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後悔あとを立たず…。

初めてのBL作品。完結目指してがんばるぞー。




 廊下を歩いていたら、通りすがりの生徒に声をかけられた。 



「李生様、生徒会親衛隊副隊長ご就任おめでとうございます!!」 



 可愛い顔をした見知らぬ生徒Aにキラキラと尊敬の眼差しを向けられ目が点になる。

セイトカイシンエイタイフクタイチョウ。




…は?? 

 



『…なんて??』 



あれ?僕の耳壊れた??

 幻聴かと思って聞き返したけど、言われたことは一言一句同じだった。

 カチンと石化する僕に、一瞬不思議そうな顔をした後「ではこれで」とにっこり笑みを称えて颯爽と去っていく生徒A。  

止める間もなかった。

ちょ待っ、は?

僕が…親衛隊、副隊長…? 

生徒会の…?

これなんて悪夢?流石に酷すぎるよ??

 “生徒会親衛隊”とは一言でまとめると“生徒会を信仰する集団”だ。

俗に言う“ファンクラブ”的存在。

その副リーダーに僕がご就任だって??

僕、生徒会に興味なんて一ミリもないんだけど。

笑えないジョークはやめてくれ。

頭の中の情報が多すぎて完結しない。



けど、とりあえず。



『…瀬尾、〆るかぁ』



 この件に関しての元凶は親衛隊メンバーの“瀬尾”しかいない。

 アイツは特待生の一人で授業の免除が許されているから今日も来てなかった。

まぁ僕も特待生ではあるんだけど基本的にサボりはしない。




 全ての授業とHRが終わった瞬間、寮に飛び帰りソイツの部屋のドアを勢いよく開け放つ。 

  



『瀬尾っ!!

 僕が生徒会親衛隊の副隊長ってどーゆーこと!?』


「げっ、李生」



 顔を合わせるなり怒鳴りつける僕に対して顔をしかめる金髪の男こと瀬尾環。

 ルームメイトである瀬尾は僕の幼馴染みでもあり、かつ腐れ縁の友人。

 薔薇()が大好きでそれしか頭にない馬鹿なのに無駄にイケメンだし学年トップクラスの成績だから腹が立つ。

って今は瀬尾の情報なんてどうでもいい!!



『僕幽霊部員で良いって言ったじゃん!』



話が違う!!

 何がどうなって僕が親衛隊の副隊長になんか抜擢されるわけ!?


 


ー…あれは忘れもしない入学当初。





ー「李生ー、親衛隊作りたいんだけど人数足りないから名前貸してくんね?」



 “親衛隊”創設者の瀬尾がひらひらと入部届けとかかれた紙を片手に「食堂で何か奢るからさ」と持ちかけてきた提案。



ー『しん…?別に良いけど。

  僕を巻き込まないでよね』

ー「おー、幽霊部員でいいぞ」



 名前さえ書いてくれれば参加はしなくていいと言われ、特にどこの部活にも委員会にも入るつもりもなかったから“名前だけ”ならと了承したのだ。

僕名前貸しただけなのにさ。

巻き込むなって言ったよね!?


 その時は“親衛隊”がどんなものなのかは全く知らなかったけど、後から生徒会の人達をキャアキャア言いながら囲ってる集団だと理解した瞬間ドン引きした。

 それを作り出した瀬尾が一番馬鹿なんだろうと思った。

 もはや生きてる世界が違うんだな…と解釈して切り離したのを覚えている。

 “その”親衛隊の創設者である瀬尾は黄色い悲鳴を上げる…なんてことはなく、ただひたすら真剣な目で生徒会の人達のやり取りを穴が空くほど見ていたけど。

まぁどちらにせよ何がしたいのかはさっぱり。


 僕は生徒会に全く興味がなく、その証拠に親衛隊の集まりに行ったこと一度もなかった。

 それなのにその僕が何で副隊長なわけ?

意味不明なんですけど?!

