どちらかと言えば
《サイド:杞憂幻夜》
…ちっ!
地震だとっ!?
セルビナ王国の南西に位置する国境付近で突如として発生した地震によって
アルバニアの陰陽師軍は一時的に進軍を止められてしまう事態になった。
…これはかなりの規模だな。
地震による被害そのものは特にないようだが、
それよりももっと気になることがある。
…まさか、な。
唯様を庇いながら王都セルビナが存在する方角へと視線を向けてみると。
大規模な力の波動が感じられた。
…龍脈が乱れているか。
だとすれば、もはや否定はできないだろう。
…この影響はやはり、アレだな。
アストリア王国が開発した兵器の力による影響だと気付いた。
…どこかの国に兵器の技術が流れていたということか。
アストリア王国を滅亡させた力と同種の影響を確認したことで兵器が現存するのは間違いない。
…だが、アルバニア王国ではないはずだ。
もちろん共和国であるはずもないだろう。
そして王都が攻撃を受けたということはセルビナでもないはずだ。
…と、なれば。
必然的にミッドガルムかイーファかカーウェンかのいずれかになる。
…おそらくイーファではないだろう。
あの国は軍事費用に予算を割くような国ではないからな。
残る可能性はミッドガルムかカーウェンだが、
どちらかと言えばミッドガルムが一番疑わしい。
…セルビナを攻撃した事実を考慮すれば。
カーウェンよりもミッドガルムが疑わしいだろう。
ミッドガルムは周辺諸国の制圧も企んでいるからだ。
最終的には大陸全土を掌握したいと考えているからな。
共和国軍の攻撃を受けて弱っているセルビナを攻撃することで、
セルビナ王国を制圧するための足掛かりにしたと考えるのが最も自然な流れに思える。
…おそらくは共和国軍もろとも殲滅しようと企んだのだろう。
最も高い可能性を考慮していると、
不安そうな表情を見せる唯様が話しかけてきた。
「杞憂様。セルビナの王都は無事なのでしょうか?」
「…分かりません。ですがセルビナやミッドガルムに関しては共和国に任せるしかありません。私達はイーファとカーウェンを制圧するのが最優先ですから。」
セルビナ王国の現状や、
王都の状況まで考えている暇はないのだ。
セルビナとミッドガルムは共和国に任せると決めたのだからな。
「もしも兵器が実在するとしても、今は米倉宗一郎に托すしかありません。」
アルバニアは動かないという方針を告げてから、
イーファへの行軍を再開する。
「先を急ぎましょう。」
「…はい。」
唯様に声をかけてから、
改めてイーファに向かうことにした。




