第百五十七章・オリビアさんの正体
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第百五十七章・オリビアさんの正体
やっぱりオリビアさんは、どこかで見たことがある。
うちは記憶を引き出すために、脳の働きをフル稼働させた。
オリビアさんもうちの表情を見て、察したようだ。
眼鏡を取るオリビアさん。
あっ、この顔は!
うちはテレビや広告ポスターなどで見かけていたのだ。
「あの…。芸能人の赤月オリビアさんですね?」
うちは思い出したので、省吾くんの説明は聞かなかった。
「そうですよ。ワタシは女優の赤月オリビアです。ショウゴとはこの合気道道場で知り合ったのですが、ショウゴもワタシが、朝のドラマの時から出演している赤月オリビアとは知らなかったんですよ。アナタも同じですね」
うちと省吾くんは、言動が似ていると言いたいのかな?
「合気道をやられていたんですね」
「そうですよ。それに、今でもドラマやコマーシャル、映画なんかにも出演しています」
「じゃあ、合気道はどうして…?」
「ああ、一度だけ合気道家とのやり取りの番組がありまして、そこでちょっとワタシも興味持っちゃって、入門させて頂いたんです。その頃に、ショウゴと出会いました」
うちよりも先に、二人は付き合ったりしてないだろうかと心配したけど、女優である赤月オリビアさんの出すオーラには、とても省吾くんと釣り合いが取れそうもないと、うちは思った。
さすが女優。
気持ちにも余裕があるといった感じだ。
「それで美羽野さんは、ショウゴとはどのくらいの間、お付き合いをされていたんですか?」
「え?四か月くらいですね」
「じゃあ、高校生になってから?」
「はいそうです」
それが何か?
うちと省吾くんは一応ですけど、キスはした仲ですよ。
「ショウゴってば、女優であるワタシには目もくれず、普通に学校では、普通の女子と付き合ってるじゃないの!ムカつくわ」
ケンカ腰に省吾くんに罵声のようなものを浴びせるオリビアさん。
「女優だからって、僕はオリビアのファンではないし、興味もなかったんだよ。それが何か?」
省吾くんはハッキリとそう言った。
「アンタ本気でムカつくわね!」
オリビアさんの激しい一言。
「僕は海さん一筋だから」
「海さん?」
「そうだよ。彼女のフルネームは美羽野海だよ」
「ふ~ん。海…ねぇ」
「言っとくが、彼女は素晴らしい人だからな!」
「分かったわよ。アンタがそこまで言うなら。もうワタシは稽古に戻るから」
そう言うと、オリビアさんは正座して、創始者のお写真に向かってお辞儀をすると、稽古に加わった。
さっきの省吾くんの言葉。
うちには嬉しい言葉や。
省吾くんにとって、女優である赤月オリビアさんよりも、普通が取り柄であるうちの方を取ったのだ。
それがオリビアさんには面白くなかったらしい。
それでもオリビアさんくらいの人なら、きっと男性にモテまくるんだろうなぁ。
うちも一坊寺くんとかには好かれているけれど、モテるのは危険だ。
それは分かっている。
うちには省吾くんがお似合いだと思った。
省吾くんは千人の女子の中から、たった一人のうちを選び出すでしょう。
省吾くんはそういう人だ。
うちはまた、稽古場の隅っこに腰を下ろすと、再び合気道の稽古の見学を始めた。
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