王都セルビナ
《サイド:黒柳大悟》
すでに日が登り、
太陽の光によって朝を迎えている。
時刻は午前6時を過ぎた頃だろうか。
俺達は無事に王都セルビナに到着したのだ。
…方角的に考えて前方にあるのは南門だろうな。
見るからに頑丈そうな城壁に守られた王都は四方に門があるらしく、
それ以外の場所から入るのは難しそうだ。
…魔術で強行突破は出来なくもないだろうが。
効率は良くないだろう。
どうせ戦闘になるのなら、
堂々と門から入るほうが戦いやすい。
…門があるということは。
当然それ相応の広さを持った通りがあるはずだからな。
下手に進路を変えるよりも、
見晴らしの良い大通りを進むほうが安全だ。
「どうやら待ち構えているのは陸軍だけのようだな。」
セルビナの海軍はここにはいないように思える。
そして陰陽師軍も南門の防衛にはついていないように見える。
「陸軍の部隊だけの守備隊か。数はおよそ1万といったところだな。」
他の門にも同等の兵力を配備しているとすれば合計はざっと4倍になるだろう。
「仮に東西南北の各方面に配備された陸軍の総数がざっと4万としてだ。そこに陰陽師軍が加わるとなれば、こちらの戦力不足は否めないか。」
4万の陸軍に総数不明の陰陽師軍を相手にするには僅か1万4千では心許ない。
だがこちらの部隊には御堂君がいるのだ。
常盤君や鈴置君等の一軍に匹敵する優秀な魔術師が何人もいることを考えれば数が頼りの陸軍を恐れる必要はないだろう。
…とは言え、だ。
こちらとしては殲滅が目的ではないからな。
出来る限り犠牲者が出ないように戦うとなれば苦戦は避けられない。
全滅させるだけであれば大規模魔術を使用すればすぐに決着がつくのだが、
死者の数を減らそうと思えばある程度の手加減が必要になってしまう。
一応、栗原君の魔力が続く間は、
よほどのことがない限り犠牲者が出る心配はないと思うものの。
復活した陸軍が再び敵対する可能性を考えればむやみやたらと治療するわけにもいかないからな。
攻撃と回復、そして説得。
それらを同時に行わなければ犠牲者の数は増える一方になる。
…相手が陰陽師軍であれば栗原君の説得は有効かもしれないが。
海戦に参加していない陸軍を説得するのは難しいだろうな。
それでも説得を成功させなければ陸軍を全滅させるしか道はなくなってしまうことになる。
…陸軍が説得を受け入れるか。
それとも徹底抗戦に出るか、だな。
その選択が陸軍の生存を分かつ運命の境界線とも言える。
出来ることなら戦闘を中止してもらいたいのだが、
まずは話を聞いてもらえるかどうかが問題になる。
…だがまあ。
飯塚駿一のような人材はどの部隊にでもいるはずだ。
交渉可能な人物を探し出して説得の通じる相手を増やしていくことが戦闘を止める最善の方法になるだろう。
ひとまず説得が成功することを信じるしかないと判断してから全部隊を王都の南側に布陣させることにしたのだが、
その直後に御堂君が話しかけてきた。




