本棚の中から
《サイド:御堂龍馬》
「確か鞄は机の上に…。」
男子寮に自室に帰ってきた僕は、
急ぎ足で机に向かうことにした。
「あった!」
机の上にある鞄を見付けて歩み寄る。
「荷物はそのまま入ってたはず。」
アストリアでの戦争によって少しボロボロになった鞄を手にとって中を覗き込んでみた。
…必要な準備はしておいたはずだ。
それでも確認だけは行っておく。
…まあ、大丈夫かな?
最低限の物は全て揃えてあるからね。
あとで栗原さんに渡すつもりの総魔のノートも全て鞄に入っている。
もちろん着替えの服なんかも今朝出掛ける前に入れ替えておいたから心配はない。
「あとは…?」
何か忘れていないか考えてみる。
一通りの準備は整えておいたからあとで困ることはないはずだけど。
一度出かけてしまうと、
当分の間は帰ってこれないからね。
念のために室内を見渡してみることにしたんだ。
…うーん。
…忘れ物はないはず。
だけど僕の視線は本棚に向いて止まった。
…どうかな?
…いるのかな?
あって困ることはないと思うけど。
…どうだろうか?
少し悩みながら歩みを進めて本棚の中から3冊ほど本を取り出してみる。
…この辺が妥当かな?
今の僕には必要のない本だけど。
成美ちゃんには必要だと思えたんだ。
魔術の知識を全く持たない成美ちゃんに魔術に関する説明をするのなら、
この程度の準備は必要だと思う。
そのために選んだ本は、
かつて学園に入学した当初に勉強の為に購入した魔導書だ。
『魔術基礎知識』の魔導書。
『初心者用攻撃魔術』の魔導書。
『初心者用回復魔術』の魔導書。
その3冊を手にとってみた。
「実力だけを見れば、もっと高位の魔導書を選ぶべきだけどね。」
…とは言え。
今は魔術を理解するのが重要なのであって、
魔術を覚える為の勉強がしたいわけじゃないからね。
「まずはここからかな?」
魔術の基本を覚えるということ。
まずはそこから始めるべきだと思うんだ。
「とりあえずこの3冊だけ持って、あとのことはあとで考えよう。」
そう判断して鞄に魔導書を詰め込む。
「これで準備は整ったはずだ。」
鞄を持って部屋を出る。
「とりあえず校門へ急ごう。」
栗原さんと成美ちゃんに合流するために、
寮の外まで走ることにした。




