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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1765/1864

雲泥の差

《サイド:澤木京一さわききょういち



中立国イーファの北部にそびえる山の中。


セルビナ王国の国境を抜けてからイーファへの潜入に成功した僕達は、

最初の目的地である魔術師ギルドを目指して休む暇もないまま移動を続けていた。



…ランベリアの町からどれくらいの距離を移動したのかな?



徒歩での潜入作戦。



そのせいで最速とはいかなかったんだけど。


どうにかイーファの国内には入れた。



シェリルを先頭として、

僕を含むグランバニア魔導学園の生徒5人が並ぶ合計6人。



現在、僕達は首都イーファから遠く離れた北部の山中で身を潜めながら静かに行動している。



「もう少し先に進めばイーファの魔術師ギルド本部よ。あと少しだから頑張ってね。」



本部?



…と言うことは?



何処かに支部もあるんだろうか?



色々と気になることがあるけれど。


今は疲労が限界に達していて、

まともに返事をする気力さえ残っていなかった。



…さすがにきついね。



心の中ではくじけそうになっている。


決して言葉にするつもりはないけれど。


どうしても考えてしまうんだ。



…はあ。



疲れたなんて言える立場じゃないけどね。


弱音を吐きたくなる気持ちは、

みんなも同じじゃないかな?



それなのにシェリルだけは平然としているのが凄いと思う。



ランベリアの町でシェリルと合流してから今に至るまで、

全くと言っていいほど休憩らしい休憩をとらずに数十時間も歩き続けているのに、

シェリルだけは平然と行動しているんだ。



…これが経験の差なのかな?



すでに肉体的な疲労は限界を遥かに超えている。



セルビナ王国の魔術師ギルドで食事と睡眠をとった以外は、ずっと移動ばかりだから。



その時の食事も極度の疲労のせいであまり食べる気になれなかった。



睡眠時間も2時間程度だったし、

まともに体を休める時間もないまま早々にセルビナ王国を抜けて中立国イーファへと突き進んで来たんだ。



ほよんど休むことすらなく魔術師ギルドを目指すシェリルから、

どうにかはぐれないように歩き続けるだけで精一杯の状況だった。



…だからね。



本音を言えばシェリルの言葉に返事をするどころか、

今すぐにでも腰を下ろして地面に寝転がりたい心境になってしまっている。



…僕達はこの状況なのに、シェリルはどうして平気なんだ?



さすがに笑顔は見えないけれど。


だからと言って辛そうにも見えない。



…これが慣れなのか?



普段から国外での活動を主としているシェリルだからこそ、

こういった活動は得意分野なのかもしれない。



…そういう意味でも僕はシェリルには敵わないな。



魔術師としての実力もそうだけど。


実戦経験や国外の知識等の人としての経験値もシェリルのほうが遥かに上だと思ってしまう。



魔術師狩りという惨劇の経験者であり、

各国を行動するギルドの関係者でもあるから。


それほどの経験と知識を比べれば、

どう頑張っても僕とシェリルでは雲泥の差があるだろうね。



だから僕がシェリルに勝っているのはせいぜい大会での成績くらいだと思う。



…と、言っても。



実際に試合をして勝敗を決めたわけじゃないから、

どちらが勝つのかは僕にも分からない。



だけど御堂龍馬と比べれば格下なのは間違いないはず。



あくまでも個人的な推測だけどね。


試合形式であれば僕とシェリルの実力差は僅差で僕が上だと思っている。



…シェリルの能力は広範囲殲滅型だからね。



一対一での戦いを考えれば、

どうしてもシェリルの能力は分が悪いはず。



遠距離戦闘なら恐ろしく強いけれど。


試合場という限られた範囲内では実力を発揮しきれないからね。



だからこそ、近接戦闘型の僕のほうがどうしても優勢になってしまう。



…その辺りの事情もシェリルが大会で目立たない理由の一つだろうね。



一切の制約なしでの全力戦闘なら、

シェリルは間違いなく最上位だ。


状況次第では御堂龍馬でさえ敵わないかもしれない。



その事実を僕はこの二日間ほどの間に嫌というほど思い知らされてきた。



…シェリル・カウアーか。



彼女は僕が思う以上の実力者のようだ。



魔術大会において御堂龍馬との戦い以外に敗北経験がない僕だけど。


いざ実戦となればシェリルにも勝てないかもしれないと感じている。



…もっと強くなりたい。



シェリルに負けないくらい。


そして御堂龍馬に負けないくらいに強くなりたいんだ。



シェリルを越えて、御堂龍馬を越える。


そうして最強の称号を勝ち取ることを目的として行動している。



…いつかたどり着きたいと願う夢の場所を目指して。



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