第23話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
姫は兄と似た風貌で長い黒髪に黒い瞳のバランスが取れた美しいエキゾチックな容姿であった。
「わかりました。姫も戦われるのですか?」とフリーダが尋ねると、表情が明るくなりニコッと笑うと答えた。
「私はレオン国の剣士です。兄は赤魔導師ですが私は剣と黒魔法が得意なのです。国の政治は兄が行っておりますが、私はレオン国軍の指揮をとっております。」と答えた。
するとダミアンが「えっ、さっき来た公爵じゃないのか??」と驚くと、
「イグナシオは私の指揮下で軍を動かしております。私はいわゆる参謀的な役割なのです。」
「なるほど、失礼しました!姫の外見とは全く違うので驚いたもので!」とフリーダも驚いていた。
「そこで、皆様にお願いがあるのですが、明日偵察に行く際に私も同行させて頂きたいのです。」
「えっ、何を仰っているんですか!? 危険ですよ!!」とスタンも驚いている。
しかし、ヘンドリックは、「でも姫が軍の参謀でいらっしゃるでのであれば知らなければならないんだと思うよ。」と姫の役割状況を分析しながら姫の言い分を正当化している。
「わかった!! 俺たちは姫の安全の責任を持たなければならなくなるんで、とは言っても姫もご自分の身を守れないと俺たちの足枷になると思う。では、姫、こうしよう!明日朝 俺と模擬戦をしてくれ!」とダミアンが提案した。
「ダミアン様の言い分は理解できます。わかりました。では、明日の7時に剣技場への案内の者をよこします。では、模擬戦宜しくお願い致します。そして、私があなた方のレベルに合格できれば、是非向かう途中にでも諸々の情報共有をお願いできればと思います。」
ということで、今日のところは姫は退散していったのだった。
「言っちゃったわね! ダミアン!」とフリーダの表情は少し険しくなっていた。
「しょうがねえだろ!? あれじゃ、引き下がらないぜ!だって軍の頂点なんだから。」
「まあ、そうだよな! でも、ダミアン、お手柔らかにな!」とスタンもダミアンの側に立った。
「武術のレベルを見てみるだけだよ。まさか一国の姫を相手にマジには戦わないぜ!」
「ねえ、ダミアン! あなた、そう言いつつ実はあの姫を気に入ったんじゃないの!? これをきっかけに取り入ろうとか考えてるんでしょ!?」とフリーダが、
「えっ、わかっちまったか〜!!? お前 鋭いな!! ハッハッハ!」と照れ笑い顔になっていた。
そして、翌朝 模擬戦の時が来た。
ダミアンは新開発のアーマーを着用し槍を持って、他3人と共に剣技場に着いてみるとすでに姫はそこに立っていた。一同はその姿に驚いた。
「えっ、あれ姫か? 昨日と全く違う雰囲気だな!!なんか強そうじゃん!!」
スタンが、「ダミアン、負けちゃうんじゃないか・・・」と揶揄い半分心配しているようだ。
「お持ちしておりました。では、早速勝負といきましょうか! ダミアン様!」と姫は大きな声で叫ぶとロングソードを抜いた。
オールブラックの中世風プレートアーマーを着用し結んだ長い黒髪が兜部分から出て風に靡いている。
「ちょっと、まった!! 真剣でやるのか?」
「もちろんです!寸止めでお願い致します。」
ダミアンは渋々剣技場に立ち槍を構えた。
すると姫はロングソードを胸の中心に構えると神に祈るポーズを取り右手を上に剣先をダミアンに向けて構えた。
この構えだけでもただ者ではないオーラがあった。
ダミアンは、小手調べに槍を回しながら間合いを詰めて姫目掛けて一突きした。すると姫はそれを上から払い、その勢いでダミアンの左隣に並び、払った剣先がダミアンを向いているため、そのままダミアンに向かって突いたのだった。寸止めである。
「勝負あり!!」とスタンが叫んだ。
一瞬で姫の勝ちとなってしまった。ダミアンはまんまと隙をつかれてしまったのだ。
「ヒイェー!!まいったな! しかし、さっすが姫、ツ、つよいなー!!」とダミアン本人も驚き完敗であると悟った。
「わかった!これで合格だな! 姫、宜しく頼む!!」とダミアンは笑顔で姫と握手をしたのだった。
そして、4人とテレサ姫の5人はフライングソーサーに乗り込みマップをナビにインプットすると飛び立っていった。
「これは、不思議な乗り物ですね!?いったいどんな仕掛けの乗り物なのでしょうか?我が国にはございません。」と今後はテレサ姫が驚いているようだ。
操縦しているフリーダが魔動機の仕組みを説明すると熱心に聞き入っていた。
「そろそろ、前方に敵の要塞が見えてくると思います。」
すると、金属のパネルを貼り合わせたような城壁代わりの高い囲いが見えてきた。その囲いの上には大きなレーザー砲の砲塔が3つ装備されているのが見えた。その囲いの直径は300mぐらいの規模であり、かなりの数の兵器が見えてきた。
「レーザー砲もあるな!!気をつけろよ!」とスタンがフリーダに言うと、ヘンドリックも魔法攻撃用レバーを握り締めいつでも魔導レーザーを撃てるような体制になった。
「ここから敵の射程圏内に入るわよ!攻撃してきくるとまずいからシールドを張るわね!」
「しかし、奴らどう出るかな?」とダミアンは興味津々のようだ。
すると、テレサ姫が「皆さん、私も戦いますからね!」と念を押しながらすでに気合が入っている。
まずは、高度を保ち上空から視察してみると、やはり色々な兵器類が所狭しと城壁内には並べられており建設ロボット達が兵舎らしき建物を建築中であった。
「やっぱりあれはロボット軍ね!」とフリーダが言うと、
「この状態であればまだ潰せますが、さらに大規模になるとお互いの国の安全が脅かされるようになってきますね!」とテレサも今がチャンスと思っているようである。
そもそも彼らが乗るフライングソーサーはシルバーカラーのため上空では目立たない存在に見えることはあるものの、地上の敵は全くそれに気が付いていない様子なのに一行は驚いていた。
「全く、反応がありませんね・・・」
「もう一度低空で通り過ぎて見ようぜ!」
ダミアンが言うように高度を落として進んでいくと、今度は要塞のレーザー砲が反応し動き出しこちらに照準を合わせてきているかのようである。
「シールドはオンよ!」と言いながら敵の動きを見守っている。
すると3門の砲塔からレーザー砲が一斉に発射されたのであった。フリーダはそれを巧みに避けて突き進むと逆にレーザービームを発射し敵の砲塔3門を次々と破壊したのであった。




