本能のままに
ライアの修行回?です。
なんか最近、1人の視点だけだとキリの良いところまでの文字数が少ない…
そのため、今回も視点が切り替わります。
主人公→ライアです。
「ザルムは本当に馬鹿だなあ」
自室に入り、最初にそう口にした。
「意味のないプライドで、たった1年程の遊びの権利ではなく、半永久的に森をどうにかする権利を与えるとは」
契約書に何の疑いもなくサインをした時は思わず笑ってしまうとこだった。
「早速、森を利用するか」
と、いってもやりたい事は今はないな。
魔力回復薬の実験は概ね順調。
というか既に回復の度合いは低いものの成功している。あとは時間をかけて効果を高めるだけだ。
「ライアの修行でもするか?」
ライアは母親の死後、一緒に一度ビシス村に戻った。儀式魔法で草の根1つ残さず消えていたビシス村に対し泣くこともなく唖然とアホ面をさらす彼女には笑いが漏れそうになったな。
そして行く宛のない彼女にある提案をした。
俺の部下として生きるなら、村を滅ぼした相手を見つけ出し復讐の機会を与えるとな。
するとライアは直ぐに忠誠を誓ったよ。
もう復讐の相手はこの世にいないのにね。
そんなライアには森に作った洞窟で過ごして貰っている。
洞窟といっても、魔力回復薬の実験を行なっている洞窟とは別に新たに作ったものだ。
今の俺は子供だから、街で生活させてやるほどの金がない…と嘘をついて住ませている。
森に住ませているのも理由がある。
倒した魔物の質や数により、食事の内容を変えてレベルアップを図りつつ、人との関わりを減らし判断能力等を単純化させ使い勝手の良い戦士を育成するためだ。
俺の意思や意図なんて考えず、ただ与えられた仕事をこなすような戦士。
倒した魔物により食事内容が変わるのも、そんな使い勝手の良い戦士にするための仕込みでもある。
俺からの依頼の達成=三大欲求の1つ、食欲を満たすために必要不可欠な行為という公式を刻み込むためのね。
・・・・・・
「俺ならアノ狼を罠にかけて、こんな感じに倒すが君ならどうする?
もう1匹あそこにいるからやってみて?」
私の主、ジルア様は魔力消費量の少ない魔法を使い狼型の魔物を追い詰め、逃げた先に設置されていた罠にかけて倒した。
「はい」
ジルア様のように、私は魔法が上手く使えない。
けど、ジルア様のように倒すのが一番労力を必要としない賢く正しい倒し方だろう。
私もその真似をしてみた。
「ギャウ!?ウウウウウウ!」
「あっ」
しかし、作戦は失敗。
当てずに驚かせるためだけに放った魔法は魔物に直撃してしまい、誘導用のため威力を抑えていたせいで魔物を怒らせてしまった。
「はぁっ」
そんな私をみてジルア様は溜息を吐いた。
「申し訳ございま」
「魔物が迫ってきてるよ?」
謝ろうとしたのを止められ、私の意識を魔物に集中させた。
相対している魔物は特に強いわけではなく、身体能力を駆使して力任せに戦えば勝てる。
勝てるけど…ジルア様の見本のように無駄な力を使わず必要最低限の力を使って倒したい。
私は魔物に弱い魔法を当てて注意をひきつけながらジルア様が設置していた罠の方へ誘導する。
そして近付いてきた魔物を掴み、罠へ投げ飛ばした!
うん!私にしては上出来!
そう思ってジルア様の顔を見ると、残念な人を見るような目をしていた。
「え?」
「ライア、君が最も人より優れてるのは何だと思う?」
そして突然、質問を投げかけられた。
「えっと…」
「俺の場合は目的を達成するために全ての選択肢を視野に入れて行動に移し、目的を達成することだ。
先程の狼を倒した時も同じだ。
あの程度なら別に罠を仕込む必要性はない。
だが、万が一を考えて罠にハメた。
お前が気づいてたかは知らないが、俺は罠にハマって完全に狼が生き絶えるまで、いつでも魔法を放てる準備をしていた。
臆病ともとれるが、俺の最大の長所だ。
お前の長所はなんだ?」
私の長所…
「人よりも、お前は賢いか?」
ううん、私は自分で言うのも何だが馬鹿だ。
「人よりも、魔法の扱いは上手いか?」
ううん、むしろ下手だから魔物に当てる気がない魔法が当たっちゃった。
「人よりも、身体が強いか?」
…
「はい!私の長所は身体の強さです!」
「うん、俺もそう思う。
特に持久力がズバ抜けているな。
そんな、お前は何も考えずに全力で敵とぶつかりあえばいいんだ」
…何も考えずに全力で敵とぶつかりあう。
「お前には最小限の力で敵を倒すなんてチマチマした考えは不要だ。
それは持久力のない弱者の考えだ!」
「弱者の考え」
「そう!お前は強者だ!
俺のために常に全力を持って敵を粉砕しろ!」
「はい!」
私は、この日を境にゴチャゴチャとややこしい考えは捨て、何事においても全力で取り込むことにした。
ストックを作る最大のボーナスタイムだったはずなのにストックがない…何故だ!?
多分2章からは毎日更新無理です。
出来る限り更新頻度は落としたくないのに…




