初代国王はチート
本屋を見た後、雑貨店などを軽く物色したが街は貴族街というだけあって清潔で煌びやかだった。
対して貴族街の端から見えた平民街は質素な感じだが賑やかで良い国だと感じた。
まあ、見えた平民街は貴族街から近いため潤って賑やかだという可能性が高いかな。
さて街の探索を終え、時間が余っていたので魔法の修行をやり、夕食の時間。ザルムに封が切られた封筒を手渡された。
「ミナ王女からだ」
中の手紙を読んでみる。
少し汚い字だが5歳児が書いたと思えば綺麗な部類で丸く可愛げもある。
内容の方だが、早速王城への招待の日が5日後に決まったということだった。
明後日までに問題があるなし関係なく返事の手紙を送って欲しいそうだ。
「明日は勉強の時間に手紙の書き方の講義を入れ手紙を書いて貰う。
それと5日後の修行は休みにするから可能ならば午後もミナ王女と過ごすといい」
どうやら俺とミナをくっつけようとしてるな。
未だ王が若いから将来のことは分からないが、現在王の子はミナとルナの双子の娘だけで男がいない。
その場合この国では第1王女の夫、つまりミナの夫が次の王となる。
もし、そうなればザルムは代替わりが俺の子が成人するまでは少なくとも今の地位でいられるからな。
ただ、それもザルムが新たに子を作らなければの話だ。顔も覚えていない母は病気で田舎にいる程だし、病気の母から弟妹が出来る事は無いと思う。この国は基本的に一夫一妻だが一夫多妻も認められている。
しかしザルムは自分の利を最優先させるやつだ。自分の政権を長く続かせるためにも子作りをする事はないはずだ。
そんな事を考えながら、この日は眠った。
そして翌日…を通り越して2日後に返事の返事が届いた。内容は嬉しいなどの喜びの言葉と、当日の朝に馬車が迎えに来るという事が前半に書かれており後半は様々な質問が書かれていた。
質問と言っても好きな花や好きな本など、好みを聞くようなものが多い。
ミナの性格を考えミナの好きそうなものを質問の回答として書き、その日のうちに手紙を送っておいた。
更に翌々日の朝。朝食を終えると丁度王家の馬車が迎えに来た。俺はスートや父の私兵などの護衛を付けず馬車に乗った。
代わりに騎士が護衛をしてくれたからだ。
馬車に10分ほど揺らされ目的地に着いた。
流石、この世界でトップクラスの国の城だ。
「ドーム何個分なんだ?」
「何か言いましたか?」
俺の思わず漏れた言葉に反応したのは騎士団の副団長。普通、上流貴族でも子供なんかに副団長クラスの護衛は付かない。
それを副団長に質問したらミナ直々に依頼があったため、俺の護衛をしてくれていると答えてくれた。
「すみません。王城を初めて見たもので少し驚いてしまいました」
「なるほど。いざという時、王都にいる国民全てを収容出来るようにと初代国王様が土属性の魔法で僅か半日で作られたそうです」
「凄いですね」
本当に凄い。例え俺が土属性を持っていても魔力量的に現段階では絶対に不可能だ。いや修行したとしても、これだけ大規模なものを半日で作るなんて永遠に不可能だろう。
流石は初代国王にして初代異世界勇者だ。
規格外の化け物のようだ。
なんて考えながらミナが待つという部屋まで歩いていると魔力の制御が狂わされ始めた。
何者かの攻撃かと思い身構えると副団長は感心したように息を吐いた。
「ほうっ。いえ、すみません。
説明を忘れていましたね。
魔力については心配なさらないでください。
暗殺や戦争などで敵が場内にいても魔法で攻撃出来ないよう初代国王様が城全体に仕掛けた魔法の効果です。
ですが、その変化にその歳で気付くとは…」
初代勇者強すぎだろ。
そんな大規模なものが、初代勇者がいた約千年も前から今まで衰えていないなんて恐ろしい。
定期的に魔力を追加して効果を持続している可能性もあるが…魔法の効果と範囲的に1日持たすだけで魔力を100万ほど使うだろうから、それも難しいと思う。
なんらかの裏技があるのか?
勇者というのは凄いんだな。
これなら俺の予想を上回る事もあるかもしれない。俺は約10年後に召喚される勇者に期待を抱いた。
しかし変わらず勇者召喚の邪魔はする気だ。
邪魔をして召喚が出来なかったら、勇者もタカが知れる。この期待も裏切られるだけで無意味だろう。
だから、俺の邪魔を超えて召喚されろよ?
そして俺の予想を超えてくれ。
お前は恐らく初めて出会った同類だからな。
勇者君。




