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フェンリルさん、おいしそう  作者: ひなみそら
第二話:楔ありけり
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ある男の講義

 ひろいものってのは良くない。それはどんなものでもだ。

 いやなに、ただのゴミ拾いってんならいい。でも自分のモンにするのはだめだ。例え誰かが捨てた不要なモノでも、持ち主不明ってのは気もちわりぃ。何よりモノには魂が宿るもんだ。魂の宿ったモンは粗末に使われたなら災いを、丁寧に使われたモンなら幸福を与えてくれる。持ち主限定でな。だから道具を手放すなら道具屋が一番ってもんよ。ちゃんとお別れを告げるのを忘れずにな。

 そうそう、ペットもだめだな。かわいそうだからって拾うのはダメだ。飼う前提ならいい。あれこれ問題があるだろうが、それを考慮しないと後悔する事になる。メシだのなんだの世話はもちろん、犬猫はぽんぽんガキ産むし、増えたガキまで養えるかって話だ。養えんならいいさ、やればいい。そいつの持ち込む面倒を全部見れんならむしろどんどんやれってもんよ。

 まぁ、一番ダメなのはヒトだな。ヒトだけはダメだ。ヒトを拾うってのは一番面倒だ。言うなればモノとペットのハイブリットと言ってもいい。面倒ごとの塊だ。どっかから逃げてきた奴隷かもしんねぇしただの迷子かもしれねぇ。貴族の娘と来た日には最悪だな。そいつが女で悪女ときたらもっとやべぇ。変な疫病持ちかも知れねぇし、ヒトの姿した化け物かもしれねぇ。俺様はヒトだけは拾うのごめんだね。

 でもまぁ、こいつも覚悟の話だ。そいつの持ってる面倒ごとに首突っ込むってんならいい。でも中途半端はだめだ。区切りのいいところ、むしろ最後まで面倒みなきゃヒトを拾う資格はねぇと思ってる。

 俺様はそんなのねぇ。だからそんなモンがあったら放っておく。絶対に放っておく。本当は金の詰まった金庫だろうが、誰かに捨てられて雨に濡れてる猫だろうが、貴族の娘がタスケテって言ってきてもな。放っておく。誰かが覚悟のある奴が拾えばいいんだ、そんなのは。

 冷たい奴だと思うか? 勝手に言え。俺様はそういう奴なんだ。俺様は俺様の元を離れてく、金と女が一番ってもんよ。

 でもな。もしも万が一の話だ。もし通りがかった山ん中で、裸の少女が倒れてたらどうする? それも見たことも無いくらい綺麗な髪をした、超絶な美少女だったら。

 助けちまうねぇ。いくら俺様でも。まぁ、もしほんとにいたらの話だけどな。考えても見ろよ、他の悪い奴等に、それこそ奴隷商に見つかったら可愛そうだろ? それに美少女ってのはいるだけで存在価値があるんだよ。

 あ? 口だけじゃねぇぞ? 見つけたら助けてやらぁ。もちろん手もださねぇ。どんな面倒ごとでも最後まで面倒みてやんよ。そんな奴なら何人だろうと大歓迎よ。つまみ食いくらい許されるかもな。へへ。

 ま、それじゃそろそろ俺様は山に帰る。空も不気味にまっかっかだ。こんな日はなんだか美少女でも落ちてる気がするねぇ。

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