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進むのか、戻るのか
《サイド:シェリル・カウアー》
『進むのか、戻るのか。好きな道を選びなさい。』
今後の方針を問いかけた私に、
京一達は迷うことなく『進む』と答えてくれたわ。
今の実力に不満を持つ京一達は、
共和国に戻ることよりも目的を果たすことが重要だと気付いたんでしょうね。
だから共和国に戻らないと宣言してみせたのよ。
だから足手まといなんて思わないし、
見守ってあげることにしたんだけどね。
家族や友人。
それに町や学園。
多くの人々のことが気になる様子だけど。
前に進むことを選んだのなら、
私が言うべきことは何もないわ。
…それで良いのよ。
目的を見失うようでは話にならないからよ。
かつて私も追われる側だった過去を持っているからこそ思うの。
魔術師狩りから逃げ延びて、
共和国に亡命を果たした過去を持っているからこそ、
人命救助の必要性を知っているのよ。
それにね。
多国籍学園のほぼ全員が同じような経験をもって共和国へと逃げ込んでいるの。
…だからこそ。
魔術師狩りからの魔術師の救出が最優先だと思っているわ。
…私達は私達の役目を果たすべきなのよ。
目的を見据えながら前方に視線を向けてみる。
…この渓谷を抜ければイーファは目前よ。
迷わず歩みを進めていく。
…今から助けに行くわ。
魔術師狩りに怯える魔術師を救うために。
黙々とイーファを目指し続けることにしたの。




