そういう問題じゃねえ
《サイド:長野淳弥》
…まじか!?
なんて威力なんだっ!!
初めて目にした米倉宗一郎のイクシオンは、
俺の予想を遥かに超える破壊力を秘めていた。
…これがかつて共和国最強と呼ばれた米倉宗一郎の実力なのか?
正直に言って俺が思っていた以上だ。
圧倒的としか言いようのない殲滅力。
この一撃は間違いなく慶太や姉貴に匹敵する。
…病気で弱っていてもこれほどとはな。
竜道寺の魔術を強引に打ち破ってみせた実力は驚愕に値する。
「痛…っ。う…ぅ〜。」
「ごほっ!ごほっ!」
闇から逃れて生還した里沙と百花が地面にうずくまっている。
そして二人の傍では芹澤啓輔も姿を見せていた。
「…ちっ!」
よっぽど怒っている様子だな。
里沙を守ることさえ出来ないまま殺されかけた事実に苛立ちを感じたんだろう。
離れた場所にいる俺にも聞こえるほどの舌打ちを響かせていた。
「…許さんっ!!」
まだ魔力が戻っていないせいでルーンも発動出来ない状態にも関わらず、
芹澤啓輔は竜道寺に立ち向かおうとしている。
「俺の女に触れるなっ!!」
…いやいやいやいや!
憎しみを込めて叫ぶ芹澤啓輔が米倉宗一郎の放つ雷撃の嵐の中に向かって突撃を始める姿を見て慌てて制止した。
「待て待てっ!!」
体力的にも魔力的にも限界に達する芹澤啓輔を強引に引き止める。
「お前には無理だ!」
「黙れっ!お前の指図は受けんっ!!」
…いや、だからそういう問題じゃねえ!!
怒りを表わにする芹澤啓輔を必死に押さえつつ。
周囲の様子を確認してみる。
…大塚義明も、陸軍の兵士達も、ひとまず生きているな。
竜道寺の攻撃によって意識を失っている者がほとんどだが、
里沙と百花と芹澤啓輔に大塚義明と、
他にも何人かの兵士達は意識を保っているようだ。
…とは言え。
戦えない戦力では頼りにならないか。
無事が確認できただけでもまだマシだと言えなくもないが、
竜道寺を撃退しないことには全員の生存は望めないままだ。
…どうすれば良い?
このままだと全滅は確実だ。
だからこそ限られた戦力と残された力で出来ることを考える必要があるのだが。
必死に打開策を考える俺の視線の先で、
上矢遥と笹倉美和子が動き出そうとしていた。




