17話 少年たち
「「「ん゛ん゛ー゛っ゛!!!」」」
その拘束した少年たちは魚の如くビタンビタンと跳ねていた
「なぁジェーン、ほんとにこの子たちしかいないんだよな?」
殺意の持ち主に先手必勝を仕掛けたらコレだ
「そう...みたい、なんだか今までがアレなせいで過剰に構えすぎちゃった」
「そうであります!サッキの殺気の正体はこの子達であります!」
オリヴィエは尻尾をブンブン振りながら言った
「14点。しかしガキでもオレらを襲いに来たのは事実だ。しかもこんなナイフを持ってな」
ゼロは少年達の持っていたナイフ、もとい包丁を拾い上げた
「話くらいは聞いてあげるか」
カイトは少年たちのリーダー格と思われる人物の猿轡を解いた
「おいッ!!離せよ!」
捕虜のテンプレの様な言葉を少年は撒き散らしている
「こりゃ随分と威勢がいいでありますな」
オリヴィエの顔から先ほどの笑顔が、すぅっと消えた
「で、なんでこんなことしたんだ?」
カイトは優しめに問いかかけた
「へっ!誰がてめぇらなん──
少年が生意気な言葉あげた瞬間
「うぐぁッ!?」
オリヴィエから顔面への痛恨の蹴りが少年を襲った
「威勢がいいのは構わないでありますけど生殺与奪権はこちらにあることを忘れるな。そしてアナタの【言葉の責任】は【アナタの命】だけだと思わないこと」
オリヴィエは包丁を拾い上げ、恐怖に震えてる別の少年の首に突きつけた。
『お...おっかねーなぁアイツ。今にも殺しそうな勢いだぞ、前からあんな感じなのか?』
カイトがゼロに小声で尋ねた。
『あぁ...昔からオリヴィエは知らない他人に対しては結構短気な上、凶暴なトコがある、だがよっぽどじゃない限り殺したりはしねぇから大丈夫だと思うが』
なんだか番犬みたいだな
『というかオリヴィエとはどこまで進んでるのさ?』
ジェーンは何かを期待した目をしている
『べ...別にあいつとはそういう関係じゃねぇし」
『ふ〜ん...ほんとぉ?」
そうこう言ってるうちに【取り引き】は終了したようだ。包丁を突きつけられていた少年は外傷こそないが、顔面蒼白と化し、なんだか老け込んだ気がした。
「やり過ぎでは?オリヴィエさん?」
少年たちを見ると一人はカタカタと震え、一人は諦めの境地に到達し、一人は二人を心配している顔である
「ちょっとした勉強料でありますよ」
「...ちょっと?」
カイトは呟いた
「ちょっとでありますよ」
なんか圧を感じるぞ...
「うん..まぁいい。少年よ、なんでこんなことしたんだ?そんな意地張る様なコトではないだろ?」
カイトは今一番話が通じそうな少年に尋ねた。
「僕、途中からずっと話すって言ってるのに...」
少年は呆れた様に言った。
「ん?そうなのか?」
「そう言ってるのに、そこのイヌのお姉ちゃんがずっとガン無視してフレッドとニコレッタに脅迫めいたこと囁いてるんだもん」
「んん〜...?」
圧のある笑顔をオリヴィエは向けた
「うっ...まぁいいよ。この道通るってコトはお兄さんたちソラックに用事?」
「あぁ、宿泊する予定だが」
少年が若干上から目線なのは気にせずカイトは答えた
「やめたほうがいいよ.......」
すまない。