 怒り心頭を発する僕に瀬尾は大きな溜息をついて口を開いた。




「人気投票の結果だから仕方なくね?」 

『投票?!』

「お前2位だもん」

 『はぁあ!?』

 


 投票とかいつの間にそんなことが起きてたわけ??   

人権丸無視…。 

本人の意思を無視して投票しないで??

 聞くとどうやら生徒会選挙と同時にあったらしい。知らんがな。

ていうか!2ヶ月前だし!!

 生徒会選挙すら怠いと思ってたのに、まさか2つも投票があったなんて…。

 投票すら知らなかった僕がなんで2位になるの?おかしくね??

 有り得ないと嘆いていたら瀬尾から「投票結果の紙‐証拠‐あるぞ」と眼の前に突き出される。 



『いっ、要らない!』

「見ろこれが真実だ」



い、嫌だ、見たくない…!

マジで要らないってば押し付けてくんな!!

 必死で拒否してるのに紙を顔にグイグイ近づけられ終いには無理矢理受け取らされる。

 見ろ、と催促され渋々&恐る恐る確認したら、2位のところに自分の名前が表示されていた。

一文字も違わない。

ひぃっ、マジで僕だ!!

ちなみに瀬尾は堂々の1位だった。

てことは瀬尾が親衛隊隊長ってことなのか。

投票ポイントの内訳を見ると…ひゃ、180??



「投票者は高等部の生徒のみで一人1ポイントな」



 …て、ことは高等部の人数が500人としてそのうちの約3分の1…?!

僕のどこにそんな人望が?!

ハッまさか知らない間に友達増えてたのかな。

…いや180人は流石に無理あるわ。

一つの学年制覇してるもん、この人数。

 僕と話した人は皆お友達!的な暴論をかませるほど僕は強メンタルではない。

 加えて僕コミュ力お化けでもないしむしろコミュ障。

 でもじゃあこの結果は何??怖すぎるんだけど。 

 はっきりと明確なはずの事実を受け止め難くて思わず紙を持つ手が震える。

マジで意味がわからない。



『瀬尾。

 なんで僕が選ばれたわけ…??』



 途方に暮れながら瀬尾の方を向くと、瀬尾はキリッとした顔で断言した。



「顔だろうな」 

『か、お…?』



理由が現金すぎて絶望した。

僕に整形しろってか??

人を見た目で判断しちゃ駄目だろ…。



「お前身長もコンパクトだし可愛い童顔だし総受けの需要たkグハッ!!」



 僕のことを上から下まで見てニヤニヤ笑いながら失礼でかつ気色悪いことをほざく瀬尾の顔面に拳をフルスイングした。 

鼻の骨は折らないであげるね、僕優しいから。

 瀬尾は「目がぁ、目がぁ!!」と某ジブリの悪役みたいな台詞を叫びながら地面をごろごろと転がる。

 普段はBとかLとかの話題になるのが嫌だから徹底的に無視してるけど、今日は容姿を煽られたことも相まって耐えられなかった。

 ソウウケの意味は知らないけどロクデモナイことなのは理解できる。

この腐れ外道が!!

僕でイカれた妄想すんじゃねー!!

 瀬尾の脳が真っピンクで腐りきってるのはもう慣れたけど僕を対象にしないでほしい。



『コンパクトとか可愛いとか言うな!!』



 童顔は百歩譲って認めるけど男の僕に可愛いは許さん!!

 あとコンパクトとか僕は携帯用品じゃないんだぞ、ふざけてんのか??

160センチ以上あるしチビじゃないもん!

