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少年サッカーのコーチやってみた! ― 未経験の父が学んだ、子どもたちの成長と勝ち方 ―  作者: 岩田 ヒロ


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8/10

骨折と肉離れ

誤字脱字を修正しました。

 年明けの区大会予選のため、11月、12月は出来るだけ練習試合を組んだ。吉田代表が昔から付き合いのある近所のチームに声をかけてくれた。吉田代表も村上コーチも平日の仕事中でもメールでやりとりして予定を組んでいく。自分にも仕事中にメールがくるたびに携帯がブルブル震えた。仕事もコーチも忙しくなってきた。


 11月も半ばのこの日は格上の鶴見FCと練習試合だった。昨年の市大会予選では、0対0で前半を折り返し、後半二点入れられて敗れたのだった。


 鶴見FCのメンバーは横浜SCとやると選手たちが自信持つから是非と言ってきたらしい。村上コーチ、浜田コーチ、山下コーチ、直輝コーチと自分の五人のコーチ陣が揃って、なんとか鶴見FCをギャフンと言わせるためにあれこれ作戦を練る。


 前回と同じように20分、四本をやることになった。今日の審判は鶴見FC専属の若いコーチたちが主審と副審をやってくれることになり、もう一人の副審を横浜SCから出すことになった。そこで、浜田コーチと自分が交代で副審に入ることになっている。一本目は浜田コーチが副審に入ってくれた。


 最初の一本目は鶴見FCの一方的な試合となったが、なんとか横浜SCは無失点に抑えた。直輝コーチが試合見ながら、


「相手のトップ下の10番、めちゃくちゃうまいっすね。彼にボール渡すと好き勝手やられてます。彼に仕事させなければいけるかも」


 と言った。


 ハーフタイムで、村上コーチが選手を集めた。


「1本目、無失点に抑えた。鶴見FCに対して、すごいぞ。それで2本目、点を取りに行こう。相手はまずボールを10番に集めてから攻撃してくる。だから10番にいくパスをカットしよう。そこで、マオとワタル、相手の10番マークして、ボールにさわらせるな。そうすれば相手の攻撃が止まって、うちにチャンスが回ってくらから」


 ワタルが「はい」と返事し、マオは声出さず頷く。


「他のメンバーは二人がカットしたボールを拾って攻撃につなげよう。なんとか点取ろう!」


「はい」全員が気合いの入った返事をした。


 ---


 2本目の副審は自分が入った。マオとワタルが相手10番にボールが通らないように走り回っている。うまくカットし攻撃に出る。この作戦はなかなかうまくいっていて、徐々に相手陣地でのプレー時間が増えていった。自分は横浜SCサイドの副審だったので、ハーフウェーラインまで上がって試合を見ることが出来た。


 次の瞬間事故が起こった。


 マオが敵10番へのパスをカットし左ウィングのユースケにパス。ユースケが前にトラップし、ドリブルで駆け上がった。理想的なクロスを上げる場面だ。敵のサイドバックがボールを止めようとスライディングアタックしようとする。ユースケがクロスを上げるところで二人が交錯した。ボールはサイドのタッチを割る。二人が地面で転がっている。


 敵のサイドバックはすぐ立ち上がったが、ユースケが足を抱えてうずくまっている。主審がピッピッと試合を止めて、ユースケに近づく。主審が村上コーチと呼ぶ。村上コーチがユースケまで走っていき、浜田コーチを呼ぶ。二人でユースケをピッチの外に運んだ。自分も飛んで行きたかったが、副審だったのでじっと様子を見ていた。


 浜田コーチがユースケの右足のシューズを脱がし、冷却剤で足首を冷やし始めた。ユースケの顔が痛さで歪んでいるのが分かる。村上コーチが選手交代と言って、ナオヤが代わりにピッチに立つ。


