに成功したが、あいつに全てを奪われた。
その後、神と契約して、強大な力を手に入れて、そいつを倒し、壊された因果を取り戻す事ができた。
当然その力の代償は重かった。
死の安息が得られず、永遠に消滅する。
だが、それが分かっていても、俺は諦めなかった。戦うことを選んだ。
なぜなら、あいつと約束したから。オレを守って死んだ、俺の相棒と。
そして、俺がここに存在していたのだから。
全ては始まりと終わりで一本の糸のように繋がっていた。
これが終わりで、始まりなんだ。それが、世界の運命だから。
視界が明るくなっていく。
イリアの泣く声だけが鮮明に聞こえた。
「ありがとう、みんな。」
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