第41話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
この『BS戦闘演習』という名称の卒論的な授業では、ソフィアも含めてジュリアと2人の科目担当となった。
今では、エルフ族のアリエルもこの学院に在籍することになったため、スタン達の当初のパーティーメンバーにてグループを組んでいるのであった。
そもそものメンバーであるアメリアとユリアーナの魔導師も含めて、アルベルトをリーダーにダミアン、スタン、フリーダ そしてアリエルの7人のパーティーとなったのだ。
他の学生達もそれぞれ6、7名のパーティーを組んでBS団体戦の戦術訓練をする実践授業なのだが、まずはバトルスーツを操縦できるようになった学生達が次々とこ単位取得のために授業に参加していくのである。
内容としては、ジュリアとソフィアが操縦する魔導BS2機を宇宙海賊と仮定し、それぞれの学生パーティーが実際の原野にて陣地をつくり迎撃する実践的な人気戦闘ゲームであった。
これはパーティーごとにそれぞれ陣地を決め戦略を練るという戦闘シミュレーションゲームと実際ジュリア・ソフィア隊と戦うというバトルゲームが組み合わさった模擬戦略ゲームなのだ。
「こんな模擬戦のような授業ってワクワクするよな!! こうやって訓練しておけばいざ海賊たちがまた襲ってきたとしても、自信が付いて俺たちで迎撃できるようになるんじゃねえか!?」というのがダミアンの見立てである。
「このソフィア先生が開発してくれた魔導BSってすごいよな!!搭乗者の魔力と連動しているからBSが使う剣も俺の魔剣のような効果があるんだぜ!」とスタンも感激しているようだ。
今回はアルベルトパーティーを含む4つのパーティーが連合してジュリア・ソフィア隊と戦うことになった。
学生部隊総勢28機対2機の戦いである。そこで4パーティーのリーダー達は戦略を練った。
「いずれにしてもジュリア先生が前衛でソフィア先生が後衛であることは確かなんだ。そこで僕たちの連合軍はどう戦うかだな・・・」
「俺に案があるんだが・・・」
「言ってみろよ!」
「1番実力がある1パーティーが正面からジュリア先生を相手にする。やはりソフィア先生は後方支援だから、残り3パーティーでソフィア先生を潰すってのはどうだろうか?21機がソフィア先生を相手にするわけだから勝機があると思うんだよな!」
「ソフィア先生の攻撃系の得意技はスナイパーライフルと水魔法、土魔法だろ?だから接近戦に持って行って俺たち21機が同時にかかれば案外いけるんじゃないか?」
「ジュリア先生に木っ端微塵にされるんだったら、それに賭けてみるのもありか・・・」
「じゃ、ジュリア先生を相手にするパーティーは?」
「それは、やっぱり敵をよく知っているアルベルトのパーティーじゃないのか?」
「わかった! じゃそれでやってみよう。私達は山側から傾斜を利用して戦いたいから山頂に布陣することにするよ。」とアルベルトが承諾し作戦が固まったのであった。
ゲームルールとしては、山側を城と見立てているため山側を取られると負けになるのだ。
そして、ついにその模擬戦の日がやってきた。
ソフィア・ジュリア隊は宇宙海賊の如く上空から飛来し模擬戦場に降り立った。まずは予想通りジュリアは山頂にBSの影を見つけ登って行った。山肌には随所に樹木が生えており見通しが効かないのだ。後方支援のソフィアとしては、その場からスナイパーライフルでジュリアの前方を警戒していた。ある程度ジュリアとソフィア機が離れたところを見計らって、ソフィアの後方より3パーティーが突如現れたのだった。
「ジュリア、こっちは21機に囲まれたわ。対処するわね!」
ソフィアの兵器はスナイパーライフル、シールドに魔導砲マシンガンであった。
「ヨシ!囲んだぞ!! 一気に畳み掛けるぞ?!」
ソフィアはライフルを背中に格納するとシールドを持ち魔導砲マシンガンを構えた。
すると3パーティが三角形のように3方向からソフィア目掛けて一気に襲いかかってきたのだった。
「これでいただきだろう!!」アックスや長槍、ソードなどでここぞとばかりに斬りかかっている。
それをソフィアは俊敏にシールドでかわすと、学生達には知られていなかったが、ソフィアの専売特許とも言えるC.A.Rシステムでの戦闘が始まったのだ。これは見ものである!支援魔法で強化した破壊力が高い魔導マシンガンを片手で胸元に構えて、左手に持った小型シールドを強化魔法で強化しながら敵の攻撃を防ぐ、ジュリアと同様にアクセラレートを全身の動きに付与しながらの戦いが始まった。わかりやすく説明すると、シールドで機敏に攻撃を防ぎながら格闘技をしながらマシンガンでまるでナイフで敵を刺すような至近距離で撃ちまくるというスタイルなのだ。
また土魔法使いのソフィアはこの山がちの地形を利用して敵の背後にトラップを作りながら誘い込むように機敏に動いているのだ。学生達の予測に反したのは、ソフィアの動きが尋常でなく、むしろジュリアよりも瞬発力があると言うことであった。
3方向から掛かっていっても、それをシールドで防ぎながら同時にマシンガンの連続攻撃でカウンターをしている。接近戦時の格闘技も得意なことは学生達は知る由もなかったのだ。後方から迫る機体に対しては足蹴りで蹴り飛ばし、用意しておいた穴トラップに落とす。そうして動きが取れなくなった機体に対してマシンガンを連発して潰すという頭脳プレーであった。連続3発喰らうと破損したと見なされるのだ。得意な魔法を巧みに利用したソフィアの戦闘術は素晴らしかった。
常時シールドで避けながら、足蹴りで敵のバランスを崩し至近距離でマシンガンでトドメを刺すという連続攻撃によりすでに21機中9機に減っていた。そこでソフィア的に余裕が出てきたのだろうか、等身大のゴーレムを咄嗟に3体作り出し、敵機の後方から襲わせているのだ。こうしてゴーレムの壁で相手を円形内に抑えたソフィアは回転しながら引き続きC.A.Rシステムで9機を瞬く間に撃退してしまったのだった。
「いやー、ソフィア先生・・・舐めていたけど、恐るべし!!スッゴいなー!!!」
「俺たち、全く手も足でも出せずにやられちゃったな〜」
「こんなにも強かったのか!?」
「でも、この戦術参考になったよ!」
など学生達はやられたわけではあるが逆に感動しているようである。
さて、ジュリアの方はどうなっているのであろうか?




