表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1797/1864

逃亡の方角

《サイド:桜井由美》



…ふぅ。



港町ジェノスを出発してから、

ほぼ丸一日が経過しようとしているわ。


国内の巡回を行っていた私の部隊はすでに8ヵ所の町を通り過ぎていて、

いよいよ共和国最北東のマールグリナの町を目指そうとしているところよ。



だけどね。



言葉では上手く言い表せない気持ち悪さも感じていたわ。



…何かがおかしいのよ。



各町において派遣していた部隊と合流しながら順調に情報収集をしていたんだけど。


集めた情報の中でどうしても気になることがあったの。



…竜の牙の動きがおかしいわ。



何か裏があるとしか思えないのよね。



不安を感じながらこれまでの情報を整理してみる。



幾つか疑問点はあるけれど。


重要な事柄を挙げるなら、

各町の知事が全員暗殺されたこと。


その他にも学園やギルドの関係者などの主要な人物達もかなりの数が死亡していたわ。


学園やギルドに治安維持部隊の拠点などの各町において、

主要な施設も軒並み攻撃を受けていたし。


それらの結果として限りある防衛戦力が軒並み壊滅されてしまっていたのよ。



考えるだけで憂鬱になる各町における被害は甚大で、

相当な規模の死者が出ているのは間違いなかったわ。



たけど集めた情報の中には、

もっと気になる情報が含まれていたの。



ジェノスを含む共和国南部の町に攻め込んだ竜の牙は北西に向かって逃げたらしいわ。


そして共和国東部の町に攻め込んだ竜の牙は西に向かって逃げたみたいなのよ。


さらに共和国北部に近い町からは南西に向かって逃げる竜の牙が目撃されているみたい。



まるで一カ所に集まろうとしているかのような不自然な動きなのよ。



…どこかに集結しようとしているの?



もしもそうなら竜の牙の残党は全ての戦力をどこかに集中させていることになるわ。



…まだどこかに攻め込むつもりなのかしら?



他に可能性なんて考えられないのよ。



もしも単純に逃げるのなら一方向にまとまる必要性がないから。


セルビナ方面への国境が戦闘中で近付けない現状。


ミッドガルム方面の国境に向かって、

さっさと逃げ出すのが賢明な判断だと思う。



…それなのに。



逃亡を急がずに、どこかに集まろうとしているのよ。



もしもこれが逃亡ではなくて進軍だとしたら?


考えられる可能性として最も危険な場所はどこ?



…まさか!?



グランバニアなの?



共和国の中心に位置する首都グランバニアが最も疑わしいと思えるのよ。


わざわざ軍事力が最も高い共和国の首都に集結する意図は不明だけど。


方角を考えればグランバニアの可能性が最も高いはず。



…と言うことは?



米倉元代表を狙って戦力を集めているのかも?



秘宝という名の何かを求めて、

共和国の内部を暗躍していると考えられるわよね。



竜の牙の目的が米倉元代表で、

秘宝を手に入れるために戦力を集めている可能性が十分にあるのよ。



…でも、どうなのかしら?



可能性はあるとしても、

竜の牙の残党程度でグランバニアを落とせるとも思えない。



共和国にある32の町の中で最も堅固な町なのよ。



共和国最初の町でもあるし、

首都として防衛力は随一でもあるわ。



…逃げた竜の牙の残存勢力がどの程度なのかは不明だけど。



グランバニアを落とせるほどなのかしら?



普通に考えれば難しいはず。



だけど各町から平均50人の残党が逃げたとすれば、

32部隊の合計で1600人ということよね?



殺戮さつりくを平然と行える1600人の武装集団と考えれば弱小とは言い切れないわ。



…いいえ。



むしろ町を一つ落とせる規模の戦力だと考えるべきかもしれないわね。



首都グランバニアを落とせるかどうかはともかくとして、

町の人々を人質にされてしまう可能性を考えれば無視できるような戦力じゃないのよ。



…だとすれば?



警告の為にグランバニアに伝令を送ってもいいけれど。



間に合うかどうかは疑問ね。



もしも私の推測通りグランバニアに竜の牙が集結しているとすれば、

今から伝令部隊を送っても伝令が届く前に戦闘が起きてしまうはずよ。



…それでも何もしないよりはマシかしら?



絶対に手遅れとも言いきれないから、

運よく間に合う可能性もあるはず。



…出来ることはやっておくべきよね。



考え直してから伝令部隊を呼び寄せることにしたの。



これまでの情報を米倉元代表に届ける為に。


そしてグランバニアに危機が迫っている可能性を伝える為に。



伝令部隊を用意してグランバニアへ急がせることにしたのよ。



「運が良ければまだ間に合うかもしれないわ!一刻も早く米倉元代表に情報が届くように全力を尽くしてちょうだい!」



「はっ!かしこまりました!!」



全速力でグランバニアに向かう伝令部隊の姿が見えなくなるまで見送る。


そのあとで本来の役目を終えるために移動を再開することにしたのよ。



…とにかく今は。



マールグリナや北部の町の情報も集めて、

竜の牙の目的を探り当てることが先決ね。



全ての町から戦力と情報を集めるために。


マールグリナに向かって移動を続けることにしたの。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