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人助けをしたら美少女に惚れられて偉い人に褒められるんですけど!  作者: マノイ
第二章

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28/72

7. 美少女とデートしていたら顔を滅茶苦茶近づけられたんですけど

「奏様おっはよー」

「おはよう」

「お……おお……おはようございまふっ」


 真夜とのデート終了後の月曜朝。

 この日は真夜からのお願いで奏は一人で先に登校していた。奏の通学路の途中に彼女達が住んでいるマンションがあるため、いつもはそこで合流して一緒に登校しているのだ。


「ちょっとかなちゃん何やったの!」

「ぴえ!」


 真夜が明らかに挙動不審であり、デートで奏が何かをやらかしたのだと栞は考えた。


 奏の顔を見ようともせず、いつもまっすぐな姿勢はどこか歪んでいて、フラフラと不思議なステップを踏んでいる。

 付き合いがまだ一週間に満たない栞であっても、やまとなでしこの姿から逸脱した真夜の姿が異常であることはすぐに分かった。


「何も……なくはないけど。いや、その……」


 奏も真夜の異変の理由はおおよそ察している。あのパーティーの日の自分の行動を改めて振り返れば分からないはずがない。

 恋に堕ちていた真夜を更に突き堕とすような行為をしたのだ。真夜が壊れるのも当然だった。


「真夜ちゃん朝からずっとこんな感じだったんだよー」

「教室に入るのも躊躇ってた」

「しょ、しょんなことは」


 言葉遣いまでぶっ壊れている。ちなみに、スキル『やまとなでしこ』を使ってなおこの状況である。修復までにはまだまだ時間がかかりそうだ。


「リードされちゃったかなー」

「でも負けない」


 肝心なのは奏の気持ちだ。

 真夜が恋に狂っても、奏の心に響かなければ意味が無い。まだ大きくリードされたかどうかは分からないのだ。


 彼女達の様子を見た栞が真夜の肩をがしっと掴んだ。


「これはた~っぷりと聞かないとだね」

「聞きたい聞きた~い」

「私も参考にしたい」

「ふぇ?」


 栞はそのまま教室中に号令をかける。


「女子集合!」

「ふぇ?ふぇ?」


 クラス中の女子が集まり、真夜への質問攻めが始まった。

 栞によるお嬢様と仲良くなろう大作戦の一つである。


 その結果、奏は久しぶりに学校内でお嬢様達から解放される。

 そして、お嬢様の傍には自分からは決して近づこうとしない辰巳がやってきた。


「よっ、奏。おはよう」

「おはよう辰巳。逃げてきたの?」

「うっ、なんですぐに気が付くんだよ!」


 お昼休みに芹那達と一緒に御飯を食べていることから、辰巳はクラスの男子から妬まれている。妬みと言っても軽く弄られているレベルのものだが、どうにも居心地が悪いのだ。幼馴染と普通に会話して精神の安定を図りに来たのだった。