 ---


 2本目が終わり、ユースケのところに飛んで行った。


「大丈夫か」


「いてぇ」


 足首が腫れてるように見える。


「ユースケ、骨折してるかも、すぐ病院連れていきましょう」と浜田コーチが言うと、直輝コーチが、


「僕車だから、近くの緊急病院行きましょう」


 と言ってくれた。


「浜田コーチと私が後はなんとかしますから、病院行ってください」と村上コーチも言ってくれた。


 皆さんに感謝して、ユースケをおんぶして直輝コーチの車に乗る。携帯で妻に電話して保険証持って病院来てとお願いした。いつも元気なユースケが痛がって、静かになってる。保冷剤で足首を冷やしながら、「大丈夫、病院行けばすぐ治る」と声をかけた。


 ---


 病院について、事情を説明した。看護婦さんが車椅子にユースケを乗せて、レントゲン室に向かった。待合室で直輝コーチと待っていると妻も駆けつけた。


 三人で待っているとユースケが車椅子に乗って看護婦さんと診察室から出てきた。右の足首をギブスで固められ、包帯でぐるぐる巻きだ。右足のくるぶし骨折、ギブス一ヶ月、全治二ヶ月らしい。年内は安静にしなくていけない。サッカーはお休みだ。


 直輝コーチに家まで送ってもらった。ユースケはかわいそうに一ヶ月は松葉杖生活らしい。


「毎日牛乳飲めば早く治るよ」となぐさめた。


「暇だからプレステのサッカーゲーム買って」と言うので買って上げることにした。


 ---


 練習試合の方は10番を抑える作戦は三本目から通用しなくなり、相手はサイド攻撃で仕掛ける作戦に変更したらしく、四本終わったところで、0対2という結果だったらしい。


 試合終了後、鶴見FCの監督とコーチがユースケの心配をしていたことと、スライディングはボールにいっていて、交錯時の接触事故だったという話がされたようだ。怪我の一つ二つはある意味勲章であると思う。ちゃんと治るようにケアしてあげようと思った。自分もラグビーで鼻の骨折ったことを思い出した。


 ---


 ユースケがサッカーの練習に参加できなくなったが、週末の練習はあるので、自分はコーチとして参加を続けただが、またまた事故が起こった。今度は自分に!


 12月の上旬の練習でミニゲームをした。副審をしていた自分にまさかの事態が起こった。


 ワタルがキラーパスを出したので、タッチラインに沿ってダッシュをした時、


 パン!


 あれ? 誰だ自分の右ふくらはぎにボールをぶつけたのはと思ったら、違った。右足が言うことを聞かない。


 思わず転がって倒れてしまった。何が起こったか分からないまま、立ちあがろうとしたけど、右足が言うことを聞かない。びっこを引いて歩こうとしたけど歩けない。


 ピッピッとホイッスルを吹いて、村上コーチが近づいてきて、肩を貸してくれた。


「やっちゃいましたね」とニヤニヤしてる。


「肉離れですよ。パンッて音聞こえたでしょ。寒い時、いきなりダッシュすると肉が切れます。わたしもやったことあります。新人コーチのあるあるです」


 その後、またまた直輝コーチに緊急病院連れていってもらった。妻にもまた保険証を持ってきてもらった。


「今度はお父さん?」と笑ってた。


 医者がふくらはぎにテーピングしてくれた。家で自分でもテーピング出来るようにやり方も教えてくれた。全治一ヶ月、松葉杖の生活が始まった。直輝コーチが、


「寒い日は筋肉が暖まるまで準備運動しないと危険です」


 と教えてくれた。


 ---


 松葉杖で会社に行った。石川さん、どうしましたかといろんな人が聞いてくる。


「子供の少年サッカーのコーチしていて、審判した時、ダッシュしたら肉離れ」


 10回くらい同じ説明をした。


 父、子、二人揃って松葉杖生活だ。週末は二人でプレステのサッカーゲーム三昧だった。ユースケは牛乳の飲み過ぎと運動不足で太り、自分もビールと運動不足で太った。こんな年末を過ごせたのも少年サッカーのおかげだ。


 怪我の回復、年明けの区大会の予選に間に合うか?

読んで頂き、ありがとうございます。

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