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THE WORLD  作者: SEASONS
4月25日
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2315/2337

悪意満載の罠

《サイド:文塚乃絵瑠》



…う~ん。



暗闇が支配する最後の暗黒迷宮に入ったのは良いんだけど。


さすがに最高難易度の迷宮というだけあって、

内部の道程はこれまでの迷宮を遥かに凌いでいて圧倒的と言えるくらいに複雑さが増しているのよ。



…さすがに全体が把握しにくいわね~。



これまでの迷宮と比べると数倍の規模があるみたい。



あらゆる場所に仕掛けられた即死級の罠の数々が私の歩みを阻害してくるの。



…これってホントに死んじゃうわよね?



ここではないけれど。


以前、奈々香が重傷を負っていたのも頷けるくらい悪意満載の罠が仕掛けられているのよ。



…罠を考えた美咲さんもどうかと思うけれど。



罠を造って仕掛けた製作者も相当歪んでるわよね?



これまでの迷宮の集大成とも言える最後の迷宮は、

ブチ切れそうになるくらいにありとあらゆる嫌がらせが散りばめられていたの。



…これはもうあれよね?



攻略させる気がないとしか思えないわ。



どう考えても攻略不可能としか思えない仕掛けが続いているのよ。



落とし穴を飛び越えた先に落とし穴があるなんてまだまだ優しいほうで、

わざと罠を発動させなければ進む道が開かないなんてことさえあるの。



そんな強制的な罠でさえも一歩間違えれば確実に死ねる勢いだし。


たった数センチ読み違えただけで首と胴体が切り離されそうになるなんて事態が数え切れないほどあったわ。



…これってどうなの?



見えないからどういう仕掛けなのかがわからないけれど。


仮に見えていたとしても死んじゃうんじゃない?



それぐらい無茶な罠が毎秒単位で襲い掛かってくるのよ。



しかも立ち止まっていれば安心かと言うと、

そうでもないのがふざけてるわよね?



ただ単に立ってるだけでも幻惑系の罠や嗅覚系の毒に嵌るように仕組まれているし。


微妙な勾配のせいで常に何かが足元を転がっているような心理的な嫌がらせまであるのよ。



場所によっては油が塗られている場所もあって、

滑って転びそうになるどころか、

ちょっとした火種で丸焼きになりそうなこともあったし。



…まあ、火遊びとか色んな意味で美咲さんらしい気がするけどね。



こういう言い方は失礼かもしれないけれど。


どれもこれも美咲さんの性格がにじみ出ているのよ。



魔性と言うか、異常と言うか、鬼畜と言うか。


どういう言葉が適切か分からないけれど。


どれもこれも美咲さんならやりそうって思う内容ばかりだったわ。



…だからこそ迷わずに進み続けられるんだけどね。



「はぁ…。分かりますよ、美咲さん。」



美咲さんが仕掛けた罠の数々。


それら全てが手にとるように把握できてしまうの。



美咲さんの心が分かるから。


美咲さんが考えそうな罠を回避して、

あらゆる仕掛けを解除しながら出口に向かって歩き続けられるの。



「ここは美咲さんの心を映し出す鏡なんですよね?ここにある全てが、美咲さんの感じる絶望の形なんですよね?」



あらゆる闇を制して、

あらゆる闇を知る美咲さんが仕掛けた罠。


それら全てが美咲さんの抱える絶望だと思うのよ。



…恐怖。


…疑念。


…絶望。


…挫折。



「嘘を知り、裏切りを知り、孤独を知った美咲さんの心…なんですよね?」



迷宮は美咲さんが作り出す闇の世界と酷似しているわ。



…ただ一つ違うのは。



「ここには出口があって、美咲さんの心には出口がなかった…ってことかな?」



美咲さんには心に巣くう闇から抜け出す方法が存在しなかったのよ。



ただ一人。



私という存在を除いて、

美咲さんの心は光が指さない究極の闇に支配されていたはず。



…きっとここは美咲さんの心そのものなんですよね?



そしてここは。



…闇の出口を望んで光を望んだ美咲さんの最後の希望なんですよね?



本当は誰かを苦しめるための迷宮ではなくて、

誰かに救いを求める美咲さんの心が作り上げた最後の希望だったのよ。



…だからきっと。



ここにある闇を乗り越えて、

美咲さんが抱える闇を理解してもらうための最後の願いでもあると思うの。



…ずっと、ずっと。



出口を求めていたんですね?



この迷宮と同じように。


いつかは抜けられると信じて、

美咲さんは最後の迷宮を完成させたはず。



誰もが恐れる『暗黒の魔女』として、

『暗黒迷宮』という名の小さな希望を作り上げたんだと思うの。



…本当は、寂しかったんですよね?



美咲さんの悲しい想いを感じながら出口に向かって歩みを進めていく。



…ねえ、美咲さん。



私はここにいますよ。



美咲さんが作り上げた迷宮の中で祈りを込める。



…だから。



いつの日にか。



この想いが美咲さんに届くと信じて、

光が指す出口に向かって歩き続ける。



いつの日にか美咲さんの『光』になれるように。


いつの日にか美咲さんを『闇』から救い出すために。


美咲さんが作り上げた迷宮をまっすぐに突き進むことにしたの。



…大好きです、美咲さん。



この想いだけは真実です。



美咲さんの絶望に触れて。


美咲さんの希望に気付いて。


美咲さんを想い続ける。



そうして迷宮を進む私の目前に、

ついに終焉が訪れようとしていたわ。



美咲さんを苦しめる闇の終わり。


美咲さんが願う希望の訪れ。



光を求める美咲さんの願いが込められた出口という名の扉が、

ようやく目の前に現れたのよ。



…ここから始まるんです。



私と美咲さんの人生はここから始まるの。



…必ず。



必ず迎えに行きますから。




美咲さんを闇から救い出すために。


そして美咲さんと一緒に生きていくために。



闇の終焉へと踏み込む。



「暗黒迷宮は終わりです。」



想いを込めて開く扉。



最後の扉を開いた向こう側には、

眩しいほどの光が満ち溢れていたわ。




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