姉と妹の差
…ふう。
成美ちゃんの笑顔が反則的に可愛くて、
思わず抱きしめたくなる衝動にかられたわ。
「う~ん。可愛いすぎるわね~。」
「?」
私の呟きを聞いて首を傾げる成美ちゃん。
何故かそんな仕種さえも絶妙に可愛いのよ。
………。
見た目は沙織に近いけど。
雰囲気は全然違うわね。
大人っぽい雰囲気の沙織とは真逆で、
可愛らしい仕種が多いのよ。
それが年齢の差なのか、
人生経験の差なのかは分からないけれど。
こうして見てると姉妹でも性格が全然違うのが分かるわ。
沙織は苦労人で、
成美ちゃんは無邪気っていう感じかな?
それこそ姉と妹の差なのかもしれないわね。
…まあ。
それだけ成美ちゃんが大切にされてきたっていうことでしょうけどね。
成美ちゃんの笑顔は、
沙織が守り抜いた結果なのよ。
そう思うだけで自然と涙が浮かんでくるわ。
「ねえ、成美ちゃん。」
「はい?」
不思議そうに私を見つめる成美ちゃんの小さな体をぎゅっと抱きしめてみる。
「…え?…え?」
「良かったわね。」
どうしていいか分からずに戸惑う成美ちゃんにそっと囁いたのよ。
「え…?な、何がですか?」
「ふふっ」
戸惑い続ける成美ちゃんに微笑みを向ける。
そして抱きしめる手を離してから、
成美ちゃんとまっすぐに向き合うことにしたのよ。
「優しいお姉ちゃんがいて良かったわね。」
「…ぁ!はいっ♪」
私の言葉を聞いた成美ちゃんは笑顔で頷いてくれたの。
「お姉ちゃんは最高のお姉ちゃんです♪私の一番大切な人です♪」
涙じゃなくて。
悲しみじゃなくて。
喜びで答える成美ちゃんの笑顔に安らぎが感じられるのよ。
…本当に良い子ね。
心からそう思う。
「もう少し休んでいても良いわよ?」
「あ、いえ。もう大丈夫です。」
「そう?」
実際どうなのかは分からないけれど。
今は成美ちゃんの言葉を信じるしかないわね。
「元気になって安心したわ。」
「えへへ…。」
成美ちゃんの頭をなでると嬉しそうに微笑んでくれたのよ。
…本当に可愛いすぎるわ。
まるで妹が出来たような感覚なのよ。
…ほぼ同世代だと思うけどね。
それでも自然と湧き上がる心地好さを感じながら、
成美ちゃんの胸元で輝く宝石に視線を向けてみる。
服を切り裂かれた時はそこまで気にしてなかったけれど。
さっき喪服に着替えた時から見えていたネックレスが何となく気になったのよ。
「それがクイーンから預かったネックレスなの?」
喫茶店でのいきさつを聞いていたから何となくそうだと思ったのよ。
「あ、はい。そうです。大切な物だからなくさないようにって言われました。」
…ふ~ん。
胸元の宝石に視線を向けて摘んでみる。
細い鎖に繋がれた銀細工に埋め込まれた宝石は丸い玉だから宝玉って呼ぶべきなのかな?
緑色の輝きを持つ宝玉は、
今まで見たことがあるどんな宝石とも全くの別物に思えたわ。
…エメラルドよりは薄い色だけど。
…翡翠よりも透明度は高いかも?
宝石としての価値は分からないけれど。
この大きさなら億単位かも?
物凄く貴重な物だっていう雰囲気は感じられるのよ。
「不思議な宝石ね~。」
「…私には違いが分かりません。」
…ふふっ。
何も知らない成美ちゃんには、
そもそも宝石の種類が分からないようね。
だけど触っていると不思議な感覚を感じるのよ。
何となくね。
神秘的な力を感じるの。
…ただの宝石じゃないことは間違いないわね。
そんなふうに考えていると、
『コンコン!』と医務室の扉が叩かれたわ。