次言ったら頭から地面に埋めてやる。



「いってぇ…お前直ぐ手ぇでるよな。

 襲う奴が可哀想…」  



 殴られた顔を覆って恨めしげな声を漏らす瀬尾にふんと鼻を鳴らす。

 僕は一見弱そうとか思われがちだけど喧嘩にはめちゃくちゃ強い。  

売られた喧嘩は圧勝、襲われたら倍返し。

その成果として中学時代は無双した。

 流石にヤバいと自重して今は大人しくしてるけど怒るとたまに皮が剥がれちゃう。   

 瀬尾からはギャップがどうとか言われるけど知らん。



『もっかい殴られたい??』    

「ゴメンナサイ」



よろしい。

 拳が効いたのかプライドの欠片もなく土下座する瀬尾に僕は少しだけ機嫌を直した。 

 それから話を元に戻して、投票結果が理解不能な理由を説明させる。

 腕を組んで見下げる僕に瀬尾は正座したままペラペラと語りだした。



「お前幽霊部員的存在だけどさ、普段は親衛隊の俺といるから親衛隊の中でも他でも結構有名なんだよ」

『ナニィ!?』  

「あと単純に学園トップクラスの容姿の良さだから抱きたいランキング1位だし、隠れ天使とか学園の姫とか言われてるぜ」

『ナニィ!?

 ………ぇ、抱、きたい…?』

 


ワッツ??

 僕の知らない事実が溢れまくって情報過多で死にそう。

 黒歴史確定のくそ恥ずかしい渾名は一旦放置でその前に不穏なワード聞こえたんだけど。

抱きたいランキング? 

抱きた…、え。

抱かれるの僕??誰に??

抱かれたいなら未だ分か…いや分からんわ。

だってここ男子校ぞ?

乙女絶滅してんのに抱かれたいとは??

 宇宙を背負う僕を瀬尾が憐れみと期待の混ざった目を向けてくる。

 つーか、3:7で期待が勝ってるのマジでふざけんなよ。

僕で変な想像してみろ即刻蹴り殺すからね。



「可哀想になぁ、野郎に尻狙われるとか」

『!!??』



僕の尻が狙われる…?

僕の尻に何…する気?

 瀬尾といると嫌でも薔薇が浮かぶから吐き気がする。

あー、マジで瀬尾と友達辞めよっかなぁ。

僕に変な影響与えんじゃねぇよ!!

 想像もしたくなくて潔く思考をシャットダウン。   

そんなん絶対R指定だろクソが。

 僕が抱かれるなんて全く持ってノーセンキューである。 

僕の恋愛対象女の子だから!! 

 瀬尾はナニかを察して血の気が引いている僕を愉しそうに眺めてくる。

 コイツ人が怯えてるの楽しんでやがるぞ鬼畜か??



「あーぁ、友人で同室のお前が総受けになれば側で見放題なのにな。

王道転校生来たし厳しいか?

…いや、ワンチャンいけるかも」 



 などと意味のわからない文章をボソボソ呟いた後に満面の笑みを浮かべて、


「もし処女か童貞卒業したらその時は一番に俺に教えろよ」


とデリカシーもなければ倫理観の欠片もないことを抜かし親指を立てた瀬尾に思い切りアッパーを食らわせた。

だから僕関連の薔薇咲かせんなっつーの!!

マジでくたばれ!! 


 

「グフッ」



瀬尾は白目を向いて床に転がった。

それに対してゴミを見る目をむけた。



『シネ』 



そして土に還れ。

 あ、でも瀬尾みたいな腐の塊()を土に還すのは環境が可哀想だからやっぱ無に還れ。

瀬尾の気絶KOから数分後。

 生き返った瀬尾は殴られたばかりだというに「さっきのはジョークだから許せよ」とケラケラ笑いながら僕の肩を叩いてくる。

命知らずか馬鹿なのか。どっちもか。

メンタルダイヤモンドかよ。 



「安心しろよ、お前の貞操は守ってやる」

『あったりまえでしょ馬鹿!!』



まさかこんなことになるとは思ってなかった。

こうなるくらいなら安請け合いするんじゃなかったな。

後悔あとを立たず…。 





瀬尾「三度の飯よりBLだよな」

『理解できない』

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