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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1807/1848

囮になれば

《サイド:米倉宗一郎》



「た、大変ですっ!!!」



…ようやく来たか!!



大声で叫ぶ陸軍の兵士が、

俺達のいる会議室に飛び込んできた。



「町がっ!!グランバニアの町が竜の牙によって攻撃を受けていますっ!!」



町が襲われたことで急いで会議室に報告にきてくれた兵士だが、

異変を察知した俺達はすでに動き始めていた。



「分かっている!現在の状況だけを簡潔に報告しろっ!」



町中で鳴り響く爆音を耳にして、

窓の外から見える町に視線を向ける。


会議室に集まっている幹部達も一様に窓の外を眺める中で、

伝令役の兵士が報告を始めてくれた。



「町の各門から竜の牙が潜入しています!各門の守備隊はすでに全滅っ!!竜の牙の侵攻を阻む為に陸軍が活動中ですが、敵の勢いが激しすぎて陸軍だけでは竜の牙を抑え切れません!」



…ちっ!



撤退したと思わせておいて、

再び攻め込んで来るとはな。



グランバニアへの攻撃が失敗したことによって撤退しただろうと考えていた竜の牙の部隊が再び襲い掛かってきたのだ。



…この状況で考えられる可能性は一つしかないか。



だからこそ自らの責任を感じてしまう。



…どう考えても目的は俺だな。



竜の牙は俺が持っていると判断している秘宝を求めて、

グランバニアの町への侵攻を再開したのだろう。



だとすれば自らの責任を感じずにはいられない。



…目的は秘宝だな。



それ以外には考えられん。



俺を殺害する為に集まったであろう竜の牙による襲撃の被害は、

俺だけでなくてこの町に住む一般の者達までも巻き込む結果になってしまったのだ。



…早急に事態を収拾しなければ、犠牲は増えるばかりか。



何度、無いと言っても納得しないのだからな。



手元に存在しない秘宝を狙われて付け回されるのは迷惑な話だが、

何を言っても竜の牙に通じないのはすでに理解している。



…とにかく今は迎撃に出るかしかない。



「ここで悩んでいても事態は解決しない!竜の牙の迎撃を優先して、早急に戦闘を終わらせるぞ!!」



「「「「「はいっ!!」」」」」



会議室に集まっていた幹部達は、

一斉に返事をしてから大急ぎで会議室を出て行った。



「陸軍は町の各所へ部隊の派遣を急げ!!」


「学園の生徒達も陸軍の援護に出してくれっ!!」


「治安維持部隊は残存勢力をかき集めてグランパレスの守備を!」


「ギルドは民間人の保護を優先してグランパレスへの誘導を頼むっ!!」



それぞれが連携を取り合ってグランバニアの防衛に動き出す幹部達。


この場に集まっていた全員が退室したのを見送ってから俺も動き出すことにした。



「俺が囮になれば町の被害は減少するはずだ。」


「いえ!それはいけません。」



囮になる程度の危険は負うべきだ考えたのだが、

傍に控えていた慶一郎に引き留められてしまった。



「米倉様はこの国に必要な方です。ここで命を落とすようなことがあってはいけません。」



………。



俺を心配して説得してくれる慶一郎だが、

俺としてはこの場で留まることは出来ない。



「気持ちはありがたいが竜の牙の狙いは間違いなく俺だ。俺がここにいる限りグランパレスが戦場になってしまうだろう。それでは多くの民間人まで戦いに巻き込んでしまうことになる。その危険を避ける為には俺がここから離れるしか方法がない。」


「………。」



慶一郎を退けて会議室を出ようとしたのだが、

その前に前方を塞がれてしまった。



「どうしてもと言うのであれば…私もお供します。」


「俺の傍にいれば、お前も狙われることになるぞ?」


「当然です!だからこそ同行させていただきたいのです!」



…説得は無理か。



俺を守る為に。


俺を生存させる為に。


慶一郎は共に行動する覚悟を見せてくれたのだ。



「米倉様を守るように大悟に頼まれているのです。それなのに、ここで米倉様を見捨てるようなことは出来ません。共和国を離れた大悟の代わりに私がお供させていただきます。」



…大悟の代わりに、か。



そんなふうに言われてしまうと言い返すのが難しいな。



「本当に良いのか?」


「はい。米倉様の生存こそが、この国の希望なのです。」



…希望か?



今の俺にはそれほどの力はないが、

それでも俺を信じてくれるというのなら、

期待に応える程度の努力はするべきだろう。



「お前達の想いに感謝する。」



慶一郎に感謝の言葉を告げてから、

グランパレスを離れる為に移動することにした。



共に行動してくれる慶一郎と二人で、

戦場に向かうことにしたのだ。



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