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エピローグ
高天原にある、古民家を改装した鍼灸院――『伊吹はりきゅう院』。
「おはようございます、伊吹先生」
「はい、おはようございます。杉山先生」
二人の鍼灸師が挨拶を交わす院内では、すでに患者を迎える準備は整えられていた。
伊吹はりきゅう院は、いつも同じ患者が来るわけではない。ほぼ毎日、新しい患者がやってくる。どんな患者が来ても、不安を感じさせないように、院内は清潔に保たれ、空気も柔らかなものに満たされている。
――チリン
扉に取り付けられていた鈴が鳴った。患者が来院した知らせである。
今日もどこかで、白い狐は誰かをここへ導いている。