「助けてあげようか?」

「マジで!?」


 簡単なことである。

 辰巳以外の男子にもお嬢様達と話をするきっかけを与えてあげれば良いのだ。奏がお願いすれば軽い世間話くらいはしてくれるだろう。


「あんまり気乗りはしないんだけどね」

「まさか独占欲とか?」

「うん、そうだよ」

「おいマジか」


 温厚な奏には似合わない単語に辰巳は驚いた。


「そりゃあ僕だって独占欲くらいあるさ」


 美少女達に惚れられて嬉しくないはずがない。そして彼女達が他の男と話をするのは気分が良くない。奏にだって普通に男心があるのだ。

 だが彼女達に普通の学生生活を体験してもらうには男子生徒との交流は不可欠だ。嫉妬はするが束縛はしたくない。


「そうだ、さっきの話だけど条件付けるね」

「条件?」


 辰巳を針の筵から救い出すことに、奏は条件を付ける。


「一学期中に栞ちゃんをデートに誘うこと」

「ば、ばば、おま、何を」

「約束しないと僕は何もしないよ」

「ぐうっ……」


 幼馴染ーずの恋を進展させるために奏は手を打った。

 高校を卒業したら進路が別れる可能性が高いのだ。奏が一緒に居られる間に、二人がくっつく姿を見たかった。


「そろそろ素直になりなよ。僕心配なんだから」

「うぐぐぐ」


 辰巳が観念するまでに一週間以上かかったのであった。


――――――――


 次のデートの相手は美月である。


 美月も真夜と同様に土曜日を指定した。

 奏はこれまた真夜の時と同様に駅前の噴水広場で美月が来るのを待っている。


 服装は前回と似たような可愛い系のメンズ服だが、相手が可愛いもの好きの美月ということもあり、より可愛らしさを強調したコーデを選んだ。


「(ぴえええ、やっぱり緊張するよー)」


 真夜とのデートを乗り越えても、美少女とのデートに慣れる気配は全く無い。まだまだ経験値が足りないのだ。


 今日も手鏡で前髪を確認していると、後ろから声がかけられた。


「おまたせ」

「ううん、待ってない……よ」


 奏は今度こそ先手を取って相手の服装を褒めようと気合を入れていた。

 真夜との待ち合わせやファッションショーで美少女の私服姿に関しては耐性がそれなりにつき、フリーズすることは無いだろうと考えていた。


 だが甘過ぎである。ココットよりも遥かに甘々だ。


「奏様、似合ってる」

「……あ、美月さんも凄く似合ってるよ」

「ありがと」


 美月のこのデートにかける想いは一目で分かる。

 服装はレース柄のフレアスカートをベースとした春らしい色合いのもので統一され、露出が少な目で衝撃度で言えば真夜とは大きく変わらないだろう。


 だが真夜と大きく異なるのは服装以外の点だ。


 服装に合わせた小ぶりのイヤリングと極細のネックレスが美月の美しさを際立たせている。

 淡い色合いのネイルが小さな手を芸術品へと昇華させている。

 眼鏡も普段のシンプルなモノとは異なりおしゃれなデザインのものを選んでいる。


 そして何よりも衝撃的だったのが『化粧』である。


 美月達は普段から大月高校の校則に違反しないレベルでうっすらと化粧をしている。

 だが今日はそのいつもの化粧とはレベルが段違いだ。

 元々整った顔立ちですっぴんでも美しい美月が、自分の美しさをより際立たせるために全身全霊をかけて作り上げた至高の一品。


「(こんな綺麗な人とデートするのおおおお!?)」


 絶世の美少女が全力で着飾った時の破壊力は想像を絶するものであり、奏は再度敗北を喫してしまったのだ。


『おい、あれ見ろよ。マジやべぇぜ』

『うっわ。何あの子、くっそ綺麗じゃん』

『わぁモデルさんかなぁ』


 美月のあまりの美しさに、駅前がざわつき始めた。このままでは妙な輩が近寄ってくるかもしれない。そうなったらデートは台無しだ。


『俺は一緒の子の方がタイプかな』

『分かるわー』


 それに奏にとって不穏な会話も聞こえて来た。一早くこの場から逃れなければならない状況に気が付き、奏はどうにか我に返ることが出来た。


「(き、聞き間違いだよね)」


 残念ながら奏の耳は正常である。

 奏も可愛い系コーデに力を入れ、美月レベルでは無いが化粧を施しているのだ。美人系よりも可愛い系が好みの人から見れば、奏をお持ち帰りしたくなるのはありえることだ。


「美月さん、行きましょう」

「……はい」


 差し出された手を美月はほんの少しだけ逡巡した後、しっかりと握った。

 そしてそのまま腕を絡ませてくる。


「美月……さん?」

「デートだから」


 奏の方を見ずにやや俯いて答える美月の頬は、化粧を貫通して朱がさしていた。


「(僕このまま死ぬんじゃない!?)」


 美少女に腕を組まれて歩いている幸せにより、奏は人生ですべての運を使い切ったのではないかと感じていた。




 奏が美月を連れて来たのは街の裏通り。

 裏通りといっても、美月が襲われたような人気ひとけのない飲み屋街の裏口通りという意味では無く、単純に大通りの裏にある通りだ。多くのお店が並び、それなりに人通りもある。


