第40話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
かくして学長の了承を得てたソフィアとジュリアはブリンデンブルク魔法科学院大学の教授として迎え入れられることになったのだった。
ソフィアは錬金術科の科学理論を専門とし、ジュリアは剣技科の戦闘実践部門を専門として学生達を指導することになった。
「ねえ、ジュリア、なんか私達、本来の目的から外れたことをしてるけどいいのかな?」と興味本位で進んできてしまったため、ソフィアが少し不安になってきたようだ。
「まあね、でも、そう言っても、あいつは今どこにいるかもわからないし、こうしていれば、何かの糸口が見るかもしれないから全く無駄じゃないんじゃないかしら。それと、この魔法が使える世界で、私達もアップデートしていかないと敵にやられることになるから。ここは久々に学園生活を楽しみながら鍛錬していきましょうよ!」
とジュリアは意外と冷静であった。
「まあ、そうよね!! 私も錬金術を習得したいしね。一件落着したら一度私達の世界に戻りましょう!」
そして、2人は正式に学園で教鞭を取ることになり、教授用研究施設内に居住のための部屋をもらうことになったのだった。
「俺、大学でジュリア先生の指導を受けられるようになって嬉しいよ!! あの時見たか? ジュリア先生が教室に入ってきたら、男子学生の目が釘付けだったぜ!!」とダミアンが興奮して話している。
「そうだよな! 顔や背格好はソフィア先生と全く同じなのに、雰囲気が全く逆なんだよな!かっこいいというのか凛々しいというのか? まるで戦場の花! なんて表現したらいいのかわからないんだけど・・・」とスタンもだ。
「僕は、ソフィア先生も好きですよ。またジュリア先生と違った魅力がありますよ。ジュリア先生は氷のようにクールでかっこいいけど、ソフィア先生は温かくて表情豊かで理知的で一緒にいると幸せな気分になるというか・・・」と顔を赤らめながらヘンドリックもある意味やられているようだ。
そうして1週間が瞬く間に過ぎ、彗星のごとく現れた新教授に対して学生間でもどうやらジュリア派とソフィア派に分かれてきたようだ。2人は大学内ではいつも黒いアーマーを着用しているため学生間では『ブラックツインズ』と呼ばれ、ジュリア派は男女問わず武闘派学生 ソフィア派は男女問わずオタク学生が多く、この世界においてももの凄い人気を誇り学園内でもフォロアーを形成していったのだった。
その学生達の2人に対する憧れの熱量は予想外の効果をもたらし学生達の向学レベルを底上げしていったのだった。そして多数の学生が実践での戦闘レベルも大幅に更新していった。
この戦時下で王立騎士団に組み込まれていたクラスリーダーであるアルベルトが久々にフリーダ達のクラスに現れた。
「いやー みんな久々だね!! 会いたかったよ!! アデリナ姫と色々経験したらしいね!」
「アルベルトこそ、元気だったか?」とハグし幼馴染のダミアンが真っ先に歓迎した。
「それはそうと、ブラックツインズとかいう新しい先生がいるんだって??」
「そう!やばいぜ!!俺はジュリア先生派、スタンもな! フリーダとへンドリックはソフィア先生派だぜ!」
「どんな先生なの?」
「授業に出ればすぐわかるさ!」
その頃、2人が来てから1ヶ月が経とうとしていた。
自己鍛錬に厳しいツインズは、ジュリアは自分とロングソードに強化魔法をかけ3倍速となるアクセラレートを使いこなし、持ち前の風魔法においてはウインドカッターからトルネードそして守りにおいてはウインドシールドまで戦術に組み込こんでいた。火魔法もファイアーボールはもちろんフレイムバーストまで剣技の合間に入れ込んだことにより、この世界に来る前の5倍は強力になったように思えた。
一方、ソフィアの方も、水魔法においてはアイススピアやブリザード、土魔法はアースウォールにゴーレムを造り出し器用に操作できている。特に防御に関しては秀でており結界やシールドなどの防御魔法と治癒魔法もマスターしていた。
そして、アルベルトが久々に授業に出てみると、ジュリア担当の剣術実技の授業であった。
まず、基本の型をジュリアが闘拳、剣・長槍の順で披露したのであるが、彼女の舞とも言えるような美しく連鎖した動作に学生達はみな釘付けであった。
『すごいな!! 確かに美しくて引き込まれてしまう・・・そして強いのか・・・』
型の練習の後は、学生達10人がそれぞれ得意な訓練武器を選んで一気にジュリアに斬りかかるのであるが、学生が全力でかかっても軽く一網打尽となってしまう・・・
アルベルトの番が来た。得意の長槍で応戦してみたのであるが、ジュリアを目の前にして威圧的な隙なしの構えにまずは怯んでしまった。そして彼女の華麗な槍回しに目が付いていけずに一瞬で突かれ勝負アリとなってしまったのだ。
『あの獲物を見るような鋭い眼光、そして対象の動きを予測しているかのような先手を行った攻撃・・・そうとう実践を積んできたんだな・・・』と実感できたのだった。
そんな経験の後、彼は久々に会えたアデリナ姫に王立騎士団の国防強化の視点で話していると、「あのお二人はロボットに乗って現れたのよ。敵が攻めてきた時の戦闘も是非拝見したいものね! そんな機会がもしあったら、あの方達の兵器で戦ってもらえるようにお願いしてみるわ!」ということになり、ロボット兵器の授業も取り入れてもらうことになったのだ。
何故なら、錬金術を研究していたソフィアの方も、この世界のあり方で対宇宙海賊戦に使用できるようなロボットであるBSの開発に成功したのであった。
「へえー 凄いわね! これがこの世界のバトルスーツなのね!?」 目の前に聳え立っているBSを見てのジュリアの感想である。
「この世界といえば魔法世界だから、パイロットが得意な魔法をBS側でも連動できるようにしてみたの!私って凄いでしょ?」
「ええ相変わらずソフィアは凄いわ!!」と言いながらジュリアは自分の場合はBSでどうなるのだろう?と想像しているようである。
「もちろん、私達のEBSもそれをアップデートしておいたわよ!これはもはや無敵と言ってもいいかもしれないわね!」と、とてつもない物を開発してしまったといういつものソフィアの自慢顔となっていた。
そして、対宇宙海賊戦兵器という位置付けになり新開発の魔導BSは学生達の授業にも取り入れられることになったのだった。
その練習に使用する相手はゴーレムである。




