裕也 重傷
今回は凪原 弥奈視点です
「う、うう………ゆうちゃん」
ベッドで包帯を巻かれたゆうちゃんはぐっすりと寝ている
腕に巻かれた包帯をさすりながら涙を私は流す
ここは町一番の大きな病院
ゆうちゃんの怪我は思ったよりも深いものでもしかするとショックで目が覚めないかもしれないと言われた
そんなことは嫌だ
私を守ったばかりにゆうちゃんは怪我をした
「裕也君! 弥奈! 大丈夫!?」
「お姉ちゃん……」
大きな音を立ててお姉ちゃんは部屋に入ってきた
そして、すぐにゆうちゃんの惨状を見て、目を逸らした
直視できない
朝までなんともなかったのにたった7,8時間離れただけでこうなったんだ
受け入れきれない
私もまだ受け入れきれていない
「信也君は?」
「知らない。連絡もないし、どこにいるかもわからない」
「そうなんだ。何をしてんだろ……こんな時に!!!」
狭い部屋でお姉ちゃんは怒る
私だって怒りたい
でも、怒ってもゆうちゃんは目を覚まさない
「医者はなんて言ってたの?」
「傷の具合は奇跡だって言ってた。あれほどガラスを浴びたのにこれで済むのはすごいと……でも、1つだけ深く刺さったものは心臓のすぐそばまで刺さっていたって」
「心臓!!」
「うん。でも、お義兄ちゃん・・・ううん。信にぃが刺さる直前でつかんで抜いたみたい」
「そ、そうなんだ」
この話を聞いても誰も信じないと思う
現に医者は信じていなかった
もしかしたら、お姉ちゃんも信じないかも
「とにかく、信也君を私は探すね。お金とか……どうしよ」
「あっ」
忘れてた
よくよく考えたら私達姉妹は無一文だ
茜家にお世話になっているから最低限の生活ができているけど病院代を建て替えるほどのお金なんて持っていない
どうしよ……
どうするか考えている時、またドアが開いた
「お、美咲。早いな、学校はもう終わったのか?」
「信也君!?」
「あ~~~、やっぱり裕也は入院か。さすがに傷口が深すぎたか」
マイペースに裕也君の元へ信にぃが行く
「どうしてここがわかったの?」
「ん? ああ、それなら普通に全病院に行って裕也がいるかどうか受付で聞いただけだけど?」
「なっ……」
お姉ちゃんは絶句する
全病院
ここは面積が広いとは言わないけど入院できる病院は多い
それをあっさりと全部回ってきたなんて言う
「さて、裕也を連れて帰るか」
「は? 何言ってるの、弥奈の話だと……どのくらい入院? 弥奈」
「えっと。確か一か月は最低でもって言ってた」
「でも、それ医者から見た視点だろ? 俺達の家系には通用しないから。ちょっと話してくる」
「え、ちょっと!」
お姉ちゃんが止める間もなく、信にぃは部屋を出て行った
『俺達の家系』僕は含まれない茜家の闇だってゆうちゃんは言ってた
でも、今の信にぃの口ぶりだとゆうちゃんは含まれている
何とかして……守ってあげたい
好きなんだから……
一緒に生きたい
だからこそ、知りたい
信にぃが言ったことの意味を……




