膠着状態
《サイド:竜崎慶太》
…うーん。
膠着状態だね。
「この状況はしばらく続きそうだな。」
…ええ、そうですね。
呟く進藤さんに頷いてから答えることにした。
「陸軍の皆さんが来てくれたことでこちらの戦力は大幅に増強されました。その事実がミッドガルム軍を足止めしている最大の要因だと思います。」
僕達の視線の先にいるミッドガルム軍は沈黙を保っている。
部隊を展開しながらも攻撃を仕掛けてこようとはしなかったんだ。
3万2千の共和国軍に対して9万のミッドガルム軍は圧倒的な戦力差を誇っていながらも
動き出す気配を感じさせなかった。
「明らかにこちらの殲滅力を警戒していると思います。」
ミッドガルム軍は僕の攻撃によって1万に及ぶ被害を出しているからね。
それ以前にも先行させていた4万の部隊がこの地で壊滅しているという事実を知ったことで、
魔術師の力に対して明らかな警戒心を見せている。
「まともにぶつかり合えば両軍共に大きな被害が出るのは確実です。その可能性を考慮して動けずにいるのではないでしょうか。」
数による力押しによって共和国軍を全滅させたとしても残る戦力が僅かになってしまえば共和国に攻め込むことは出来ないからね。
勝敗の行方に関係なく、
両軍共に多くの被害が出る可能性を考慮して動きを止めているんだと思う。
「しばらくは牽制や小競り合いが続くと思います。」
大規模な戦闘になればもうあとには退けなくなる。
どちらかが全滅するまで戦闘は終わらないという危険性を考慮しているミッドガルム軍は突撃を控えるだろうと推測していた。
「ミッドガルム軍の足止めが僕達の目的です。戦わずに済むのならそれが最良です。」
「うむ。そうだな。」
「ああ、間違いない。」
僕の意見には進藤さんだけではなくて北条さんも頷いていた。
「このまま様子を見てセルビナ王国が落ちればミッドガルムも軍を下げるだろう。それまでここで足止め出来れば十分だ。」
「…確かに。」
僕の意見に同意してくれた北条さんの意見も聞きながら、
進藤さんはミッドガルム軍に視線を向けている。
「しばらくはミッドガルム軍の動きを静観するしかないな。」
特に出来ることがないことで、
僕達は短い会議を終えて様子を見ることになった。




