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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1763/1864

破壊神扱い

《サイド:御堂龍馬》



「…まあ、あれだな。由香里はともかく、俺達も御堂が来てくれて助かったと思ってる。完全にセルビナ軍に包囲されて、かなり危険な状況だったからな。」



まっさきに話しかけてくれたのは岩永一郎君だ。


大森遼一君と共に漁船の大群を相手にして必死に迎撃を行っていた二人も僕の到着を素直に喜んでくれていた。



「御堂が来てくれて助かった。」


「ああ、確かに…あの瞬間はマジで嬉しかったよなー。」



岩永君に続いて、

大森君も感謝してくれたんだ。



「御堂の姿が見えた瞬間に『救世主が来たー!!』って思えたくらい有り難かったからな。」



…は、ははっ。



救世主か。


そんなに大層な存在だとは思わないけれど。


大森君につられて、

ついつい笑ってしまうね。



「救世主というほどじゃないけど…だけど戦いに間に合って良かったよ。」



あと数時間遅れていたら、

海軍全体が壊滅していたかもしれないんだ。


その可能性を思えば間に合って良かったと思えるんだけどね。



「俺達にとっては救世主なんだよ。」


「あっははははっ!!」



大森君の発言を傍で聞いていた梶原裕美さんも楽しそうに笑っていた。



「大森君の気持ちも分かるけれど…どちらかと言えば破壊神かもね~?セルビナ軍の艦隊を一撃で壊滅させるなんて、どう頑張っても私達には出来ないわ。」



…は、はははっ。



これはもう尊敬を通り越して、

畏怖されてしまっているのかな?



破壊神扱いされてしまったのは苦笑するしかなかった。



「ま、まあ、そうかもね…。」



どちらかと言えば、そうなるのかもしれない。



決して破壊を望んでいるわけではないけれど。


結果的にはそうなっているんだ。



その事実には苦笑するしかなかった。



「…破壊力だけが僕の取り柄だからね。」



そんなふうに思っていると、

今度は伊倉信夫君が笑い出したんだ。



「ははっ。それだけじゃないさ。それだけできみを表現することは出来ないよ。きみの実力は破壊だけじゃないからね。」



…どうなのかな?



お世辞かもしれないけれど。


破壊力や魔術の才能だけではないって言ってくれたんだ。



「きみには人の上に立つ才能があるんだよ。それがきみの魅力であり、きみの実力だ。」



…それこそどうなのかな?



誰よりも努力をしてきた自信はあるし、

誰よりも苦難を乗り越えてきたとは思ってる。



だけどそれが僕の魅力に直結するかどうかは自分ではよく分からない部分だ。



「あまり褒められると照れくさいかな?」


「そうかい?でも御堂君が来てくれて良かったと僕達は心から思っているんだよ。」



心からの信頼を笑顔と言葉で表現してくれる仲間達。


そんな仲間達と向き合っていると、

どうしても照れ臭くなってしまう。



「僕はそんなに凄い人間じゃないよ。」



泣きたい時だってあるし、

逃げ出したくなる時だってあるんだ。


僕がどれほど願っても、

手の届かない存在だっているしね。



「僕はそんなに凄い人間じゃないけれど…。それでもね。僕にも守りたいモノが沢山あるんだよ。」



そういう大切なモノを守り抜く為に、

必死に足掻いているだけなんだ。



…ただ、それだけなんだよ。



失いたくないモノがまだあるから。


守りたいと思えるモノがまだあるから。


だから足掻き続けているだけなんだ。



…例え僕の命を引き換えにしてでもね。



大切なモノを守り抜く為には、

戦い続けるしかないと思ってる。



「僕だって一人では何も出来ないよ。」



沢山の仲間達に守られて今を生きているから。


だから僕はそんなに凄い人間じゃないって自分でちゃんと分かってる。



…だからね。



「だからこそみんなの力を貸してほしいと思うんだ。」



素直な気持ちを言葉にしてみる。



…と言っても。



これは弱音ではなくて、

未来に向かうための意志だ。



戦争という戦いにおいて、

一人の力では立ち向かえない。



あの総魔でさえもそうだったように。


どれほど強力な力を持っていても、

一人では生き抜くことなんて出来ないんだ。



だからこそ願う。



「みんなの力を貸してほしい。共和国を守る為に。そして大切なモノを守り抜く為に。」



そんなふうに真剣な表情で願ってみると。



「おう!任せてくれ!」



仲間達は笑顔で受け入れてくれていた。



「俺達は最初からそのつもりだからな。どこまで役に立てるかは分からないが、最後まで協力するさ!」



真っ先に岩永君が答えてくれて。



「御堂君以外に頼れる人なんていないしね~。私も協力を惜しむつもりはないわよ。」



梶原さんも微笑んでくれていた。



「わざわざ頼まれなくても特風はきみの思い通りに動く組織だからね。いつだって僕達はきみの指示を受け入れるつもりだよ。」



伊倉君も快く受け入れてくれて。



「ここまで来た以上、引き返すつもりはないしな。戦争が終わるまで御堂に協力するぜ!」



大森君も戦う意志を示してくれたんだ。



「ありがとう…。みんな。」



自然と感謝の想いを言葉にしてしまう。



アストリア王国では多くのモノを失ったけれど。


それでもまだ沢山の仲間達が僕を信じて協力してくれている。



…ありがとう。



みんながいてくれることに。


ただそれだけのことに。



泣きたくなるほどの喜びを感じてしまったんだ。




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