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どうかブラコンに邪魔されませんように。

拗れたブラコン好きだな。




 季節は過ぎて、冬休みになった。

 やったー!冬休みだ、と浮かれていたのも束の間。

 地元家になんて帰りたくなかったし、今年も寮で過ごすつもりだったのに。

一通のL○NEで僕の上機嫌は不機嫌に転落した。



【李生~、今年は帰ってきてよ~!

 帰ってこなかったら李生のお友達に李生の情報について口滑らせちゃうかも~(TT)】



…この、クソ兄貴が(中指立てる)。

兄(クズ)に脅されて強制帰還が決まったのだった。

 三歳差のあの兄は僕を溺愛していると常に豪語しており公認のブラコンなのだという。

僕のこと好きならほっといてくれないかな??

 そして僕が元ヤンという情報をダシに脅してくるとはそれでも家族なのか??絶縁していい??

 渋々荷物を纏めていたら同じく家に帰るらしい瀬尾が話しかけてきた。



「今年は帰るのか?」

『兄(クズ)に呼ばれたからね』

「あぁ…碧(あおい)さん李生のこと大好きだもんな」



 クズで通じるのは瀬尾も兄のことを知っているからだ。

 瀬尾と兄の出会いは僕が小学校に上がって瀬尾と関わりだして直ぐの時だった。

 小学校に上がるまではずっと兄に構われていたが小学校に上がってからは瀬尾と絡むようになり必然的に兄と過ごす時間が減った。

 ブラコン(兄)はそれが許せなかったらしく、瀬尾と公園で遊んでいた最中に割り込んできたのだ。



ー「この泥棒猫め!僕の李生を奪いやがって!」



碧兄は瀬尾に華麗にドロップキックを決めた。

 瀬尾は突然のことに地面に転がりながらびっくりして固まっていた。



ー「!?!?」

ー『…兄ちゃん、やめてよ恥ずかしいから』



僕は頭が痛くて額に手を当てながらそう言った。

 碧兄は瀬尾を威嚇しながら僕を抱き締めていたが、瀬尾は何も悪いことなどしていないし、悪いのはこのバカ兄だ。

 その時から瀬尾は僕を奪う悪者だと碧兄はずっと思い込んでいるのだ。

 なので、瀬尾と碧兄は出会わせたら不味い火と油状態というわけである。



『全くあのクズは…はぁ』

「はは」



 瀬尾は兄に会うたびに散々いびられてきたので苦笑いしている。

無駄に頭良いからやることが陰湿なんだよな…。



『じゃ、向こうじゃ会わないことを祈るよ』

「見かけたら全力で逃げるわ」



 地元が同じなだけに出会す確率が高いので瀬尾は死にそうな顔をして言った。

 瀬尾が先に出ていって後から僕も荷物を持って部屋を出る。

 そして、寄りにも寄って兄が迎えに来ると言うので嫌だなぁと思いながら校門前で待っていた。

ら、一台のベンツが校門前に停まる。

 間違いなく兄だ、なんでこんな目立つ車で来るの?何考えてんの?

運転席が開いて兄が登場する。

 金髪なのは同じだけど瞳はエメラルドグリーンだ。

 顔自体は僕は母寄りで兄は父よりなのであまり似ていない。

 兄は抱きついてきて僕の頬にキスしようとしてくるので全力で拒否する。



「待たせたね、僕のキティ♡」

『気色悪い茶番は止めてくれる?』

「酷いな、僕はこんなに李生を愛しているのに」

『さっさとブラコンやめて彼女作ったら?』

「彼女…(´・ω・`)?」

『宇宙背負うのやめろ』



はにゃ?と言いたげな兄にため息をこぼす。

 まぁイケメンとはいえこんなにも中身が残念な兄に彼女なんて無理か。



「さ、姫、いこうか」

『姫言うな、ラリアットかますぞ』



 本気の僕を知らずに兄は笑顔で「照れちゃってー」と冷やかしながらも僕を助手席に乗せた。

 そして僕の荷物を後部座席に置くと運転席に座り発進させる。



「母さんも父さんも淋しがっていたよ。

 僕がいるのに李生は李生はってまぁ気持ちはわかるけどさ」

『そう』

「李生の部屋は僕が毎日掃除していたよ!

李生のベッドでゴロゴロするのが至福の時間でさぁ」

『気持ち悪いからやめて、部屋出禁にするから』

「そんなぁ!(>_<)」



碧兄はなんでいちいち気持ち悪いのかな。

 余計なこと言わなきゃいいのに何でもペラペラ話すし。

家に帰るまで気持ち悪いを10回は言った。

 家に着くと荷物を抱え、持っていた鍵でドアを開けて中に入った。



『ただいま』  

「「李生おかえりー!!」」



笑顔で出迎えてくれた両親。

両親は基本的に底抜けに明るい。

 僕みたいな陰キャの親とは思えないくらいに。

 碧兄はなるべくしてなった性格をしているけど。



「2年振りかしら、元気にしてた?」

『うん、元気だよ』

「なかなか帰ってこないから心配してたぞ」

『うん、ごめん』

「あれ?僕もいるんだけど?見えてない?」



 両親は兄を完全にスルーして会話していてウケる。

兄は必死にアピールしているが総スカンだった。

 その日、機嫌がいい両親に構われ、夕食は僕の好物が並んだ。

 そして風呂に入ろうとしたら「僕も一緒に入る!」と兄が言い出した。



『嫌だよ』


 

 真顔で一蹴して去ろうとしたら珍しくお母さんが兄を援護した。



「碧もずっと貴方に会いたいって言ってたのよ、お風呂くらい入ってあげたら?昔はよく入ってたじゃない」

『………』



 何年前の話だよ、とは思いながら僕は…というか僕の家族は母の言葉には逆らえない。



『…わかった』



 仕方なく白旗を上げると兄は目を輝かせると嬉しそうな顔をしてお風呂セットを持ってきた。

 その後変態兄からベタベタされるのを無心で流してお風呂を終えた。

 お風呂後は髪の毛を乾かしてくれて楽だったからそこだけ感謝することにした。

部屋に戻ってベッドに転がるとL○NEを開く。

そういえば、地元ということは昴にも会えるな。

 家にいても兄に絡まれるし、昴の方がマシ…マシ…なのか?

変態クズ(ブラコン)かメンヘラ×ヤンデレ…。

うん、昴と過ごす方がマシだ、きっとそう。

昴に連絡いれたら秒で返信来た。

願わくば。

どうかブラコンに邪魔されませんように。




碧「李生は俺の世界で一番のお姫様!」

『姫言うな鯖折りするぞ』

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