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23、帰りましょう、世界を越えて

「ユウト、ティル、出かける準備をして。」


開口一番シルリアはそう言った。


ベランダから一部始終を見ていたものの、何故か三人の騎士が這這ほうほうの体で逃げ出し(距離の関係上、悠斗とティルには火球が見えなかった)、唖然としているティルにおーいと言いながら目の前で手を振ったりしていたらガチャリとリビングの扉が開きそんな事をのたまったのだ。


話の脈絡が分からない。


「いきなりどうしたんだよ。」


「そうだよ一体何なの?」


悠斗とティルが疑問を口にする。


対するシルリアはティルにだけ真っ直ぐに視線を向ける。


「あなたの旅路はまだ終わらないのでしょう?」


ティルはえ!?と声を漏らした後、でもどうやって?多分監視は付いてし援軍も呼んでいるだろうから逃れられないよ、と言う。


悠斗は、何故監視が付いたり援軍が来たりするのか分からなかったが、シルリアが起用した逃走方法にその疑問も一瞬で吹っ飛んだ。




「だったらこの世界から出ればいいじゃない。」




この時、悠斗はどのような顔をしていただろう。


唖然、呆然、驚愕、仰天、目が点になる、思考が停止する。


『パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない。』なんていう言葉があるが、こちらの銀色の姫は『パンが無ければ作ればいいじゃない。』の様な事を言ったのだ。


流石と言うべきか。


「界間移動は式場が必要だよね、全部の式場と施術団は手配が回っていると思うけどどうするの?」


「式場ならこの家の地下にもあるわ。それに施術団は無くても私一人で出来るわよ。」


「ちょ、ちょっと、界間移動は十人以上の高レベル魔法使いでやるものでしょ!?大体式場って必要な装置集まらないし。」


「作ったわ。」


「………へ?」


「必要な装置くらい自分で作れるわ。即席の一時的簡易式場なら一時間あれば十分。」


「…あれって複雑じゃなかったっけ?」


「比較的、ね。」


ティルとシルリアはさっきから何事か話し合っている。



と、ティルを見て思い出し、もう一人のトンデモ発言を一旦おいといて聞いてみる。


「そういえばどうしてティルが追われているんだ?」


えーっと、それは…と口籠るティルにシルリアは言って無かったの?といった感じの目を向ける。


「話さないの?」


シルリアが促す。


「あぁ、うん。話すよ。」


ふぅ、とティルは一拍置きあまり気にしなくてもいいからと口にしてからこう言った。





「ボク、この国の王女なんだ。」





へ?


おうじょってあの王女?つまり王様の娘ってこと?つか王女の一人称がボク?どちらかと言うと私の方が立場に合ってるような……ってどちらも英語じゃIか……


「そ、そんな深刻に考えなくてもいいから。第五王女だし継承権も第八位だから回って来ないだろうしね、ね。だからそんな(かしこ)まらなくてもいいからさ。」


色々と考えだした悠斗にティルは慌てて今まで通りでいいからなどと言葉を矢継ぎ早に重ねる。


……それにしてもどうして第五王女あの村にいたりキセムに来たりしてたんだ?キセムは害獣対策の壁があるが遠征に行った村では木の柵しかなかったし、それに聞いたところによるとキセムは特別な地ではないらしいし……


「べ、別に待遇を良くして欲しい訳ではないから今までと同じ対応でいいよっ。だ、だ、だ、だから固まらないでね。ユウト。」




「落ち着いて。」




鶴の一声


「ティル、ユウトに最後まで説明。」


「う、うん。えーっと…どこまで話したっけ?」


説明相手に説明を求めるティル。


「王女だってことだけ。」


「分かった…とりあえず王女ってことはいい?」


「ああ。それでどうしてこんなところに?」


「それは……城の外を自由に歩いたり見たりしたくて…………家出しちゃった♪」


「いや『家出しちゃった♪』って言い方変えれば王家の人間の失踪じゃないかよ。」


「そういうことになるね。」


「……なあ、さっきの三人って……」


「騎士だと思うよ、ボクを連れて帰るための。そうだよねシルリア。」


「ええ。」


「でも三人だけで安全を確保出来るのか?」


「晶輝包器を持ち出したのバレてるんだと思うよ。それなら物理攻撃はまず効かないしその間に騎士が制圧するだろうから大丈夫だと思うよ。」


「遠くから魔法を撃ってきた場合は?」


「ユウト、シルリアの魔法を見てて感覚がズレてるからそんなことを言ったんだと思うけど、普通の炎弾は騎士が装備した剣で掻き消すことが出来るんだよ。」


「え?……炎弾って着弾した瞬間爆発するやつだろ?」


「だからそれはシルリアだからであって普通の人が撃ったらただ火の玉が飛んでくだけだよ。」


「じゃあ詠唱魔法を連発されたら?」


「大抵の人は最大まで魔力を溜めても三、四回位しか撃てないよ。それに空っぽから最大まで溜るのに15日はかかるからそんなに連発はされないよ。」


ティルは次いで普通の詠唱魔法はシルリアの無詠唱魔法と同程度だとも言う。


「……じゃあそんな騎士を一人で敗走させたシルリアって何なんだろうな。」


「……それは常識で測っちゃいけないことだと思うよ。」



「でもいいのか?家出なんかして。」


「大丈夫。継承権は高い方じゃないし後学のためにも色々と見ておきたいんだ。」


「そうか。ティルの事情は分かった。」


そして悠斗はもう一人の突拍子もない事を言った御人に向き直る。


「それでシルリア。どこに行くって?」


「だからこの世界の外、異世界デイス。」


聞き間違いではなかった様だ。


「異世界って大丈夫なのか?あてとかは?」


「言語は21年前のウイグル・デイス文化共有尊重宣言で共通のものになってきているから問題ないわ。それと住むあてならあるわ。」


少し驚いているように見える悠斗に対して言う。


「私の実家に行くわよ。だから出かける準備をして。」

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