 お目当ては裏通りの中でひっそりと店を構える一軒のカフェ。


「ここ、美月さんを絶対に連れて来たかったお店なんだ」

「わぁ」


 店の外観は目立った特徴は無いが、窓から店内の風景を見て美月が笑顔になる。

 緊張していたのは奏だけではなく美月もそうだったのだろう。いつも通りの雰囲気に戻った美月を見て、奏はそのことに初めて気が付いた。


「いらっしゃいませ」


 店内に入ると渋い男性の声が聞こえて来る。このカフェのマスターである細身の中年男性だ。


「奏様、ここ凄い」


 美月はあまりの美しさの影響か年齢詐欺ではと思えるくらいに年上感があったのだが、目をキラキラさせて逆に子供のような雰囲気に戻る。この雰囲気の極端な変化が、見た目の印象を自在に変化させられる美月らしいなと奏は感じた。


「こちらへどうぞ」

「え、ここって」

「ごゆっくり」


 口数の少ないマスターが案内してくれたのはベンチシートタイプのソファーとテーブルが一式だけ置いてある席だった。テーブルの対面に椅子は置かれていない。つまり複数人で使う場合は隣同士に座ることが前提の席なのだ。いわゆるカップル席である。


「奏様、座ろう」

「う、うん」


 美月はそう言うものの、興味は店内の飾りに向けられている。それは案内されたソファーの後ろにもあるため、早く間近で見たいと美月は奏の腕をひっぱった。


「奏様。触っていいの?」

「うん、良いよ」

「わぁ!」


 奏の腕はここで解放され、美月は両手を飾りに伸ばした。


「かわいい。もふもふ」

「かわいいよねー」


 美月が愛でているのは『ぬいぐるみ』だ。


 このお店はぬいぐるみカフェ。

 ぬいぐるみ信者の奏や美月にとっては、天国のような場所なのだ。


「気に入ったぬいぐるみを持って来て良いんだよ」

「そうなの?」

「うん、あっちにペン子もいるよ」

「奏様、いこ」


 奏と美月は寄り添って店内に飾られている大量のぬいぐるみを観察しに行く。時間をかけてぬいぐるみを愛で、気に入ったものを二、三個席に持って帰る。


「幸せ」

「僕も」


 好きな人とデートをしているから、ではないのが微妙な台詞である。

 美月は奏に体をくっつけながら持って来たぬいぐるみをひたすら撫でていた。


 するとその二人の元にカフェのマスターがやってくる。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


 美月がぬいぐるみに夢中になっている隙に注文しておいた飲み物が来たのだ。奏はホットミルクティー、美月はホットココアだ。


「気をつけないと濡れちゃう」

「そうだね。でも気にしすぎなくても良いんだよ」

「どうして?」

「ぬいぐるみの汚れや破損は愛された証なんだって」

「?」

「小さな子供が乱暴に扱って破けてしまうかもしれない。抱きしめて寝ていると中の綿がれてしまうかもしれない。抱きかかえながら飲み物を飲んでいたらこぼしてしまうかもしれない。でもそれらはそのぬいぐるみが愛されていたからで、ぬいぐるみにとっては勲章なんだ。ってここのマスターが言ってたんだ」

