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THE WORLD  作者: SEASONS
4月23日
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2076/2451

1割以下

《サイド:????》



セルビナ王国南部のオルトナの港。



最も共和国に近い港町オルトナは国内にある4つの港町おいて2番目に大きく。


海軍の拠点としては最大の軍事力を誇っている。



だが、2日前の海戦によって全ての軍船を失ったことと大多数の漁船を失ってしまったことによって、

現在の軍事力は最小限とも言えない壊滅的な状態に陥っていた。



…まさかここまで追い込まれるとはな。



ほぼ全ての船を失って敗北した海軍は戦地からこの町に帰還するのが精一杯だった。



そのせいで現在も疲労と衰弱が酷く、

どの兵士にしてもまともに戦えるような状態ではない。



…これが共和国との戦力の差か。



魔術によって受けた怪我や無理な遠泳などによって、

ほとんどの海兵達が戦闘不能になってしまっているのだ。



その結果として現在のセルビナ海軍の軍事力は1割以下にまで低下している。



…この状況では足止めさえ出来ないだろうな。



すでに壊滅寸前の軍だが、

再び絶望に追い込まれようとしているようだ。



「き、来ましたっ!共和国の艦隊がこの港に接近しています!!」



…やはり来るのだな。



悲鳴のように叫んだ海兵の言葉をきっかけとして軍全体に混乱が広がってしまう。



「うわぁぁぁっ!!共和国が攻めてきたぞーっ!」


「ま、魔術師が来たーっ!!!」



怯え戸惑う者達の言葉がきっかけとなって、

一気に混乱が町全体へと広がっていったのだ。



…こうなってしまえばもう沈静化は望めないだろうな。



オルトナの町は恐慌状態に陥ってしまっている。


もはや部隊をまとめることなど出来はしない。



敵の接近を許してしまった以上、

この町の防衛はもはや不可能だ。



「うぁぁぁぁぁっ!!!!」


「もうダメだーっ!!!!」


「勝てるわけがないっ!!」


「に、逃げろーっ!!」



あわてふためきながら港から逃げ出す海兵達だが、

別の海兵達が引き止めようとしている。



「待てっ!!逃げるなっ!!!」


「逃亡は重罪だぞっ!!」



必死に引き止めようとする仲間達だったが、

逃亡を急ぐ海兵達は味方に対して怒鳴り返していた。



「ここにいても殺されるだけだ!戦っても死。逃げても死。ならば戦うことに何の意味があるっ!?」



…意味か。



そんなものはどこにもないのかもしれないな。



必死の形相で怒鳴り返した兵士は、

返事さえも聞かずにそのまま全力で走り去ってしまう。



…これが現実だ。



全力を投入しても敗北してしまったのだ。


弱り切った現状で戦い続けようと思う者のほうが少数なのは仕方がない。



逃亡した仲間達の後ろ姿を見つめる海兵達も、

戦闘を強制できずに戸惑っている様子だ。


おそらく自分達も逃げるべきかどうかで悩んでいるのだろう。



…もはや士気は最低だな。



ここでワシが戦闘を強制してもまともな防衛は成り立たないだろう。


ならば余計な犠牲を出さないために、

このまま見逃すのも必要な選択かもしれない。



「元帥っ!!」


「…良い。見逃してやれ。」



どのみち戦って勝てる相手ではないのだ。



「今回に限り逃亡を認める。この町を守る意思のある者達だけを集めて防衛に回せ。」



「…了解いたしました。」



ワシが許可を出したことで、

迷いがなくなった者が増えたようだな。



逃亡した兵士達の言葉に何も言い返せなかった海兵達の心にも不安が広がっていき、

無言で逃亡するものが続出していった。



だが、それでも。


全ての兵が逃げ出したわけではないらしい。



「…くそっ!!!こうなったら意地でも戦い続けてやるっ!!」



最後まで残る覚悟を決めた者達もいる。



港へと迫る16隻の共和国の艦隊に戦いを挑むべく、

限られた戦力での必死の抵抗を挑もうとする者達もいたのだ。



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