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芽依を知る


 次に来たのは怒りに燃える中位の男性とトーマス。

 目に光を無くしたトーマスの助けを求める眼差しが芽依を見る。


「……なるほど、生粋の男好きが伴侶を決めたって聞いたけど彼か」


「随分と世話になったわ。その女が私のリュークに体を押し付けていたのは許せないけど、生きて帰る事が優先だからね」


「……あ? 俺らのメイに抱き着いて、さらに危険な目に合わせたのはそこのヤツだろ。こっちは切り刻まないと気が収まらないんだが? 」


 シュミットの額に青筋が浮かぶ。

 以前からの知り合いで、仲が悪いのだろう。

 顔を突き合わせた瞬間にバチバチと火花が散っていた。

 そんなのお構い無しで、ハストゥーレが珍しく腰に腕を回して抱きつき頭を擦り付けていた。

 ハラハラと泣くハストゥーレの可愛さに胸がギュッとして抱き返し、同じく頭を擦り付けている。

 するとハストゥーレごとフェンネルに抱き締められて額に口付けが降ってきた。

 チュッ……チュッ……と音を鳴らして離さないと強く抱き着いてくるフェンネルにも頭を擦り付ける。


「メイちゃん……メイちゃん……大好き、愛してる……メイちゃん……ちゅーして? 」


「くっ……可愛いかよ! 」

 

 ハストゥーレを抱きしめながら伸び上がり唇を合わせると甘いお餅の味と柔らかな感触。

 あむっ……と上唇を食み舌で舐めると、フェンネルの手が頬を支えた。

 軽い口付けを交わしてから、抱き着くハストゥーレの頬に齧り付く。

 んっ……と声を漏らしたハストゥーレを見上げながらあむあむと甘噛みして、今度はメディトークの髪を引っ張り口付けする。

 ちょっとだけ舌を絡めてから離すと、やりたい放題の芽依にメディトークがニヤリと笑った。


「……珍しいじゃねぇか。外だぞ」


「3日間は思ってたより長かった。離れてるのは苦痛だってわかったの。もっと抱き締めて」


「はいはい、お姫様……お前……帰ったら覚悟しとけよ」


 ギュッ……と抱きしてめて耳元で囁くメディトークに笑う。


「優しい監禁、でしょ? 」


 クスッと笑ってから離れているシュミットに飛びついた。

 いがみ合い言い争うシュミットを押し倒して馬乗りになり顔を押さえる。

 突然来た芽依にシュミットは勿論トーマス改めリュークとその伴侶が目を丸くした。


 むちゅーーー


 目を見開いたままのシュミットを押さえ付けて唇を奪う。

 一度離して、またすぐ重ねて。数回繰り返し舌を絡ませ美味しいジャージー牛乳を堪能した芽依は顔を上げてシュミットを見ながら上唇を舐めた。

 真っ赤に耳まで染まったシュミットは手の甲で目元を隠している。


「…………お前ね」


「……んふふ。私にも構ってよ……ねえ、寂しい」


「…………なんで俺にはそうなんだよ」


 可愛さなんて投げ捨てた芽依が、まるで誘惑するようにシュミットの胸元に手を当てる。


「外だろうが!!」


「いったぁぁぁぁあ!!」


 目を細めて獲物を狙う捕食者な芽依は、メディトークに頭を叩かれシュミットから離された。

 肩に担がれ文句を言う芽依と、それに返事を返すメディトークの騒がしい家族たちに倒れたままのシュミットがチラリと見る。


「…………え、なにあれ。愛を叫んではいたけと、あんな積極的なの? え、羨ましいんだけど」


 目を丸くしているリュークの伴侶が無意識にシュミットの手を掴んで引っ張り起こす。

 素直に受け入れて立ち上がったシュミットは小さく息を吐き出して服に付いた土を叩き落とした。


「……あれ、いつもなの? 」


「ああ……あれで落とされた」


「…………うん。仕方ないわ、あれは。好感のある移民の民があんなに全身で求めてきたら……うん。あんた、大変ね」


 初めて見るタイプよ、複数絶対離さないマンじゃない……と呆れたような羨ましいような言葉にシュミットは口端を上げる。

 今はリリベルが来て、また賑やかに話をしていた。


「アイツはあれでいいんだ。いつも自由で、欲しいのを選び取り無制限に抱え込みたがるアイツが俺たちは好きなんだからな」


「……珍しいわね、貴方が素直に言うなんて」


「アイツにだけな」


 はぁ……と頭をガシガシとかいてから、じゃあな……と手を振り芽依の方へ行くシュミットを見送ったリュークの伴侶。


「……ディメンティール……あれはどういう事かしら」


 小さく呟いた言葉は、この場にいる全員の疑問だ。

 消え方が亡くなる時の消え方とは違う。

 別世界で命を燃やし尽くしたディメンティールは、愛すべき伴侶が眠る場所に戻って行ったのた。


「まあ、いいわ。リューク……リューク!! 」


「あっ……なに……」


「……他に目を向けるのはだめよ。あなたは私のだからね」


 男性の低く甘い声に優しい声に喋り方。

 だが、強い目力に囚われたリュークは下唇を噛んで小さく頷いた。

 チラッと見た芽依は土下座をしてメディトークに謝り倒し、見下し腕を組むメディトークの足に手を伸ばしては弾かれていた。

 

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