「勲章……」


 綺麗な姿のままずっと遠くから愛でていたい。せっかくの可愛いぬいぐるみなのだから絶対に汚したくない。それは普通の感性である。

 だが同時に、たくさん触って愛でたいという気持ちを抱き、そのジレンマで悩んでいる人もいるのではないか。

 ここのカフェのマスターは、その想いを少しでも解消出来るようにとこのぬいぐるみカフェをオープンしたのだ。


「ほら、このぬいぐるみ見てごらん。分かりにくいと思うけどよ~く見ると汚れた後があるでしょ」

「ほんとだ」


 奏は近くに置いてある熊のぬいぐるみを手に取り、背中部分を指さした。そこには目を凝らして見なければ分からない程の古い染みがあった。


「汚れたらマスターがこうやって綺麗にしてくれるんだ。この子にとってこの染みは男の子・・・に愛された勲章なんだって」

「素敵な考えだね」


 何故その染みを作ったのが男の子であると奏が知っているのか。それは、その男の子というのが小さい頃の奏だったからだ。

 奏は小学生の頃からこのカフェに通っており、オレンジジュースをこのぬいぐるみに零してしまったことがある。当時はガン泣きしたが、マスターが奏に先ほどの言葉をかけて慰めてくれた。奏にとっては思い出のぬいぐるみなのだ。


 奏はそこまでの詳細は説明しなかった。

 だが、奏がそのぬいぐるみに向ける優し気な瞳と、唐突に『男の子』と発言した不自然さにより、美月は大体の事情を察した。


「ぴえ!美月さん!」

「なんでもない」

「なんでもないのにこんなにくっつくのは……」

「奏様は嫌?」

「……嫌じゃないです」


 奏が昔を懐かしむ顔を見て母性本能のようなものがくすぐられたのか、それとも好きな男性の優し気な姿にときめいたのか、美月は思わず奏に体をぎゅっとくっつけてしまった。

 思い出に浸っていた奏であったが、左腕に伝わって来る柔らかな感触に我に返った。美月のアレは小ぶりだが貧しいわけでは無いためしっかりと感触がある。

 デート中に美月を放って思案していた罰であった。


「(柔らかっ……考えるなああああ!)」


 そんな奏の反応をひとしきり楽しんだ美月は、机の上に置いたペンギンのぬいぐるみを空いている左指で突いた。


「この子達、かわいくて羨ましい」

「美月さん?」

「あ、なんでもない」


 今日のデートで、初めて美月の顔に影が差した。しかし美月はすぐに誤魔化してしまい、奏はその理由を今聞くべきかどうか悩んだ。

 本気で話をしたくない内容を無理に聞き出そうとして険悪になるかもしれない。聞き出せたとしても上手くフォロー出来ず気まずい雰囲気になるかもしれない。今日は気にせずデートを楽しんで後日に聞くべきではないのか。

 『いやいやそうじゃないだろう、ビシっと格好良い言葉をかけてやれよ』と奏の中の漢が囁くが、迂闊に手を出せばこれまで順調に進んでいたデートが大失敗に終わる可能性もあるのだ。


「本当に気にしないで」


 美月は自らの失敗で奏を悩ませてしまったことに気が付き、肩を落としていた。しょんぼりとする美月は唇を少しとがらせており、不思議と子供っぽく感じられた。


「可愛い」

「え?」

「あ……その、あの」


 普段の美しい姿とのギャップによるものか、奏は思わずとんでもない一言をつぶやいてしまった。だが違うなどと言えば失礼であるし、訂正など出来るはずもない。


「本当?」

「え?」

「本当にかわいい?」


 美月は奏に顔をぐっと近づける。


「(ぴえぇ近い近い近い近い!)」


 超絶美人が目と鼻の先に顔を近づけている。

 そのことに心が乱れるが、ここは耐えなければならない。

 何故ならば美月の表情はとても真剣だったからだ。


 美月は再度聞く。


「私、かわいい?」


 美月が何を思って聞いているのか分からない。だがここは素直に本心を伝えるべきだと奏は直感的に判断した。


「み、美月さんはとても綺麗な方かな」


 その答えを聞いた途端、美月の表情が明らかに曇る。

 だが、奏の答えはまだ終わっていない。


「でも、ぬいぐるみを見て喜んでいる表情や照れている姿は、とてもか、可愛いよ」

「!!」


 あまりにも整った顔立ちは、きつい性格の人物に見えることもある。きつめの表情は美しさと両立出来るが、可愛らしさとは水と油の関係だ。美月の場合は表情や化粧できついイメージにならないように気を付けているが、それでも人外染みた美しさのせいで何処となく近づきにくい印象がある。

