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「天上天下唯我独尊」

この世界で命あるすべての生き物が、

誰とも代わられない「唯一無二のかけがえのない存在」であり、そのままの状態で尊い。




受付嬢から説明された、冒険者ライセンスの受けられる特典は以下の通りだ。



冒険者ライセンスを所得するメリット。

・身分証明書になる。

・街や村での怪我や病気の治療費控除。

・ギルド引退後の生活支援。(怪我や老後)

・遭難時、救助支援。

・産前産後、育児中の生活支援。

・魔物の解体をギルドが行う。大きい魔物は、討伐場所まで行き解体してくれる。

・換金時の税金が、1割負担。

※ライセンス未所得の場合は5割負担




(どうするメル?冒険者になれないんじゃ他の方法を探すしか無いぞ。)

「そうだね、お腹空いたね。とりあえず、このままじゃ野営になる。暗くなる前にまずは、安全な場所を探そうか。」

(それなら、我が上空から探そう。見つけたらすぐ戻るからな。)


魔王はそう告げると天高く飛び上がった。


「あぁ、虹カラスさん飛んでっちゃった。愛想尽かしちゃったのかな......。」


1人になったメルは、急な孤独に寂しさが溢れた。


「とりあえず、1人でも探そう。」


メルは、河川や橋の下、広場や公園、トイレの裏など、いろいろな場所で試みたが、どの場所でも注意を受けて撤退した。


もう、森しかないな。


メルは森の中に入り、スキルを駆使して安全な場所を探した。


「あれはなんだろう?」


道なき道を進んだメルの前に現れたのは、古い神殿だった。屋根もあって雨風が凌そうだ。

神様には申し訳ないが、ここなら一晩過ごせそうだ。


「神様、申し訳ございません。不躾な私をどうぞお許しください。」


何も捧げる物を持っていないメルは、ただ祈りを捧げるしかない。


「____!?」


メルが神殿に踏み込んだ瞬間、床が凹み輝き出す。目の前に魔法陣が出現し、獰猛な毛に覆われ鋭い爪と牙、額にツノを携えた熊型の魔物が出現する。


「なぜ神殿に魔物が!?」


本来、神殿には魔物は近づけない聖なる場所だ。そこに、罠らしきものを踏むことで居るはずのない魔物が現れる。


「こんな話聞いたことない!!とにかく逃げないと!!」


入ってきた入り口へ振り返る。しかし、そこはあたかも最初からそうだったかのように、壁が聳えていた。


「なんで!?ここから入ってきたのに!!」


壁と魔物に挟まれ身動きが取れない。

魔物が距離を詰めてくる。


「大丈夫だ...倒さなくていい...逃げるんだ!!」


魔物が爪を立て、腕を振り下ろす。


スキル『危険予知』


危険予知が発生しない位置に移動、回避する事で、身の危険を避けることが出来る。

今回は、しゃがむ事で危険予知の発動しない位置に身体を置くことが出来た。


「よし、いける!!」


そのまま直進し、魔物の脇を突っ切る。

魔物は振り返り、メルを追いかける。

メルのすばやさでは振り切ることは出来ない。


だが、それでいい。

メルは追いつかれる直前まで走る。

『危険予知』発動。

攻撃がこちらに届く合図。

メルは、即座に振りかえり、魔物の懐に入る。


「僕はこんなところで...死ぬわけにはいかないんだ!!!!」


スキル『天上天下唯我独尊』の独の文字が焼けていく。




__________




焼けた文字に、共の文字が浮かび、

スキル名が変わる。



スキル『天上天下唯我共尊』




__________




メルを勢いよく追いかけていた魔物は、急に振り返ったメルにそのまま突進する。


「はぁぁぁあ!!!」


スキル発動

『剛腕の熊爪』

『弱肉強食』

『攻撃力UP』



最初の魔物の攻撃時、避けながら掴んだ石の柱の破片を勢いを利用し心臓へ突き刺す。



「おおおおぉぉおおっ!!」



魔物の胸に石棘が突き刺さる。

しかし、魔物の勢いは止まらず、そのままメルは下敷きに......なるはずだった。


メルは魔物の身体を受け止め、勢いを殺すまで後退りはしたものの、倒れず受けきっていた。



「はぁはぁ......倒した?勝ったの?」


返り血をべったり浴び、震える手を抑え、現状を確認する。襲ってきた魔物が目の前で倒れ、自分が今、生きて立っている。


「僕の......ステータスで?」


ザッザッザッ____


考える暇もなく、複数の足音が近づいて来る。


「今度はなに?」


しばらくして、奥から現れたのは無数のスケルトンだった。先ほどの魔物と比べると、身体は二回りほど小さい。人間と同じサイズだろう。しかし、剣と盾を持ち、この数ではとても1人では対処できない。


「こんな数どうしたら良いんだよ...。」


ここは密室、誰も助けてはくれない。

さっきの魔物を倒した時の力は、今は感じない。なぜあの時、あれほどの力が出せたのか。


スケルトンが目の前に迫る。

剣を振りかざし、メルへと振り下ろされた。




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