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安全エリア



 翌日。

 久しぶりに再会した女の子たちとの激しい夜を過ごした悠斗は、冒険者ギルドを訪れていた。



「えっ。受けられるクエストがない!?」


「申し訳ありません。色々と込み入った事情がありまして、現在ユートさんにクエストを依頼できない状態になっているのです」 



 エミリア・ガートネット

 種族:ヒューマ

 職業:ギルド職員

 固有能力:破壊神の怪腕



 破壊神の怪腕@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(左手で触れた物体の魔力を問答無用で打ち消すスキル)



 受付カウンターに座る黒髪の少女の名前はエミリア・ガートネット。


 悠斗にとってエミリアは色々と謎の多い人物であった。

 一見すると気品の溢れる美しい女性なのだが、所持している固有能力が物騒過ぎる。



「……どういうことでしょうか?」


「悠斗さんはこんな噂をご存知でしょうか? 最近、世界各地にブレイクモンスターと呼ばれる凶悪な魔物が出現していることを……」


「…………!?」



 エミリアの言葉を受けた悠斗は思わず言葉を詰まらせる。



『お前の力が通用するのは、せいぜい上級魔族まで。ここから先、邪神の力を身に宿した《ブレイクモンスター》との戦闘になれば遅かれ早かれ犬死することになるだろうな』



 その時、悠斗の脳裏を過ったのは『岩山の洞窟』で出会った伝説の英雄――アーク・シュヴァルツの忠告だった。


 桁外れの魔力量を誇るブレイクモンスターの戦闘能力は過去に身を持って体感していた。



「ブレイクモンスターの出現によって、ギルドが認めている『安全エリア』の範囲が一括して見直されることになりました。

 現在、クエストの受注が可能エリアはラグール山脈(初級)とオルレアンの森林(初級)のみとなっているのですが……」


「その場所は他の冒険者で埋まっているわけですね」


「仰る通りです。現在、ギルドではユートさんを始めとするブロンズランク以上の冒険者の方に対する依頼を差し止めている状態です。ご不便をおかけして申し訳ありません」


「…………」



 駆け出しの冒険者の中には、日銭を稼がなければ宿に泊まれなくなる人間も多い。

 貧しい冒険者たちが生活の手段を失ってしまうと犯罪に走り、負の連鎖を生み出してしまう危険性がある。


 初心者に優先して仕事が割り振って行くことは、街の治安維持を見越したギルドの判断でもあった。



(う~ん。これから暫くは魔法の修行に時間を割いていくことになりそうだな)



 悠斗にとってギルドの仕事は、『スキル獲得&生活費稼ぎ』の両方を同時に行うことが出来る一石二鳥のライフワークであった。

 

 クエストが受けられないからと言って生活が困窮することはないのだが、暫くは何かと不便な生活を強いられることになりそうだった。



「お困りのようだな。ユートくん」


 

 ラッセン・シガーレット

 種族:ヒューマ

 職業:冒険者

 固有能力:読心

   

 読心@レア度 ☆☆☆☆☆☆

(対象の心の状態を視覚で捉えることを可能にするスキル)



 声のした方に視線を移すと見知った先輩冒険者の姿がそこにあった。



「ラッセンさん! お久しぶりです」


 

 少女の名前はラッセン・シガーレット。


 歳の頃は18歳くらい。 

 オシャレな皮ジャケットとお尻が見えそうになるくらい短いパンツを履いたワイルド系の美人である。



「大方キミも受けられるクエストが見当たらなくて困っていた口なのだろう?」


「ええ。まぁ、大体そんな感じです」


「そんなキミに朗報だ。ちょうど今の時期にピッタリな穴場となる狩場を見つけたのだが、一緒にどうだろうか」


「本当ですか!? 助かります!」



 憧れの美少女冒険者と一緒に冒険に出掛けることができるのならば、こんなに嬉しいことはない。


 こうして悠斗は何時も行動を共にしているスピカ&シルフィアにラッセンを加え遠征に向かうのだった。


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