手合わせ
前回の投稿から3ヶ月も空いてしまった…
さて、ゼロと手合わせをすることになり室内訓練所にやってきたが、魔法の力で空間を広げているのか野球が出来るぐらいには広く、床は柔らかい土になっている。
室内訓練所の中には木製の剣や槍などの武器や鉄製の刃引きされた武器があるが、防具はなさそうだ。
「ただの手合わせもつまらないし、ルールを決めようか」
互いに準備運動をしているとゼロが口を開いた。
「武器はここで貸し出されてる木製のやつだけ、魔法は何でもあり、勝敗は本当の戦闘であれば重傷を与えるような一撃を決めるか寸止めした方の勝ち。
これでいいかなジルア君?」
「ああ、問題ないよ」
「審判を…ライアさん、お願い出来るかな?」
ゼロに頼まれたライアは俺を見て判断を煽った。
「うん、ライア。公正な審判を頼む」
「かしこまりましたジルア様」
「うん、じゃあまずは武器を選ぼうか。
僕はこれにするよ」
そういってゼロが手に取った武器は…鎌?か。
「珍しいものを使うんだな。
では、俺はコレにしようか」
「ははっジルア君も珍しい武器を選ぶね。
僕のこと言えないじゃないか」
俺が手に取ったのはトンファー。
初めて使う武器だが、まあ大丈夫だろう。
そもそも、まともに戦う気はないからな。
「試合開始はライアさんがこのコインを上に弾いて地面に落ちたら合図にしよう」
俺が頷くとゼロはライアにコインを渡し俺と距離をとった。
「では始めます」
ライアはそう言ってコインを弾いた。
クルクルと回転したコインは重力に逆らうことなく地面に落ちた。
その瞬間、ゼロは鎌を振り被り俺に迫ってきた…
「うわっと!くそ!なら!」
ので、俺は焦ることなく鎌の先端を風魔法で押してやる。ゼロは魔法の発動に気付いてさけようとしたが、避けるのを諦めて、そのまま風魔法の流れにそって身体を回転させた。
「くらえ!」
そして、そのまま鎌の持ち手を替えてその勢いを利用して俺に攻撃してきたので、右手のトンファーでそれを防ぐ。
「くっ!」
鎌を引いて俺から距離をとろうとするゼロに左手のトンファーで殴りかかるが躱されてしまった。
「腕力が足りないんじゃないか?
俺の風の魔法による推進力と両手での攻撃を片手で簡単に防げたぞ?」
軽く挑発をしてやる。
だが、いま言ったことは事実だ。
この程度の実力で俺にケンカを売ってきたのか?
「ふふっなら、少し本気を出すよ」
「もう遅いぞ?」
「勝負アリです。ジルア様の勝ちです」
「ふぇっ?」
ライアの声にゼロは一瞬呆け、直ぐにライアに抗議した。
「待ってよ!まだ攻撃を受けてないよ!」
「はい」
「じゃあ!」
「後ろを見てください」
「後ろに何があるって…」
ゼロは後ろを向き、口をパクパクとさせ固まった。
それもそのはず。
彼の文字通り目の前に闇の魔法で出来た剣が浮遊していた。
この魔法はゼロの鎌を押してやった時の風魔法を利用して、ゼロの背後で控えさせた魔法だ。
ゼロの背後に魔法を発動させずに、わざわざ最初の時点から魔法を発動していたのには理由がある。
それは魔法の発動は魔法に少しでも長けた人間であれば直ぐに気付くが、発動後の魔法は普通の武器と同じで視認あるいは触覚で判断しないと意識の外へいくというのが1つ
「寸止めでも勝ちなら、もう俺の勝ちだよな?
気が済んだなら、俺は帰らせてもらうぞ」
「まっ!まってよ!もう一度やろう!」
「このまま付き合ったって俺にメリットがないだろ?」
「うっ、じゃ、じゃあ!ジルア君が次に勝ったら、僕の秘密を教えるよ!」
「別に初めて会ったやつの秘密なんか興味がない」
「実はね!僕!神の遣いなんだ!」
「興味がないって言ってるだろ」
だが、なるほど。
やつの纏っている雰囲気が他の普通の人間と違い、それが理由で特別な存在と感じていたが…
神の遣いという言葉で思い出した。
確かに俺を転生させた自称神と似た雰囲気を感じる。
「僕の中の神が「悪いが宗教の誘いなら他のやつにしてやれ」んぐあっ!?」
俺はゼロの口を右手で鷲掴みにして地面に叩きつけて、腹を思いっきり蹴り飛ばし室内訓練所から外へ出た。
神の遣いか…敵になれば面白そうだ。




