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死に戻り王子に買われた奴隷は英雄になる  作者: 稲葉 鈴


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17.勇者様を迎えに行こう-2

 おっかなびっくりやってきた村長に、片手を上げて挨拶する。驚きが勝ったのか、同じように片手を上げて挨拶された。うん、畳みかけるな。本当にごめんな。文句は女神さまに頼まあ。もしくは南の賢者様だ。


「アベラール国第三王子、シリル殿下の命で、勇者カミーユ様をお出迎えに上がった。

 聖女様に、女神様よりお言葉があった。魔王復活の兆しがある、と。

 エマール国はオーリク村、カミーユは勇者である。魔王を討伐し、封印せよと」


 広場が、しんと静まり返る。まあな、急には飲み込めねえよな。飲み込んでもらうが。今度こそは、魔王を倒して封印する。なんかちょっと、言葉おかしい気がするんだけどな。多分、その時が来たら分かるんだろう。

 とりあえずあいつは殺す。勝ち逃げは認めねえ。


「なんで、カミーユなんだ」

「知らん。女神様に聞いてくれ」

「おいバティスト」


 エドガールが俺の腕を叩いて、俺を止める。

 いやうん、村長の気持ちは分かる。分かるが、俺に聞かれたって分からんのも事実なんだわ。女神様に聞いてくれ。多分聖女様に聞いても分からんぞ。


「その格好は、どういう訳だ」


 なんでカミーユが、と、村長はそれだけを繰り返しているから、ドミニクが俺に聞く。そんなに気になるか。


「ああ、俺は元々、シリル殿下の奴隷なんだよ」


 ちょっと色々省くと、こうなる。省きすぎだろって顔をしないでくれ。でもみんな、突っ込まずに続きを待ってくれるのは、ちゃんと俺と南の賢者様が、村のみんなと関係を築いてきたからだろう。


「元々、アベラールは魔王復活の際は代々王家から人員を出している。そのご縁……ご縁? で、シリル殿下は色々動いていらっしゃってな」

「ああうん、お前がバティストなのは信じられるわ」

「どこで信じたんだよ。まあいいや。そんで、その流れで南の賢者様からご提案があって、俺の修業のために、冒険者になった訳だ。そんで流れ流れて、ここに来た、と」


 まあ嘘は言ってない。元々ここを目指していただけで、ルートは流れただけだ。間引きをする、ということはさびれたダンジョンだから、奴隷の俺が斧とか使って問題ない場所、ということで探してた、としても話は通るしな。

 大体これ考えたの俺じゃなくて、南の賢者様とかだぞ。筋が通ってるに決まってんだろ。


「なんで殿下が奴隷を?」

「奴隷の俺が知るわけねえだろ」

「それもまあ、そうか……」


 俺は買った側じゃなくて、買われた側だぞ。なんで買ったかなんて、購入者に聞く訳もねえじゃねえか。一々市場で品物がなんで買ったのか聞くかよ。売る側は聞くかもしれねえけど。

 いや実際は知ってるけどな。魔王を倒すため、だ。


「いや、それでなんでその格好なんだよ」

「ああ、これはアベラールの近衛騎士の服だな」

「おう」

「マジかよ」

「騎士様か!」

「残念。騎士様じゃねえんだわ。騎士様は貴族じゃねえとなれなくてな、奴隷の俺には無理な話なんだ」

「だよな」

「そうなるよな。じゃあなんでお前が着てるんだよ」


 さらなる困惑をぶん投げられて、村の人たちが困ってる。南の賢者様連れてくりゃ良かったな。俺の代わりに説明してくれ。


「色々あって」

「やり直し」

「だめかー」


 ドミニクが渋い顔で首を横に振る。一応ここは他国なので、出来るだけ国の内情を話したくはない。どこからどんなふうに話が漏れて、どんな感じで捻じ曲がるか分からないからな。

 ジジイと南の賢者様がそう言ってた。だからお前は、極力何も言うなと。まあな。それが正しいわな。


「偉い人らの考えが俺に分かるわけねえだろ」


 だから俺はひょいと肩をすくめて、そう答えた。

 王子様の側で、王子様の護衛をするなら、俺が奴隷だと知らない相手なら、この格好が一番いい、とジジイが言っていた。そうだろうなと俺もそう思うから文句を言わずに着ているが、よくまあそれが通ったもんだと思っている。

 だからこその王妃様の、あっちこっちに手を回しての、騎士相当、なんだろうけどさ。通らねえ道理を、無理に通せるのが、王妃様だ。立場だけじゃなくて、そういうことが出来るお人なんだ。多分。

 それに、俺には何の説明もなかったから、分かんねえのは、分かんねえのよ。知らなきゃ説明も出来ねえからな。知らせておかねえのは、まあ、合ってる。


 とりあえずまあ、今日の今日で夜に空を飛んでエマールの城に行くのはカミーユのためにもならないだろうと、村長の家に泊めてもらうことになった。セレストは荷馬のクロエの隣だ。一応村にも馬房はあるからな。セレストにしてみれば粗末な馬房だったのでめちゃくちゃ文句を言われた。お前、この間までダンジョンで裸馬だったじゃねえか。クロエの持ち主のファビアンの顎が落ちそうになっている。そういや、セレストは喋るが、クロエは喋らねえからな。その辺りが、天馬が動物でもモンスターでもねえ理由らしいのよ。なんて、南の賢者様から聞いた知識を、ファビアンに教えてやった。だからそれで納得してくれ。俺は詳しくは知らねえの!

 城の厩番に相当甘やかされたらしいセレストに言って聞かせて、明日には城に戻るからって言ったらしぶしぶ馬房に入ってくれた。悪いなクロエ。

 村長の家で夕飯をいただいて、客間で今夜は寝かせて貰う。寝る前に思い出したから伝書バトの魔法で到着したこととかを南の賢者様にご報告だ。俺は鳥の魔法を覚えることが結局できなかったら、南の賢者様が紙の方に魔法をかけてくれた。文字を書いて、折って、魔法の鍵をくるっと回せばそれでいい。ちゃんとした奴だと、ちゃんとした呪文もあるんだけどな。

 だからこいつは、南の賢者様の所にしか行かない奴だ。ベランジュのジジイと南の賢者様は、今は同じ城にいるからまあ、問題もないだろう。

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