表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海中もくず  作者: 椎名 園学


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/70

開店54

「いっらしゃいまぜー。こんな感じですか親分?」

顔を真っ赤にして廊下に向かって叫ぶ瞳。その横で大御所のように座る瞳は首を横に振る

「違うよ。ちゃうちゃうだよ。杏奈ちゃん。腹から声出ちゃってる。巷ではお腹から声をだせば良いって風潮があるけど、あれはね綺麗な声が出るからであって、声を出来るだけ遠くまで届かせるときは喉をつかうんだよ。喉から声を出す」

商品が書かれたメニューをメガホンを置き、瞳は体をくの字にそらす

「いいいだじっじゃいませーー」

微かにがらついた声は、瞳の言った通り遠くまで響きやまびこで帰ってくる

「さ、さすがです親分」

「そうだろう。これでも小さい頃はのど自慢大会出たことあるからね」

予選敗退だったことを隠し瞳は鼻を高くする。

「次はねフィジカルで行くんだよ。フィジカルで見てて」

杏奈の熱烈な視線を背中に、瞳はその場を飛び出し隣のクラスに飛び込む。

少しして、瞳は女生徒を二人だきついて教室から出てきた

「ねーお願い。ちょっとだけでいいから私の教室来てよー」

「じゃあちょっとだけだからね」

「やったーありがとー」

瞳に引っ張りだされた二人は微かに嫌な表情を浮かべながらも、受付を通りメイド喫茶に入っていく

「見た杏奈ちゃんこれがパワーだよ」

「さすがです。おやぶん⋯⋯」

瞳を


そんな瞳のほっぺを明美は後ろからぎっしりつかんだ

「賑やかなのはうれしいんだけど、やっぱり瞳は中で接客したほうが良いと思うからこよっか」

「ふぇ?たひかにそうかも」

頬をぷにぷにされながら瞳は部屋の中に連行される。ともに杏奈も連れられ、代わりに力哉が中から手を掴まれてやってきた。

「ってことで力哉君お願いしていい?」

「いいですけどこういうのは女子がやった方がお客さん捕まえれるんじゃないですか?」

「いい感じの子がいないからね。それに力哉君も顔悪くないか大丈夫だって」

「メイド喫茶!!」と書かれたプラカードを渡され明美に言われるがまま廊下に立たされる。

文化祭が開会して周りには一般客を含めかなり大勢の人が既に回っていた。

けど瞳の咆哮のせいかみんなメイド喫茶をちらりとみるだけで全然中に入る気配が見えない。

さっきのをくらっていない人達がやってくるまではお客はないだろうとさっきまで瞳が座っていた椅子に力哉も座る。静かに周りを見ていると改めて思ったが、生徒が多い高校なだけあって周りを見てみても全く顔なじみのない生徒が多い。もし中学時に何もせず周りに合わせ公立の高校に進学していたら見えている景色は違ったのかな。多分今の俺は普通の高校生らしくないことを体験していると思う。

同級生の家でお酒を飲んだり、ストーカーの人にあったりと。

まぁこっちの方が楽しくて良かったかもしれない。

そんな風に黄昏ていると見覚えのある顔が見えてくる

「あ、君確か吉塚力哉だよね。覚えてる?」

顔をあげ見てみると野球の時に出会った春夏冬となのった女が一般客のカードを首にぶら下げて目の前に立っていた

「春夏冬さんですよね」

「あ、そうそう。君のクラスは喫茶店か、君今売り子中?」

「そんな感じです」

「へー。ここ抜きアリ?」

「な、何言ってるんですか。なしですよ」

「反応するってことは意味知ってるんだ。最近の若者は乱れだねえ」

年上の女性からの下ネタに慣れていない力哉の恥じらいに春夏冬は楽しそうにけらけら笑う。

やっぱりこの人は普通の人ではない。きっと俺を茶化したいだけで中に入る気はないんだろう。

これ以上何か変なことを言われる前に、それっぽく返そうと咳払いをする。

ちょうどその時明美が教室から出てきた

「お、力哉君知り合いの方?⋯⋯って春夏冬先生じゃないですか」

「先生⋯?」

「明美もこのクラスなんだ。ならちょっとお邪魔しようかな」

「先生いつもお金ないですよね。邪魔するなら帰ってくださいね」

「そんな冷たいこと言わずにー」

「ってか先生今謹慎処分中じゃなかったんですか?」

「そうだよ。だから教師としてじゃなくて一般客として入ってんの。これならセーフらしいから」

「あ、前愛知に行った時のお土産まだ渡してませんでしたよね?あれ渡せなさそうなんで何か一品ご馳走しましょうか?」

「おお、メイドの土産的なね。熱いねぇ。じゃ力哉、私客になるから案内よろしく」

春夏冬は力哉に、悪い顔をしながら特別可愛くウインクする

二人の会話を整理するに春夏冬はこの学校の教員で今謹慎処分中だから一般客として店に入ってる⋯

俺は学校の先生にスポーツ賭博を誘われ、それで賭けたのか⋯

自分がやったことに体の内側が変に気持ち悪く感じてくる。があれから数か月たっているけど四月一日先生からは何も言われたことないし、持ちかけた春夏冬も特に気にしていなそうなので、もしかしたら静かにしていれば大丈夫かもしれない

突然の情報過多で瞼が重くなってくるのを感じながら、力哉はとりあえずお客として春夏冬を店に入れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