第15話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
そして、まずはダミアンがアックスを振り上げながら、スタン目掛けて走り込みシールドでプッシュした。
それをスタンは右手の剣で受け流し左手の剣を振り下げたところをアックスで受けられた。
2人はまた間合いを取った。
『意外にこいつやるな!』とスタンは思った。
ダミアンは体力自慢を豪語しているだけあり力強い一撃であったのと大ぶりではあるが精度と動きに無駄がないのだ。
今度はスタンが右の剣で打ち込みシールドで受けられたところに左の剣でダミアンの中心を突いた。アックスの場合中心に一撃が入ると受けづらいのだ。だがしかしダミアンはアックスを内側から払い綺麗にスタンの剣を払ってしまったのだった。
また双方間合いを取り睨み合っている。
『これじゃ木刀では勝敗がつかないな。』と思い始めていた時、アルベルトの号令がかかった。
「よーし!双方引き分けー!!」
「スタン、お前やるな! 俺に隙を見せない奴は初めてだぜ!これから宜しくな!!」とダミアンは気に入ったようだ。
すると、アルベルトが、「模擬剣だと勝負がつかなそうだったから引き分けだ!」と言ってスタンに歩みよった。
「スタン君、ダミアンが言うように彼と互角に戦える奴は初めて見たよ。強いやつは好きだ。俺たちは君を歓迎する!」と言う驚く展開となったのだった。
「でしょー!!私の言った通りでしょ!? ここに来るときも山賊達を蹴散らしたんだから!」とフリーダも自慢げに言うと、
「えっ あのガッセル峠のことか!? すまん、あれは私の所領で山賊を退治せなばならない案件だったんだ。それを代わって遂行してくれたんだな?」
「ああ、すぐに終わったぜ!殺しはしなかったんだがな。」
「あの峠はいずれなんとかせねばならないのだが、今のところあまり通行量が少ないため据え置きになっているんだ。すまなかった。」
「言ってくれれば、いつでも協力するぜ!」とスタンも強がっている。
「まあ、俺たちはお前を使い魔とは思わないことにするからこれから学友として宜しく頼むよ!」
「そうだ、今後のスケジュールだが、明日講義が終わった後に残ってくれ!色々と話し合おう。」と言うことで各々使い魔を連れて分かれたのだった。
そしてアルベルトとダミアンが使い魔をみせたのはこれが最後であった。
寮に戻ると、「スタン、なんか今日は良かったわね!認められたというか・・・」
「そうだね、あの2人は社会的にも色々と顔が効きそうだから孤児の俺にとってはいいコネになる気がするよ。守ってくれてありがとう!」
そして、日々の授業はどんどん進んでいった。剣術に関しては様々な武器を使用した実技訓練に素手での格闘技がプラスされて男女問わず続けられている。また魔術に関しても白魔法と黒魔法そしてそれを混ぜたいわゆる赤魔法までカバーされているのだ。
スタンは当初から剣術と格闘技に頭角を現し、フリーダは白魔法と黒魔法のコンビネーションがものを言う赤魔法で希望通り頭角を現して行ったのだった。
4人が中庭で昼休憩の時であった。
「あれ、見ろよ!」と言って、アルベルトが廊下を歩く集団を指差した。
「何、あの集団?」とフリーダが反応すると、
「第二王女のアデリナ姫だよ。」とダミアンが言った。
「えっ 2年生の?」
「そうだ、やっぱり王家の令嬢だけあって、学園内でも取り巻きが大勢いるんだよ。俺たちは使い魔1人だけだが、王家は特別なんだ。しかし綺麗な姫だよな〜」
「あのお姫様って強いのか?」とスタンが聞くと、
「お前、知らないのか? アデリナ先輩はアーマーロードだぜ!!攻めも守りも鉄壁なんだ、それでプレートアーマーに身を包んでいるときは俺みたいにシールドとアックスを使うんだが、そうでない時はロングソードを使うんだ。それが可憐で滅峰強くてよ〜 それで付いた二つ名が『剣姫』なんだよ。」とダミアンが興奮しながら教えてくれた。
「そうだな、僕が言うのも変だが、あの剣姫が王国軍の指揮官になれば我が軍は軍備においては磐石になると思ってるよ。多分王家では1番の剣豪だよ。」とアルベルトが付け足した。
「へえー噂は聞いたことがあるけど、初めて見るわ!綺麗な方ね〜!!」とフリーダも感激しながら見惚れていた。
「そうだろ?女性の追っかけも多いんだよ。」
「それはわかるような気がするわ!」
スタンは無言でまるで手の届かない幻影のようにその姫を眺めていた。
楽しく厳しい学園生活を満喫していると、早々に魔術剣技大会の日が近づいてきた。
この代表的な学園行事は大学といえども国家行事の一つに数えられており、軍部のお偉方も出席し青田買いをする行事なのである。そしてその行事の運営の実行委員に彼らも含まれているのだ。
「実行委員も大変だよな! 1年から3年のクラス委員が集まって色々決めていくのは中々時間と手間暇かかるな。」と流石のアルベルトも弱音を吐き始めていた。
「しかし、個人戦は予想はついていたけれど、グループ戦ってあるんですね?」
「ああ、グループ戦は1学年ABCDの4クラスがあるから合計12クラスになるよな。その1クラス30人を6、7人のグループに小分けしてまずは5グループを作る。そしてまた1、2、3年の1グループづつを統合して20人前後のグループを最終的に作るんだよ。」
「なるほど、実行委員はそれを卒なくこなさなければならないから大変だな!」とスタンが言った。
準備が整い、Aクラスのグループ分けが終わった。学年ごとのグループ編成を3年の生徒会長が汲み上げて学年を横断した最終グループを構成するのだ。
フリーダ達はアルベルトのパーティーに入ることになり放課後顔合わせに一同が集まった。
ここで紹介すると、
アルベルト・フォン・メレンドルフ ソシアルナイト そしてパーティーリーダー 武器 槍 乗馬
ダミアン・フォン・シュタイン ブリガンド 武器 斧
フリーダ・フォン・アルデンヌ 赤魔法師
スタンリー・ケンプ フリューゲル(双剣)
に貴族外の新メンバーが加わり、
ヘンドリック・イエーガー アーチャー 武器 弓
アメリア・エクスタイン プリースト 白魔法 支援魔法
ユリアーナ・ハーディング メイジ 黒魔法 攻撃魔法
と、7人のパーティーとなり男性4人女性3人の構成でFグループとなった。
そして、顔合わせの後に学生食堂にて懇親会が開かれることになったのだ。




