プロローグ
はい。ずっと書きたかった東方の二次創作です。これは白将校と並行で投稿していきます。気分次第でどっちかに投稿が偏る場合がありますが、ご容赦ください。
暖かい春の風が吹く神社。その鳥居の前で、一人の少女が、散った桜の花びらを掃いていた。
彼女の名は博麗霊夢。
代々、幻想郷の異変を解決する者を輩出する、博麗神社の巫女だった。
「まったく……。桜はきれいだけど、こういうところが嫌いなのよねぇ…。宴会も多いし」
ブツクサと文句を言いながらも、手際よく花びらを中央に集めていく。
もう少しで全てを集め終わろうかと思ったところだった。その中心に、2人の少女が降り立ったのは。
「プハ〜!こんなところにいい感じの枕があってよかったんだぜ」
「危ないところでした…」
今にでも箒でその頭を叩き割ってやろうか。
己のなかで膨らむなんとも言えない怒気を抑え、霊夢は彼女らに声をかけた。
「魔理沙に早苗。何してるのよ、二人して」
そう尋ねると、二人はそろって口早にまくしたてた。
「なぁ霊夢!少し聞きたいことがあるんだが…」
「霊夢さん!少々お話よろしいでしょうか!」
「はいはい…でも、話の前にあんたらは、さっさと庭を片付けなさい!!」
「それで?聞きたい話って何よ」
彼女が朝から1時間程度かけて片付けた桜は、2人の手によって10分程度で処理された。
言葉にできないイライラを抱えながら、霊夢は神社の奥で2人を迎えていた。
「霊夢、お前…」
「彼氏さんいたんですか?」
「ブッ…!」
思わぬ2人の質問に、霊夢は思わず飲んでいたお茶を噴き出した。
「ガハッ、カハッ……ち、ちょっと、もう一回言ってくれる…?」
「だからぁ!」
「霊夢さんは!彼氏さんが!いたんですか!!」
2人の話を細かく聞くと、どうやらいま、巷では恋バナが流行っているらしい。
2人が何人かの話を聞いていたところ、その横に座っていた隙間妖怪…八雲紫が、「昔、霊夢にもそういう相手がいたのよ」的なことを吹き込んだらしい。
「ったく、あいつ!…まぁ、聞いてたのが2人だけでよかったけど」
「で、どうなんだ!」
「詳しくお願いします!」
「ちょっと待ちなさい!考えるから……」
2人を一旦制し、霊夢は1人考える。
自分の中だけで押し込めてきた、あの日の記憶。
何度も、忘れてしまえたら楽だろうと思ったほどに、呪いたい記憶。
思い出すだけで恐ろしい。
あの時の光景が、ありありと目に浮かぶ。
だが、それと同時に浮かぶのは、あの頃の思い出だった。
「いいわ。話してあげる」
「お、まじか!」
「ありがとうございます!」
「ただし!他言無用ね?…これは、できるだけ他人に話したくないの」
「…わかったんだぜ」
「気をつけるわ」
「ならいいの。じゃあ……」
こうして、霊夢は語ることになる。
こうして、魔理沙と早苗は聞くことになる。
あの頃の、現とも夢ともつかぬ、あの頃の話を。




