友達でいるということ
《サイド:栗原薫》
「ありがとうございます♪」
………。
…うっわぁ~。
…その笑顔は可愛いすぎるでしょ?
感謝の気持ちを笑顔で表す成美ちゃんを見て思ってしまったのよ。
…ついつい手が動いちゃうわ。
全力で成美ちゃんの体を抱きしめたいって思ってしまったの。
…うぅ~ん。
その笑顔でお姉ちゃんって呼んでほしいかも?
わりと本気でね。
成美ちゃんを妹にしたいと思ってしまったのよ。
…お願いしてみようかな?
成美ちゃんにお姉ちゃんって呼んでほしいって頼もうか考えてみたんだけど。
…でもね。
今はダメよね?
その考えはすぐに放棄することにしたわ。
…って言っても。
理由は断られるかもしれないとかそういう意味じゃなくて単純に立場的な関係ってやつよ。
友達が欲しいって願う成美ちゃんに、
姉妹を望むのは良くないと思うの。
それだと美袋翔子さんと同じになっちゃうしね。
もしもお願いしてしまったら、
成美ちゃんはまた友達をなくしてしまうから。
だからこそ姉妹ではなくて友達でいることが、
成美ちゃんのために出来る最良の選択だと思うのよ。
成美ちゃんの上に立つんじゃなくてね。
成美ちゃんの隣に並ぶこと。
それが成美ちゃんが望む幸せだと思うの。
…今のままが一番よね?
友達でいるということ。
それが一番良い関係だと思うから。
「健康が一番大事だから、苦しくなったらすぐに教えてね。」
「はいっ♪すぐに栗原さんに相談しますっ♪」
………。
…相談、ね。
だとしたら。
やっぱりここは改善するべきよね?
「ねえ、成美ちゃん。一つだけお願いがあるんだけど、聞いてもらっても良いかな?」
「あ、はい♪何でも言って下さい♪」
「ええ、それじゃあ…。」
明るい笑顔で答えてくれる成美ちゃんに、
お互いの方針を相談することにしたの。
「これからは私のことを薫って呼んでほしいの。私も成美ちゃんを成美って呼ぶから、これからはお互いの名前を呼び合う時に『さん』も『ちゃん』も使わないようにしましょう。そのほうが友達らしいでしょ?」
友達でいるということ。
その関係を望む成美ちゃんの為に提案してみたのよ。
「いつまでもさん付けで呼ばれると少し友達から遠い気がするから薫で良いわ。」
…まあ、愛里には『薫ちゃん』って呼ばれてたけどね。
それはそれで良いんだけど。
ここはやっぱりお互いに納得できる関係が良いはず。
「さん、はいらないわ。」
「あ…は、はい。」
名前だけを呼んでほしいと言ってみたことで、
成美は少しだけ戸惑いながら呼び掛けてくれたのよ。




