沢山いるから
《サイド:文塚乃絵瑠》
…はふぅ~。
…もう良いかな?
魔術師ギルドの2階にある281号室で、
室内にあるテーブルを挟んで美咲さんと向かい合って座っているんだけど。
ひとまず私達は朝食を終えてお箸を置いたわ。
時刻は午前7時30分を少しだけ過ぎた頃ね。
「ご馳走さまです」
両手を合わせて行儀良く頭を下げてみると、
美咲さんが微笑んでくれたのよ。
「どう?お腹は一杯になったかしら?」
…うぅ〜〜〜ん?
優しくしてくれるのは嬉しいんだけど…ね。
相変わらず私の表情は冴えなかったりするわ。
…だ〜〜〜か〜〜〜ら〜〜〜!
私が食べようとする料理を奪うのは止めてくれないかな?
心から願ってみるけれど。
何を言っても聞いてもらえないのは分かってる。
…まあ、今日はそれなりに食べれたからもう良いけどね。
お腹一杯ではないけれど。
空腹を感じるほどでもないのよ。
「とりあえず、今はもう十分です。」
相変わらずテーブルの上には大量の料理が並んでいるけれど。
仮に邪魔が入らなかったとしても、
食べ切るのは不可能な量なのよね~。
「これも誰かにあげるんですか?」
「ええ、そうよ♪私の食べ残しが食べたいって言っちゃう『気持ち悪い男性』は沢山いるから♪」
えぇ〜〜〜〜〜〜〜?
…うっわぁ〜〜〜~。
笑顔で冷たい発言をする美咲さんの発言に寒気を感じてしまったわ。
…って言うか。
その男の人達がどうこうよりも、
『気持ち悪い』と言いながらも料理を提供してしまう美咲さんの気持ちが分からないわよね?
少なくとも私なら絶対に拒絶するわ。
食べ残しを誰かが食べてるなんて、
考えるだけでも気持ち悪いわよね?
…って?
…まさかっ!?
もしかして、私の残した料理も誰かが!?
「もちろんそうよっ♪♪」
………。
知りたくない可能性に気付いて焦ってしまった瞬間に、
聞きたくなかった事実をあっさりと教えてくれたのよ。