 しかし奏に見せる喜びや羞恥の表情には、美人という仮面が取り払われていた。精神的な幼さが見え隠れするから、という理由もあるだろうが、奏にとっては美月の屈託のない笑顔は十分に可愛いと感じられるものであった。


「本当に、ほんとう?」

「う、うん」

「私、かわいい?」

「何度も言わせないでよぉ。か、可愛いよ」


 奏が本気で照れて可愛いと口にする様子から、それが嘘でないことが美月に伝わって来る。


 美月は可愛いものが大好きだ。

 それなのに自分自身は可愛くなれない。

 それがずっと悲しかった。


 しかし大好きな奏が自分の事を可愛いと言ってくれた。

 これが嬉しくないわけが無い。


「~~!!」


 嬉しさで口元が緩み、そんな姿を見られないようにと慌てて顔を離して奏の肩に額をつける。


「(これで良かったのかな?)」


 美月の様子から、なんとか正解を引き当てたことを奏は察して安堵する。

 そして美月が復活するまでの間に、空いている右手で準備をする。


 奏の連続攻撃のターンである。


「奏様、ありがとう」


 時間をかけて落ち着いた美月が顔を上げ、奏から体を離す。そのタイミングを見計らって、奏は鞄から取り出しておいた包みを手渡した。


「これ、美月さんにプレゼントです」

「!?」


 真夜にプレゼントを渡して、美月に渡さないなどという選択肢はない。当然、奏は美月にも用意していた。滅茶苦茶喜ばせた後に追撃するのは無意識であるが。


「開けて良い?」

「はい」


 袋の中から出て来たのは花柄の可愛らしい小箱だった。


「眼鏡ケース?」

「はい、これなら日常使い出来るかなって」


 美月へのプレゼントを考えた時にすぐに思い付いたのがぬいぐるみである。

 ぬいぐるみが大好きな美月へのプレゼントとしては最適だが、それはこれから何度もプレゼントすることになるだろうし、出来れば時間をかけて自作した渾身の作品を渡したい。

 それゆえ別のアイデアを考えて着目したのが、美月のトレードマークの眼鏡である。眼鏡ケースであれば普段は鞄の中にしまってあるため、高級品に紛れても周囲から変に思われずに持ち歩けるだろうと考えたのだ。


「あれ、何か入ってる?」


 美月が眼鏡ケースを手に持つと、中で何かが動いた音がする。奏を見ると意味ありげな笑顔を浮かべているため、何か仕掛けがあるのだろう。


「これって!」


 眼鏡ケースの中に入っていたのは小さなもりっくまのぬいぐるみ。

 プレゼントを眼鏡ケースに決めた奏であったが、やはりぬいぐるみも渡したかった。時間が無くても用意出来て、最初のデートのプレゼントとして相応しいものは無いかを考えた時、思い付いたのがこのぬいぐるみだ。


「お揃いだね」


 それは奏が普段鞄につけているもりっくまのぬいぐるみと瓜二つのもの。

 美月と初めて会った時に見せたそのぬいぐるみをプレゼントすれば、お揃いになって特別感もあり喜んでくれるのではないか。

 この日のために奏は急ピッチで作り上げたのだ。


「嬉しい。凄く、凄く嬉しい」


 美月の笑顔は、本人ですら気付いていない程に可愛らしいものであった。

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