写真61
最近は三日に二回ペースで一日1700字ほどかいてます。
もくずさん大好きです
「好きなんです。付き合ってください」
いきなりそとから告白が聞こえてきた。一年生と思わしき男子生徒が固く目をつぶり女子生徒に手を差し伸べる。大勢の観客が見守った告白は女子が手をとり成功に終わった。周りからは拍手が聞こえてくる
「成功したみたいですね」
力哉は嬉しそうにしてみるのをやめる。もくずさんは少し長くそれを見ていた
文化祭マジックという言葉のある通り、文化祭での告白の成功率は通常時とくらべ各段に高くなる
それがもくずさんの頭には黒川先輩のことがよみがえってきた
もし黒川先輩が力哉に告白したら、力哉はオッケーするのかな⋯
黒川先輩は力哉にすごい構っているみたいだし、力哉もそこまでいやって顔をしていなかった⋯
胸が痛くなるのが分かる。
「力哉ってさ、好きな人いるの?」
言った後深い後悔が襲ってくる。聞いてしまった以上なんであれ返答は帰ってくる。もしこれでいたらさらに不安になってしまうだけで、いなかったら安堵より自分だけ力哉に気があることが分かってしまう
言わなきゃよかった。
「まぁ気になっている人はいます」
力哉は恥ずかしそうに答える。もくずさんはできるだけ不安を無くしたい一心で
「前さ、真面目な人がタイプって言ってたよね、他にはどんな人がタイプなの?」
「うるさい人は苦手なので、どちらかと言えば静かな人がタイプです」
「そうなんだ」
もくずさんは静かに答える。心の中で拳を握った
良し。さっき見ただけだけど多分黒川先輩はどちらかと言えば、にぎやかな感じだった
私は⋯⋯。力哉はわたしのことを女性と思ってくれているのかな。それともただの友達だと思ってるのかな
それを聞く術は直接聞く以外存在しない。安堵と不安の狭間で苦しめられるもくずさんの体を、誰かがうしろから抱きしめた
「んがー女子高生のメイドコス。いい匂いするねー」
瞳がくんくんもくずさんのお腹あたりに鼻をちかづけ匂いを嗅ぐ。ジト目になったもくずさんは瞳の頬をむぎゅっとつかんだ
「⋯なにしてるの?」
「女子高生タイムー。杏奈ちゃんの両親が来てるみたいで少しあってくるらしくて、その間暇で。あっそうだ!今まで私がもくずさんを抱きしめてばっかだったから、もくずさんも私のこと抱きしめていいよ」
瞳はもくずさんに向かって腕を広げる。
「別に私はいいかな」
「振られちゃったよ⋯⋯。あ、力はだめだよ」
「知ってるし、行けてもしないかな」
「ひどいねえ」
力哉と付き合いが長い瞳はもくずさんに断られた時ほど残念がらない。異性として見ていないのは互いにわかりきっていた
「友達の出し物にいく約束してるんだけど、良かったら二人も来ない?」
特に行く当てもなかったので、二人は瞳について教室に向かう。
受け付けの女子が瞳を見た瞬間、目の色を変え瞳に近づき頭をなでた
「あっらーみーたん本当に来てくれたの。いつもみたいに来ないかと思ってたよ」
「そりゃあ文化祭は楽しいほうがいいからね」
前言ってた「みーたん」の愛称は本当に実在したんだ。もくずさんと力哉の頭に同じことが浮かぶ
受付の人は終始瞳をすりすり触りながら店を案内する。そこはフォトスポット的なところで、書かれた面白い絵などを背景に写真を撮るところだった
「本当は写真撮ってくれる人いたんだけどその人今、脱走して家帰ったらしいから、ごめんだけど写真はセルフでとってちょうだい。なんかあったら私に聞きにきてね」
名残おしそうに瞳のすりすりをやめ去っていく。瞳は「ようやく終わった」という顔でため息を漏らした
「このカメラ時間差でシャッターをしてくれる機能あるみたいだからみんなで撮ろうよ」
置いてあったカメラを見て瞳が言う。カメラを設定し三人は欧州の庭が書かれた黒板に並んだ。
少しして写真が撮れる。機械から写真が出てきた。
ピースで構える力哉ともくずさん、ダブルピースの瞳が映っていた。
「これQRコードでスマホに保存できるみたいだからあとで二人に送っとくね」
写真と言えば、前兼六園に行ったとき写真を送ってくれると言っていたけど、結局まだ送られていない。
瞳のことだし忘れているんだろう。この写真も送られてくるのがいつになるかわからない。
早く見たい反面、気長にこの日々を過ごしていたい自分もいた。




