炎槍
《サイド:フェイ・ウォルカ》
「ふっ!これでとどめだっ!!」
微笑みを浮かべながらラングリッサーを構える。
「北条真哉の名の下に、立ち塞がる敵を貫き滅する!!」
宣言と共に体勢を低く構えて、
ラングリッサーに魔力を込めた。
そして『友』の魔術を発動させる。
「炎槍ボルガノン!!!」
真っ赤に燃える炎を放つ槍を構えて、
正面に立ち塞がる最後の襲撃者へと突進して炎を放つ槍を突き立てる。
「がはっ!!!!!!!」
口から血を吐いて苦しむ襲撃者だが、
それだけで終わりではない。
体を貫く槍が襲撃者の体を燃やし尽くしてしまうからだ。
「ぐ、がああああああああっ!」
全身を炎に焼かれて苦しみもがいている。
だがそれは痛みだけではないだろう。
燃え上がる炎に酸素を奪われてしまい。
呼吸さえも封じられてしまうからだ。
酸素を奪われた襲撃者は、
意識を失って力尽きたようだな。
こうして最後の一人も死体となり、
この場での戦闘は終わりを迎えた。
「終わったか…。」
ほっと一息吐いてラングリッサーを地面に突き立てる。
『ザクッ』と音を立てて地面に突き刺さる槍を手放して、
呼吸を整えながら両手を休めていると。
不意に誰かが駆け寄って来る気配が感じられた。
…まだいるのか?
襲撃を警戒して槍に手をのばしてみるが、
それが間違いなのはすぐに気付けた。
「この波動は…」
知り合いの魔力の波動だ。
いや、仲間と呼ぶべきだな。
緊張から解放されて足音の方角へと視線を向けると。
駆け寄ってくる仲間達の姿が見えた。
「フェイ!」
「フェイお兄ちゃん!」
駆けつけてくれたのは学園3位のカーター・ベルナンドと、
学園5位のピーター・フロンドだ。
「カーター!ピーター!二人とも無事だったか!」
無事に仲間と合流することができた。
「二人とも無事でなによりだ。」
「ああ、なんとかな。」
「結構ギリギリだったけどね〜。」
心配そうな表情で駆け寄る二人に話し掛けてみると。
二人も笑顔で答えてくれた。
どうやらどこかで戦闘を行っていたようだな。
二人の体には幾つもの怪我が見られる。
それほど大きな怪我はないように思えるが、
決して万全な状態でもないだろう。
「大丈夫なのか?」
「あ、うん。大丈夫だよ。」
二人の怪我を見て心配する俺に、
ピーターが慌てながら答えてくれたのだが。
「怪我は大したことないから大丈夫だけど…。だけど今はそれどころじゃないんだよ!」
隣に立つカーターも深刻な表情で話しかけてきた。
「怪我は大したことはない。俺もピーターも回復魔術を受ければすぐに治る程度だ。だが…」
…だが?
言葉をとぎらせるカーターに問い掛けてみる。
「何かあったのか?」
「ああ、問題が発生したらしい。」
…問題だと?
「セルビナが再び行軍を再開したようだ。」
…なっ!?
突然の報告によって言葉を詰まらせてしまった。
全く予想外の展開だったからだ。
セルビナとの戦争は『停戦』の協定によって終了したはず。
…それなのに何故!?
「俺もさっき学園長から聞いたばかりで詳しい内容は知らないんだが、突然セルビナ軍が国境を突破して攻め込んで来たらしい。」
「協定を破棄してきたのか!?」
「…みたいだな。国境警備隊からランベリアに救援要請が届いたらしいんだが、詳細までは分からないそうだ。とにかく今は学園長が軍の再編成を急いでランベリアに向かう準備を進めているみたいなんだが、どうするフェイ?」
「どうするも何も行くしかないだろう!」
「…だろうな。」
即答する俺にカーターは笑顔を向けてくれている。
「フェイなら、そう言うだろうと思っていた。」
…当然だ。
「だがな。その前に一度、学園長と合流して詳しい話を聞いたほうがいい。」
…ああ、そうだな。
「その間に俺達は戦闘を継続しつつ、他の仲間達にも声をかけておく。出来る限り準備を急ぐ必要があるからな。国境には僅か3000の部隊しかいないはずだ。出発が遅れれば全滅しかねない。」
…確かに。
現時点で国境には3000の警備隊しか残っていないはずだ。
「学園長はどこにいる?」
「校門付近だ。」
「分かった。」
短く答えてから校門に向かって駆け出す。
…ふう。
…まさか再び戦争とはな。
停戦協定によって終わったはずの戦争だが、
それは僅か1日と経たずして破棄されてしまったらしい。
…だが。
今はそれ以前の問題が残っている。
学園を襲う襲撃者達は一体何者なのだろうか?
学園を襲った敵は魔術師だ。
決してセルビナの軍隊ではない。
…一体、何が起きているんだ?
疑問だらけの状況だった。
そしてそれらの疑問を解決出来る人物はおそらく一人だけだ。
…とにかく今は学園長との合流を急ぐしかない!
現在の状況とこれからの行動。
それらを話し合う為に校門へと急ぐことにした。
「気を付けろ!敵はまだ全滅したわけじゃないからな!」
「気を付けてね!お兄ちゃん!」
心配して声をかけてくれる二人に手を振りながら全力で校門を目指すことにした。




