1/7
プロローグ
夢を見た。
真っ白な広場だった。
空は恐ろしいほど青く、雲ひとつない。
その青さの下で、一人の女が跪いている。
豪奢な銀髪は乱れ、白い頬には泥がつき、かつて美しいと言われたドレスは見る影もなかった。
周囲には何百という民衆。
「悪女!」
「人殺し!」
「聖女様を殺そうとした女だ!」
石が飛んできた。
女の額に当たる。
血が流れる。
それでも女は顔を上げた。
処刑台の向こうに、この空のように青い瞳の青年が立っている。
「ロアン……」
女が名前を呼ぶ。
けれど青年は答えない。
その腕の中には、別の少女がいた。
青年はセレナを守るように抱き寄せながら、冷たい目で女を見つめていた。
「ノエル・アシュベリー」
その声に、女の肩が震える。
「……君を信じたかった」
違う。
女の唇が動いた。
けれど声にならない。
「だが君は、セレナを殺そうとした」
ーー違う。
「証拠も揃っている」
ーー違う。
「もう、庇うことはできない」
ーー違う!違う!違う!
私はーー私はただ、あなたに振り向いてほしかっただけなのに。
泣きながら伸ばした手は、届かない。
処刑人が剣を掲げ、直後ーー剣が落ちた。




