表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リベレーター・元生贄と絶望から咲いた希望たち  作者: モッフン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/145

歓迎会

「使用属性の制限か、俺とアイザックの采配が試されるということか」


 私とルーシーの交わした契約に課せられた制約に店長はこれまでない程に真剣な表情を浮かべていた。

 緊急転移ができる分、その後大きな問題に私が遭遇した際は制限がかかってる間それをカバーできる仲間を連れてこなきゃいけないからだ。

 当該の問題にエイミーが現実的な意見を述べる。


「毎回セレスさんやフィオラさんばかりに頼るわけにもいかないわよね。

 それこそ普段の魔物討伐くらいならミスティやユーゼを呼べば事足りるだろうし」


「まさに店長とアイザックさんの腕の見せ所ってとこね」


「あはは、ルーシー容赦ないね」


 私の渇いた反応とは対照的にロウさんはルーシーの意見に首を縦に振りながら肯定の意を示している。


「たとえ個々の力が大きくとも統率が取れていなければ瓦解は避けられん。

 それを踏まえるとある意味では店長やアイザック氏次第でいかに不利な状況でもひっくり返せるということだ」


 さすが達人、その頭脳を少しは女性への気遣いに回わしてくれれば……って芯から武に染まりきってる人にそんなこと求めるのは酷な話かぁ。

 そんなロウさんの分析に便乗しながらルーシーが更に店長に詰める。


「ということなら、どんな采配を見せてくれるかしら?」


「そうだなぁ、とりあえず飯でも食べながら考えるとしよう」


 店長のあまりに突拍子のない発言にエイミーが即座にツッコむ


「え、もう閉めんの? まだ夕方よ?」


「少し早いが店じまいだ。 今日はシェイナ君が加わってから始めて全員がそろったからな、歓迎会といこうじゃないか」


「え、店長さん、私に……?」


「あぁそうだ。 君はもはやハート・ユナイティスの大切な家族だか……ど、どうしたシェイナ君、俺なんかやってしまったか?」


 うろたえる店長にシェイナちゃんは嗚咽気味に首を横に振りながら「違う、違うんです」と答える。


「ただ、ただうれしくて、少し前は明日のパンの心配もして悲しかったのがこんな日が来るなんて、みんなありがとう……ありがとうございます」


 目の前の少女の切実な感謝の念に私も思わず感極まってしまい気がついた時にはシェイナちゃんの両手を握っていた。


「2年後、2年後はお兄ちゃんも一緒だよ。 その時は兄妹完全復活祝いをしよう。

 サイラのみんなも呼ぶからきっと騒がしくなるよ」


「っ! はいっ」


 話半分とかにするつもりはない。 だって今のシェイナちゃんを築いてきたクイック・リリーフも彼女の家族なんだから、祝うんだったら大所帯がいいよね。


「あはは、結局ノエルが全部持ってっちゃうのね」


「いいじゃない。 ノエルちゃんは私達にとってお月様なんだから」


「今向き合う相手のためだけに照らす、まさに月よね。 んでルーシーあたしは?」


「うーん、異常気象の太陽、かしら」


「あー失礼、すっごい失礼、あたしゃどんな極寒の雪も溶かしてあげられるくらいには暖かい愛の持ち主よっ?」


 エイミーの主張にロウさんが「それは暑いということではないのか?」とツッコむと秒速で背中をひっぱたかれてる光景が目に映った。

 ここまで女性に疎いとはと遠目で脱力しているとモニカが店長の袖を引っ張ってるのが見える。


「てんちょー、行くんなら早く行こう? モニもお腹空いちゃったよぉ」


「それもそうだな。 よし、それじゃ行こう」


 ***


「ルガンのスパイス煮かブルガスの柑橘塩焼きか、迷うわね」


「エイミー、今日はシェイナちゃんのために来たんだから野生の本能出さない」


 私のお叱りにマブは頬をぷくり膨らませながら文句を垂れた。


「えー? いいじゃないのぉ、新たに仲間、ファミリーになるってことはみっともないとこも見せるってことなんだからね?」


「ミー姉、したしきなかにも、だよ」


「細かいことは気にしなぁい。 はいメニュー、シェイナちゃんなに食べたい?」


「えっと、ではこれで」


 明らかに遠慮してるのか前菜的なのを指さしてる。 そんなことを見逃すわけもなくエイミーはシェイナちゃんが示した料理の名前をバッと手で覆い隠した。

 ナイス判断、それでこそ私のマブだよ。


「そういうのなし、いいのよ遠慮しなくて。 あたし達はどっちが上も下もないんだから」


「っ! ではこの大皿、これをみんなで空けたいですっ」


 2人のやり取りを見てたらそれだけでお腹いっぱいになるような暖かい想いが込み上げてくる。 今日の店長は誰よりも偉大な功労者、と感動してる横でどさくさに紛れてこのお姉さんときたら……。


「ふふ、互いを尊重し合ってお姉さん嬉しいわ。 マスター、私もボトル……ノエルちゃん、ドーシテ目、笑ってないノかしら?」


「禁酒期間、残り25日、忘れてないよね?」


「しっかり覚えられてるぅっ! ねぇダメ? ノエルちゃんダメ?」


「武闘祭の前日大変だったんだからね。 ん? どうしたのシェイナちゃん」


 私がルーシーをしかりつけるとこに気付いたのかなにがあったかを聞かれ、例の件について話すとシェイナちゃんは納得した上で意見を述べた。


「粗相しちゃったんですね。 ノエルさんが怒るのはわかります。 お片づけをするの大変だと思いますし……けど、失敗って一度したら許されないのですか?」


 う、この娘はフェイス君の罪を知らない。 そんな純真な娘にそんな目で言われたら強固なこと言えないよぉ。


「ルーシー、シェイナちゃんに免じて今日だけは大目に見てあげる。今日だけだよ? 明日からまた残り禁酒日数25日からスタートだからねっ?」


「はいはーい」


 私の強い圧も酒を飲めるという喜びの前ではどこ吹く風なのか、「イェイッ」と言いながら喜びの鬨のような勢いで拳を突き上げていた。

 なにも起こらないといいんだけど、大丈夫かな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